コンセントの交換・増設、エアコンの取り付け、DIYで電気工事士の資格が必要なのはどの作業かを、電気工事士法・同施行令・同施行規則の条文と経済産業省の資料で整理。無資格で工事したときの罰則(拘禁刑)も確認できます。
目次
結論:電気工事士の資格(免状)が要るかどうかは、「コンセント」「エアコン」といった名前ではなく、作業の中身で決まります。埋込型のコンセントの交換、コンセントの増設、専用回路の敷設は、電気工事士でなければできません。一方、露出型のコンセントやスイッチの取換え、差込みプラグへのコードの接続、エアコンの電源プラグをコンセントに差し込む作業は、免状がなくてもできます。無資格で必要な作業をすると、電気工事士法14条により三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金です。
| 作業 | 免状 | 根拠 |
|---|---|---|
| 差込みプラグ・ソケット・ローゼットなどにコードを接続する | 不要 | 施行令1条1号 |
| 露出型のコンセント・スイッチ(点滅器)を取り換える | 不要 | 施行規則2条1項1号ホの括弧書き |
| 壁などに取り付ける配線器具(埋込型コンセントなど)の取付け・取外し・電線の接続 | 必要 | 施行規則2条1項1号ホ |
| コンセントの増設・移設(電線の接続や壁・天井への固定を伴う) | 必要 | 施行規則2条1項1号イ・ハ・ホ、経済産業省の資料 |
| 専用回路の敷設、ブレーカーの交換 | 必要 | 経済産業省の表 |
| エアコンの電源プラグをコンセントに差し込む | 不要(電気工事ではない) | 経済産業省の資料 |
| エアコンのアース線をアース端子に接続する(600V以下のエアコン) | 不要(軽微な作業) | 同上 |
| アース棒(接地極)を地面に埋める、アース線を継ぎ足す | 必要 | 施行規則2条2項1号ロ、経済産業省の資料 |
条文は電気工事士法・同施行令・同施行規則です(出典は e-Gov 法令検索。2026-10-03 時点の現行条文)。この記事は、低圧(600V以下)で電気を使う一般的な住宅の屋内配線や、住宅用のエアコンを前提にしています。工場・店舗の高圧設備などは前提に含めていません。
合格ナビの第二種電工の学科問題382問のうち、問題文か選択肢に「電気工事士法」が出てくる問題は13問あります(すべて「検査・法令」。2026-10-02 時点の当サイトの問題データを集計)。この記事の表の考え方は、学科試験の法令問題でもそのまま問われます。
資格が必要かは3段階で決まる(電気工事・軽微な工事・軽微な作業)
電気工事士法は、資格の要否を次の順に判断します。
| 段階 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| ① | 「電気工事」かどうか。一般用電気工作物等などを設置し、又は変更する工事。ただし政令で定める軽微な工事を除く | 法2条3項、施行令1条 |
| ② | 電気工事の作業のうち、保安上支障がないとして省令で定める作業(軽微な作業)かどうか | 法3条2項の括弧書き、施行規則2条2項 |
| ③ | ①②に当たらない作業は、免状を持つ人でなければ従事できない | 法3条2項 |
①の軽微な工事(施行令1条の6つ)は、電気工事に当たらないので、免状がなくてもできます。②の軽微な作業は、電気工事ではあるが免状がなくてもよい作業です。ただし、経済産業省の資料は、軽微な作業であっても事業として行う場合には電気工事業の登録が必要だとしています。
施行規則2条2項は、免状が必要な作業を「列挙して、それ以外は軽微な作業」とする書き方です。一般用電気工作物等で免状が必要なのは、1項1号イ〜ヌ及びヲの作業(電線相互の接続、電線を造営材に取り付ける作業、電線管に電線を収める作業、配線器具の取付けと電線の接続など)と、接地線・接地極に関する一部の作業です。全作業の一覧は、当サイトの第二種電気工事士でできること・できないことに表でまとめています。
この論点の学科問題は次のとおりです。
- 電気工事士でなければ従事できない作業の組合せ(検査・法令 問19)
- 電気工事士でなければ従事できない作業の組合せ(検査・法令 問20)
- 電気工事士でなければ従事できない作業(検査・法令 問23)
- 第二種電気工事士でも従事できない作業(検査・法令 問50)
- 第二種電気工事士でも従事できない電気工事の作業(検査・法令 問58)
- 第二種電気工事士が単独でできる工事(検査・法令 問76)
コンセントの交換・増設に資格は必要か
交換:露出型は不要、埋込型は必要
施行規則2条1項1号ホは、免状が必要な作業として「配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業」を挙げ、括弧書きで「露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。」としています。括弧書きがかかるのは、この「ホ」の作業だけです。2条1項は自家用電気工作物についての規定ですが、住宅などの一般用電気工作物等には、2条2項1号イが「前項第一号イからヌまで及びヲに掲げる作業」を引用する形で同じ作業が当てはまります。そのため、露出型のコンセントやスイッチを取り換える作業は、免状がなくてもできます。
