第二種電気工事士が従事できる電気工事の範囲を、電気工事士法・電気事業法施行規則・電気工事業法の条文で整理します。一般用電気工作物等と自家用電気工作物の違い、太陽光発電設備の出力区分、電気工事業の登録と主任電気工事士、第一種電気工事士へのステップアップまでを解説します。
目次
結論:電気工事士法第3条により、第二種電気工事士は一般用電気工作物等の電気工事に従事でき、自家用電気工作物の電気工事は第一種電気工事士の領域です。電圧の線は600ボルトで、一般用電気工作物の「低圧」の上限を電気事業法施行規則第48条第1項が「六百ボルト」と定めています。住宅の太陽光発電や蓄電池、EV充電器などの工事でも、必要な資格は「その設備を設置する電気工作物が何に当たるか」で決まります。本記事では、第二種電工でできる工事の範囲を条文で整理します。
第二種電気工事士の資格を目指す方が、「合格したら何ができるのか」を確認できるよう、電気工事士法・電気事業法施行規則・電気工事業法の条文に沿って整理しました。
試験センター非提携:本サイトは一般財団法人 電気技術者試験センターと一切関係ありません。本記事は一般的な法令の整理であり、個別の工事の可否は、施工地の自治体・経済産業省・設備メーカーの施工要領などで確認してください。
電気工事士法・電気事業法施行規則の要点:第一種電気工事士でなければ自家用電気工作物の電気工事の作業に従事してはならず(電気工事士法第3条第1項)、第一種又は第二種電気工事士でなければ一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事してはならない(同条第2項)。一般用電気工作物の「低圧」の電圧は六百ボルト(電気事業法施行規則第48条第1項)。小規模発電設備の範囲は太陽電池発電設備で出力50キロワット未満など(同条第2項)で、一般用電気工作物となる出力は太陽電池発電設備で10キロワット未満など(同条第4項)。条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov法令検索 電気工事士法、電気事業法、電気事業法施行規則。
1. 第二種電工は何ボルトまで?(600ボルトの根拠と、電圧だけでは決まらない点)
「何ボルトまでの電気工事ができるか」への答えは、条文を次の順にたどると分かります。
- ① 電気工事士法第3条第2項:第一種電気工事士又は第二種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(軽微な作業を除く)に従事してはならない
- ② 電気工事士法第2条第1項:一般用電気工作物等とは、一般用電気工作物(電気事業法第38条第1項)と小規模事業用電気工作物(同条第3項)
- ③ 電気事業法第38条第1項:一般用電気工作物とは、構内に設置する電気工作物のうち、「電気を使用するための電気工作物であつて、低圧受電電線路…以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの」など(第一号)。ここでの「低圧」は、同項ただし書で「経済産業省令で定める電圧以下の電圧」と定義されている
- ④ 電気事業法施行規則第48条第1項:「法第三十八条第一項ただし書の経済産業省令で定める電圧は、六百ボルトとする。」
つまり、第二種電気工事士の範囲の電圧の線は600ボルトで、低圧(600ボルト以下)で受電する住宅や小規模な店舗などが中心です。電気技術者試験センターも、第二種は「低圧で受電する一般家庭、商店等の屋内配線設備や小規模な太陽電池発電設備などの工事の作業に従事できます」、第一種は「第二種の範囲に加えて、高電圧で受電する小規模なビル、工場などの電気設備などの工事の作業に従事できます」と案内しています。
| 区分 | 条文上の線 | 第二種電気工事士 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 低圧(600ボルト以下)で受電し、低圧受電電線路以外の電線路で構外の電気工作物と接続されていないもの(電気事業法第38条第1項、電気事業法施行規則第48条第1項) | 従事できる(電気工事士法第3条第2項) |
| 小規模事業用電気工作物 | 小規模発電設備のうち、一般用電気工作物の出力の区分以上のもの(電気事業法第38条第3項) | 「一般用電気工作物等」に含まれるので従事できる(電気工事士法第2条第1項) |
| 自家用電気工作物 | 電気事業法第38条第4項の自家用電気工作物から、小規模事業用電気工作物、発電所、変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備などを除いたもの(電気工事士法第2条第2項) | 第二種のみでは従事できない。第一種電気工事士の領域(電気工事士法第3条第1項) |
| 自家用電気工作物の簡易電気工事 | 電圧600ボルト以下で使用する部分など(センターの案内) | 第二種免状に加えて認定電気工事従事者の認定証があれば従事できる(電気工事士法第3条第4項) |
電圧のほかに、条文は次の点も条件にしています。電圧が600ボルト以下でも、これらに当たると一般用電気工作物にならないことがあります。
