第二種電工

低圧電気取扱業務の特別教育と電気工事士の違い別の法律・別の義務を条文で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

低圧電気取扱業務の特別教育と電気工事士免状の違いを、労働安全衛生法・同規則36条4号と電気工事士法3条の条文で整理。特別教育だけで電気工事をしてよいか、免状があれば特別教育は不要か、受け方の根拠はどこかを確認できます。

目次
  1. 特別教育と電気工事士の違い(比較表)
  2. 低圧電気取扱業務の特別教育とは(労働安全衛生法59条3項・規則36条4号)
  3. 電気工事士資格との違い(できる作業の範囲)
  4. 特別教育だけで電気工事をしてよいか
  5. 特別教育の受け方(公的な根拠から確認できること)
  6. 電気工事士を目指す人は、どちらを先に考えるか
結論:電気工事士は電気工事士法に基づく「資格」、低圧電気取扱業務の特別教育は労働安全衛生法59条3項に基づく「事業者が労働者に行う教育」で、根拠法も義務を負う人も別です。特別教育の対象は労働安全衛生規則36条4号が定める「低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務」などで、電気工事士法3条が免状を求める電気工事の作業とは、条文の範囲が重なる部分があっても同じではありません。特別教育を受けたことは、電気工事士法3条の従事資格に含まれていません。

条文の出典は e-Gov 法令検索です(2026-10-04 時点の現行条文)。労働安全衛生法・同規則は2026年10月1日施行の版、電気工事士法は2025年6月1日施行の版です。

特別教育と電気工事士の違い(比較表)

比べる点電気工事士(電気工事士法)低圧電気取扱業務の特別教育(労働安全衛生法・規則)
根拠電気工事士法3条労働安全衛生法59条3項、労働安全衛生規則36条4号
法の目的「電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること」(1条)「職場における労働者の安全と健康を確保する」ことなど(1条)
何を定めるか電気工事の作業に従事できる者の資格(免状・認定証)危険又は有害な業務に労働者をつかせるときに、事業者が行う特別の教育
義務の向き作業に従事する者に「免状がなければ従事してはならない」事業者に「特別の教育を行なわなければならない」
対象一般用電気工作物等・自家用電気工作物の電気工事の作業(軽微な工事などを除く)低圧の充電電路の敷設・修理の業務、充電部分が露出している開閉器の操作の業務など(36条4号)
違反の罰則三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金(14条)六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金(119条1号に59条3項が含まれる)
罰則:電気工事士法14条は「三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金」、労働安全衛生法119条1号(59条3項違反を含む)は「六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」。最終確認日:2026-10-04。出典:電気工事士法・労働安全衛生法(e-Gov 法令検索)。

この表のとおり、二つは「資格を持つ人が作業する」と「事業者が労働者に教育を行う」という、別の仕組みです。合格ナビの第二種電気工事士の学科問題382問のうち、問題文か選択肢に「電気工事士法」が出る問題は13問です(2026-10-02 集計)。特別教育や労働安全衛生を扱う問題は、当サイトの問題にはありません(当サイト調べ。2026-10-02 時点・語句検索で0問。試験全体の出題範囲を示す数字ではありません)。

低圧電気取扱業務の特別教育とは(労働安全衛生法59条3項・規則36条4号)

労働安全衛生法59条3項は、事業者が「危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、…当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない」と定めています。「厚生労働省令で定めるもの」を列挙しているのが労働安全衛生規則36条で、低圧の電気は4号です。4号のうち低圧にかかわる部分は、次のとおりです。

  • 低圧(直流750V以下・交流600V以下)の充電電路の「敷設若しくは修理の業務」(対地電圧が50V以下のものや、電信用・電話用のもので感電による危害を生ずるおそれのないものを除く)
  • 配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧の電路のうち、充電部分が露出している開閉器の「操作の業務」(同じく50V以下のものなどを除く)