一方、条文に「露出型」の説明はなく、括弧書きの対象は露出型の取換えに限られます。壁に埋め込む埋込型のコンセントの交換は、配線器具を取り外し、電線を接続する作業として、ホに当たります。経済産業省の「エアコン設置工事に係る電気工事士法の解釈適用」も、コンセントの増設、移設、取替を「電気工事士が行うべき電気工事」に挙げています。この資料の該当箇所は、露出型の取換えを除く括弧書きには触れていません。露出型かどうかで結論が分かれるのは条文の括弧書きによるものなので、作業の可否は条文で確認します。迷うときは、免状を持つ電気工事士に相談してください。
増設:電線の接続と壁への固定を伴うため必要
コンセントを増やすには、既存の配線から電線を分けて接続し、新しい場所まで電線を通して壁や天井に固定し、コンセントを取り付けます。これらは、次の作業を含みます。
- 電線相互を接続する作業(施行規則2条1項1号イ)
- 電線を直接造営材(壁・天井など)に取り付ける作業(同ハ)
- 配線器具を造営材に取り付け、電線を接続する作業(同ホ。括弧書きは露出型の取換えだけ)
ホの括弧書きは、イとハには及びません。そのため、露出型のコンセントを「増設」する場合は、露出型の取換えの例外には当たらず、電線の接続や固定の作業に免状が必要です。経済産業省の表も、「コンセント設置・取替・増設する作業」「専用回路の敷設作業」「ブレーカーを交換する作業」を、電気工事士資格が必要な作業としています。
資格が不要なコンセント関連の作業
- 差込みプラグ、ソケット、ローゼットなどにコードを接続する工事は、施行令1条1号の軽微な工事です。電気工事に当たらないので、免状も電気工事業の登録も関係しません
- 電気機器の端子に電線をねじ止めする工事は、施行令1条2号の軽微な工事です。ただし「配線器具を除く」ので、コンセントやスイッチへの接続は含まれません
- エアコンの電源プラグをコンセントに差し込む作業は、経済産業省の資料で電気工事ではないとされています(接地極付コンセントに3本足のプラグを差し込む作業も同様です)
エアコンの取り付けと電気工事士
エアコン工事に要る資格(電気工事士・電気工事業の登録や通知)を工事の種類ごとに詳しく見たいときは、エアコン工事に必要な資格にまとめています。
エアコンの取り付けは、作業ごとに要否が分かれます。経済産業省の資料「エアコン設置工事に係る電気工事士法の解釈適用」と、同省の「家庭用エアコン(100V・200V級)設置・修理工事に伴う電気工事士法・電気工事業法の規制概要」の表から整理します。
| 作業 | 電気工事士の免状 | 電気工事業の登録(事業として行う場合) |
|---|---|---|
| 室外機・室内機の据付け(壁への固定など、電気的作業を伴わないもの) | 不要(法の対象外) | 不要 |
| エアコンの電源プラグをコンセントに差し込む | 不要(電気工事ではない) | 不要 |
| 室内機・室外機の接続端子に内外接続線を差し込む(600V以下) | 不要(軽微な作業) | 必要 |
| アース線をアース端子に接続する | 不要(軽微な作業) | 必要 |
| 内外接続電線を直接壁などに固定する | 必要 | 必要 |
| コンセントの設置・取替・増設、専用回路の敷設、ブレーカーの交換、100Vと200Vの電圧切替え | 必要 | 必要 |
| アース線相互の接続、アース線と接地極の接続、接地極を地面に埋める | 必要 | 必要 |
出典は経済産業省のエアコン設置工事に係る電気工事士法の解釈適用(PDF)と規制概要の表(PDF)です。「解釈適用」は、平成20年の電気工事士法施行規則の改正(平成20年経済産業省令第86号)に合わせて作られた文書で、2026-10-03 時点で経済産業省のサイトに掲載されています。文書中の条番号は施行規則2条1項の号で書かれていますが、住宅などの一般用電気工作物等には2条2項1号を通じて同じ号が当てはまります。罰則は改正前の「懲役」の表記のままなので、現行の罰則は後の節の条文で確認してください。
読み取れるのは次の点です。
- エアコン本体の取付けそのものより、電気に関わる作業のうち、電線の固定・接続、専用回路やコンセントの工事、アース棒の埋設に免状が必要です
- 免状が不要な「軽微な作業」でも、事業として請け負うなら電気工事業の登録が必要です。資格が要らないことは、誰でも仕事として請け負えることを意味しません(電気工事業法3条1項)。なお、同法2条1項は、家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事を、この法律の「電気工事」から除いています
- 内外接続電線を壁に固定する場合の区別として、冷媒配管やドレンホースと一緒に化粧テープなどで一体化してから固定する作業は軽微な作業、電線を直接壁に固定する作業は電気工事士が行うべき電気工事とされています
家庭でエアコンを買い替えるとき、専用コンセントがすでにあって、電源プラグを差し込めるだけなら電気工事に当たりません。専用コンセントがない、200Vに切り替える、といった場合は電気工事士が必要な工事になります。
DIYで許される範囲と許されない範囲