- 構外の電気工作物との接続:低圧受電電線路以外の電線路で、構内以外の場所にある電気工作物と接続されているものは、一般用電気工作物になりません(電気事業法第38条第1項第一号)
- 設置場所:火薬類(煙火を除く)を製造する事業場、石炭坑は、一般用電気工作物から除かれます(電気事業法施行規則第48条第3項)
- 発電設備の出力:3章の表のとおり
なお、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)第2条第1項にも「低圧」の定義があり、「直流にあっては七百五十ボルト以下、交流にあっては六百ボルト以下のもの」です。これは電気設備の技術基準の電圧区分で、一般用電気工作物の範囲を定める電気事業法施行規則第48条第1項の「六百ボルト」とは別の規定です(出典:e-Gov法令検索 電気設備に関する技術基準を定める省令)。
センターの出題でも、この線が問われています。令和7年度上期 問30は次のとおりです。
一般用電気工作物に関する記述として,誤っているものは。ただし,発電設備は電圧600 V 以下とする。
イ.低圧で受電するものであっても,出力8 kW の内燃力発電設備を同一構内に施設した場合は,一般用電気工作物とならない。
ロ.低圧で受電するものであっても,受電用電線路以外の電線路で構外にある電気工作物と電気的に接続されているものは,一般用電気工作物とならない。
ハ.低圧で受電するものであっても,火薬類を製造する事業場など,設置する場所によっては,一般用電気工作物とならない。
ニ.高圧で受電するものは,受電電力の容量,需要設備の業種にかかわらず,一般用電気工作物とならない。
(出典:令和7年度上期 第二種電気工事士 学科試験 問30、一般財団法人 電気技術者試験センター)
センターの公表した正解は「イ」(誤り)です。内燃力発電設備は、電気事業法施行規則第48条第4項の出力(10キロワット未満)に当たれば一般用電気工作物のままなので、8キロワットで「ならない」は誤りです。ロは電気事業法第38条第1項、ハは電気事業法施行規則第48条第3項、ニは高圧受電が低圧受電電線路でないことに対応します(出典:問題・解答)。
この論点の問題(第二種電気工事士が従事できる範囲・一般用電気工作物・低圧の区分):
- 一般用電気工作物の範囲で誤っているもの(令和7年度上期 問30)
- 一般用電気工作物の範囲で正しいもの(令和4年度上期(午後) 問30)
- 一般用電気工作物の範囲で誤っているもの(令和4年度下期(午後) 問30)
- 一般用電気工作物等の定義を含む電気工事士法の問題(令和7年度上期 問28)
- 第二種電気工事士でも従事できない作業(令和5年度上期(午前) 問28)
- 第二種電気工事士免状でも従事できない作業(令和4年度上期(午後) 問28)
- 電技省令の低圧の区分(令和5年度上期(午後) 問30)
- 電技省令の低圧の区分(令和4年度下期(午前) 問30)
2. 法律上の線引き(電気工事士法第3条)
電気工事士法第3条は、電気工事の作業に従事できる者を、次のように定めています。
| 対象となる電気工作物 | 従事できる者 |
|---|---|
| 自家用電気工作物(特殊電気工事を除く) | 第一種電気工事士(簡易電気工事は、認定電気工事従事者も従事できる。第4項) |
| 一般用電気工作物等 | 第一種電気工事士・第二種電気工事士 |
ただし、いずれも、保安上支障がないと認められる軽微な作業として経済産業省令(電気工事士法施行規則第2条)で定めるものは除かれます。「電気工事」とは、一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいいます(同法第2条第3項)。
出典:e-Gov法令検索 電気工事士法。
3. 一般用電気工作物等の範囲
電気工事士法第2条第1項では、「一般用電気工作物等」を、一般用電気工作物(電気事業法第38条第1項)と小規模事業用電気工作物(同条第3項)と定めています。
電気事業法施行規則第48条は、一般用電気工作物の範囲を次のように定めています。
- 電圧の区分:600ボルト(第1項)
- 小規模発電設備の範囲(第2項)と、そのうち一般用電気工作物となる出力(第4項)は、次の表のとおり
| 発電設備 | 小規模発電設備の範囲(第2項・出力) | 一般用電気工作物となる出力(第4項・出力) |
|---|---|---|
| 太陽電池発電設備 | 50キロワット未満 | 10キロワット未満(二以上を同一構内で電気的に接続して設置する場合は出力の合計) |
| 風力発電設備 | 20キロワット未満 | 零キロワット |
| 水力発電設備(第2項第3号の条件に該当するもの) | 20キロワット未満 | 20キロワット未満 |
| 内燃力を原動力とする火力発電設備 | 10キロワット未満 | 10キロワット未満 |
| 燃料電池発電設備(第2項第5号の条件に該当するもの) | 10キロワット未満 | 10キロワット未満 |
| スターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備 | 10キロワット未満 | 10キロワット未満 |
第2項には、ただし書があります。同一の構内に設置する同項各号の他の発電設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が50キロワット以上となるものは、第2項の範囲から除かれます。水力と燃料電池には、最大使用水量や燃料・改質系統設備の最高使用圧力などの条件が付いています(詳しくは条文)。
第4項の出力以上で第2項の範囲に入る発電設備は、小規模事業用電気工作物(電気事業法第38条第3項)です。電気工事士法では、一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物の両方が「一般用電気工作物等」なので、低圧の太陽電池発電設備が第2項の範囲(50キロワット未満など)に入り、構外との接続や設置場所の条件(1章)も満たせば、第二種電気工事士の範囲に入ります。風力発電設備は、第4項の出力が零キロワットのため、一般用電気工作物の区分には入らず、小規模事業用電気工作物の側になります。
4. 自家用電気工作物と第一種電気工事士
電気工事士法第2条第2項は、自家用電気工作物を、電気事業法第38条第4項に規定する自家用電気工作物から、小規模事業用電気工作物、発電所、変電所、最大電力500キロワット以上の需要設備などを除いたものと定めています。
電気技術者試験センターは、第一種電気工事士について、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物(需要設備)の電気工事の作業に従事できると案内しています。免状の取得には、試験合格のほか、電気工事に関する実務経験3年以上が必要です。
出典:e-Gov法令検索 電気工事士法、電気技術者試験センター 電気工事士の資格概要、電気工事士の免状交付。
なお、第二種電気工事士の免状の取得後に、実務経験3年以上、又は認定電気工事従事者認定講習の受講により認定証の交付を受けると、最大電力500kW未満の自家用電気工作物(需要設備)のうち電圧600V以下で使用する配線や電気使用設備等の工事の作業(電線路を除く)にも従事できます(令和8年度下期受験案内)。
5. 太陽光・蓄電池・EV充電器の工事を考えるときの視点
住宅の太陽光発電設備、蓄電池、EV充電器などの工事で、どの資格が必要かを考えるときは、次の順序で確認します。
1. 設置する場所の電気工作物は何か:一般住宅・小規模な店舗などの一般用電気工作物等か、受電設備を持つ施設などの自家用電気工作物か
2. その工事は「電気工事」の作業に当たるか:電気工作物を設置し、又は変更する工事のうち、軽微な作業として除かれていないもの
3. 設備ごとの施工要領:メーカーが施工に求める資格・研修(認定施工店制度など)を確認
発電設備の出力の区分(上記3章)や、その設備を含む構内の電気工作物の区分によって、必要な資格が変わることがあります。個別の工事は、施工地の自治体や経済産業省の窓口、設備メーカーの施工要領で確認してください。本記事では、工事単価・市場規模・需要の見通しなど、出典を確認できない数値は扱いません。
6. 電気工事を仕事にする場合の手続き
電気工事を請け負う事業を営むには、免状のほかに、電気工事業の業務の適正化に関する法律に基づく手続きが必要です。
- 電気工事業の登録(第3条):二以上の都道府県の区域内に営業所を設置するときは経済産業大臣、一の都道府県の区域内にのみ設置するときは営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受ける。登録の有効期間は5年で、引き続き営むには更新の登録が必要
- 主任電気工事士の設置(第19条):一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士、又は第二種電気工事士免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士を置く
出典:e-Gov法令検索 電気工事業の業務の適正化に関する法律。
副業で電気工事を行う場合は、勤務先の就業規則や登録の要否を事前に確認してください。
7. 第二種から広がるステップ
- 第一種電気工事士:試験に合格し、電気工事に関する実務経験3年以上で免状を取得すると、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物の電気工事の作業に従事できる
- 電気主任技術者(電験三種):電気設備の保安監督を担う資格。詳しくは電験三種のステップアップ解説を参照
- 試験の概要は、第二種電気工事士の試験内容を参照
8. まとめ
- 第二種電気工事士は、一般用電気工作物等の電気工事に従事できる
- 自家用電気工作物の電気工事は、第一種電気工事士の領域
- 必要な資格は、設置する電気工作物の区分と、その工事が電気工事に当たるかで決まる
- 仕事として請け負うには、電気工事業の登録と主任電気工事士の設置が必要
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よくある質問
Q第二種電気工事士は、何ボルトまでの電気工事ができますか?