自宅の工事でも、法律上の扱いは変わりません。電気工事士法3条2項は、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業を、免状を持つ人でなければしてはならないとしており、持ち家か賃貸かで区別していません。
| 区分 | DIYの目安 | 例 |
|---|---|---|
| 免状なしでできる | 軽微な工事・軽微な作業 | 差込みプラグにコードを付ける、露出型のコンセント・スイッチの取換え、ヒューズの取付け・取外し(600V以下)、600V以下の電気機器へのアース線の取付け |
| 免状が必要 | 電気工事士が行うべき電気工事 | 埋込型コンセントの交換、コンセントの増設、電線をつなぐ、壁・天井に電線を固定する、配電盤の取付け、アース棒の埋設 |
DIYで気をつける点は次のとおりです。
- 表の「免状なしでできる」は、法律上の資格の要否の話です。作業が安全にできるかどうか、電気機器の取扱説明書や設備の持ち主の決まりに反しないかは、別に確認が必要です
- 迷う作業は、「免状が必要」の側に倒して、電気工事士に頼みます。条文の判断は作業の中身ごとに分かれ、露出型かどうかのような区別もあります
- 免状を持つ人が行う作業を「補助する作業」は、免状がなくてもできます(施行規則2条2項2号)。ただし補助の範囲に限られます
資格のない人が行える範囲を広げたいときは、第二種電気工事士の資格を取る方法があります。試験の概要は第二種電気工事士の試験内容に、取得後にできる範囲はできること・できないことにあります。
無資格で工事したときの罰則
免状が必要な作業を、免状なしで行うと、電気工事士法3条2項違反になります。罰則は14条にあります。なお、労働安全衛生法に基づく低圧電気取扱業務の特別教育は、電気工事士法とは別の義務です。違いは低圧電気取扱業務の特別教育と電気工事士の違いで整理しています。
電気工事士法3条1項〜3項に違反した場合の罰則:三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金(電気工事士法14条)。最終確認日:2026-10-03。出典:e-Gov 法令検索 電気工事士法。
2025年6月1日に施行された刑法等の改正で、懲役と禁錮は拘禁刑に一本化されました。電気工事士法14条は、この改正後の条文では拘禁刑と書かれています。古い解説の「三月以下の懲役」は、現行の条文の表記ではありません。
資格がある人が気をつけること
第二種電気工事士の免状があっても、従事できるのは一般用電気工作物等の電気工事の作業です(法3条2項)。自家用電気工作物の電気工事は第一種電気工事士の範囲で、第二種電気工事士は従事できません(法3条1項)。学科試験でも、「第二種電気工事士でも従事できない作業」はよく問われます。
まとめ
- 資格の要否は、電気工事かどうか、軽微な作業かどうかの3段階で決まる(法2条3項・3条2項、施行令1条、施行規則2条)
- 埋込型のコンセントの交換、コンセントの増設、専用回路の敷設、ブレーカーの交換は電気工事士が必要。露出型のコンセント・スイッチの取換えは不要
- エアコンは、電源プラグの差込みは電気工事ではなく、専用回路・コンセントの工事や電線の固定は免状が必要。軽微な作業でも、事業なら電気工事業の登録が必要
- 無資格での違反は、三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金(法14条)
よくある質問
Q賃貸や自分の持ち家なら、コンセントの工事を自分でしても法律上は問題ありませんか。
電気工事士法3条2項は、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業を、免状のない人はしてはならないと定めています。条文は、作業をする場所が賃貸か持ち家かで区別していません。免状が要る作業かどうかは、作業の中身(電線の接続、配線器具の取付けなど)で決まります。
Q第二種電気工事士の免状があれば、どんな工事でもできますか。
できません。第二種電気工事士が従事できるのは、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業です(電気工事士法3条2項)。工場や店舗の高圧設備などの自家用電気工作物の電気工事は、第一種電気工事士の範囲です(同条1項)。免状があっても、どちらの設備の工事かで可否が分かれます。
Q資格のない人が、電気工事士の作業を手伝うことはできますか。
電気工事士が従事する作業を補助する作業は、施行規則2条2項2号で、免状がなくてもできる作業とされています。ただし、補助にとどまる範囲です。電線を接続する、配線器具を取り付けるなどの作業そのものを、資格のない人が自分で行うことはできません。
Q資格が不要な作業でも、仕事として請け負うときに手続きは必要ですか。
経済産業省の資料は、「軽微な作業」に当たる場合でも、事業として行うときは電気工事業の業務の適正化に関する法律3条1項に基づく登録が必要だとしています。資格が不要であることと、事業として行うための登録が不要であることは別の話です。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月3日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