条文の線は600ボルトです。第二種電気工事士が従事できるのは一般用電気工作物等(電気工事士法第3条第2項)で、一般用電気工作物は電気事業法第38条第1項で「低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの」などと定められています。この「低圧」の電圧を、電気事業法施行規則第48条第1項が「六百ボルト」と定めています。高圧で受電する自家用電気工作物の電気工事は第一種電気工事士の領域です。出典:e-Gov法令検索 電気事業法、電気事業法施行規則、電気工事士法。
Q第二種電気工事士は、どこまでの電気工事に従事できますか?
電気工事士法第3条第2項により、第一種電気工事士又は第二種電気工事士の免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業(保安上支障がないと認められる軽微な作業を除く)に従事してはなりません。第二種電気工事士は、一般用電気工作物等の電気工事に従事できます。自家用電気工作物に係る電気工事は、第一種電気工事士でなければ従事できません(同条第1項)。出典:e-Gov法令検索 電気工事士法。
Q一般用電気工作物等とは何ですか?
電気工事士法第2条第1項で、一般用電気工作物(電気事業法第38条第1項)と小規模事業用電気工作物(同条第3項)をいうと定められています。一般用電気工作物の「低圧」の上限は、電気事業法施行規則第48条第1項で600ボルトです。出典:e-Gov法令検索 電気工事士法、電気事業法施行規則。
Q太陽光発電設備の電気工事は、第二種電気工事士でできますか?
電気事業法施行規則第48条第2項は、太陽電池発電設備であって出力50キロワット未満のもの(同一の構内に設置する同項各号の他の発電設備と電気的に接続され、出力の合計が50キロワット以上となるものを除く)を、小規模発電設備の範囲として定めています。このうち、一般用電気工作物となる出力は同条第4項で十キロワット未満(太陽電池発電設備の場合)とされ、それ以上は小規模事業用電気工作物(電気事業法第38条第3項)になります。どちらも電気工事士法では「一般用電気工作物等」なので、第二種電気工事士の範囲です。工事に必要な資格は、その設備が一般用電気工作物等か自家用電気工作物かで決まります。個別の工事が資格を要する作業に当たるかどうかは、設備メーカーの施工要領や経済産業省・施工地の自治体への確認が必要です。出典:e-Gov法令検索 電気事業法施行規則。
Q電気工事を仕事として請け負うには、免状のほかに何が必要ですか?
電気工事業を営もうとする者は、電気工事業の業務の適正化に関する法律第3条により、営業所の設置状況に応じて経済産業大臣又は営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要があります(登録の有効期間は5年)。また、登録電気工事業者は、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士、又は第二種電気工事士免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士を、主任電気工事士として置かなければなりません(同法第19条)。出典:e-Gov法令検索 電気工事業の業務の適正化に関する法律。
Q第一種電気工事士に進むと、何ができるようになりますか?
電気技術者試験センターは、第一種電気工事士が、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物(需要設備)の電気工事の作業に従事できると案内しています。免状の取得には、試験合格のほか、電気工事に関する実務経験3年以上が必要です。出典:電気技術者試験センター 電気工事士の資格概要、電気工事士の免状交付。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