高圧・特別高圧の充電電路については、同じ4号に「敷設、点検、修理若しくは操作の業務」と別の書き方で定められています。低圧の部分に「点検」という語は条文上ありません。

特別教育の周辺の条文は次のとおりです。

条文内容
規則37条科目の全部または一部について十分な知識及び技能があると認められる労働者には、事業者がその科目の特別教育を省略できる
規則38条事業者は、受講者・科目等の記録を作成して3年間保存する
規則39条36条1号〜13号などの業務の特別教育の実施に必要な事項は、厚生労働大臣が定める(4号を含む)

科目の中身や時間数は、規則39条により厚生労働大臣が定める規程に書かれています。この記事では、一次の条文で確認できた範囲だけを書き、時間数は載せていません。

電気工事士法3条で線を引かれる「電気工事の作業」との重なりは、電気の充電電路を扱うという点にあります。ただし、特別教育が危険又は有害な業務につく労働者の安全のための事業者の義務であるのに対し、電気工事士法は電気工事の欠陥による災害を防ぐための資格の制度です。

この論点の問題を解く(電気工事士法の側):

電気工事士資格との違い(できる作業の範囲)

電気工事士法3条は、次のように作業に従事できる者を定めています。

  • 1項:第一種電気工事士でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない(特殊電気工事を除く。保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令で定めるものも除く)
  • 2項:第一種電気工事士または第二種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない(保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令で定めるものを除く)
  • 3項・4項:特殊電気工事には特種電気工事資格者、簡易電気工事には認定電気工事従事者の制度がある

ここでの「電気工事」は、同法2条3項により、一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事です(政令で定める軽微な工事を除く)。第二種電気工事士の範囲と、免状が要らない軽微な工事・作業の読み方は、電気工事士2種で何ができる?とコンセント・エアコン・DIYの資格要否で条文ごとに整理しています。

一方、特別教育は、工事を「設置し、又は変更する」かどうかではなく、「業務」が36条4号に当たるかどうかで決まります。そのため、電気工事士法の用語(電気工事・軽微な工事)で「免状が要らない」と判断できても、特別教育の対象かどうかは別に条文へ当てはめる必要があります。

この論点の問題を解く(第二種が従事できない作業):

特別教育だけで電気工事をしてよいか

電気工事士法3条が「従事してはならない」の例外として挙げているのは、第一種電気工事士・第二種電気工事士の免状の交付を受けている者(1項・2項)、特種電気工事資格者認定証の交付を受けている者(3項)、認定電気工事従事者認定証の交付を受けている者(4項)です。特別教育を受けたことは、この条文のどこにも出てきません。

したがって、次のように整理できます。

  • 電気工事士法の対象になる電気工事の作業(軽微な工事・省令で除かれた作業を除く)は、特別教育を受けていても、3条が定める免状等がなければ従事できません。違反には電気工事士法14条の罰則があります。
  • 軽微な工事(電気工事士法施行令1条)や、省令で除かれた作業は、そもそも3条の免状が要りません。その場合でも、業務が労働安全衛生規則36条4号に当たるなら、事業者は労働者に特別教育を行う義務を負います。
  • 電気工事士の免状を持っていれば特別教育が不要になる、とは、法・規則の条文に書かれていません。37条の省略は「十分な知識及び技能があると認められる」労働者について事業者が行う判断で、資格名を挙げていません。

つまり「特別教育を受けた」ことは「電気工事士と同じ工事ができる」ことを意味せず、「電気工事士の免状がある」ことは特別教育の扱いを自動では決めません。

特別教育の受け方(公的な根拠から確認できること)

条文から確認できるのは、次の点までです。

  • 特別教育を行う義務を負うのは事業者です(労働安全衛生法59条3項)。事業者が自分で行うか、外部の機関の教育を受けさせるかは、この条文だけでは決まりません。
  • 行ったときの記録は事業者が3年間保存します(規則38条)。
  • 科目・時間などの実施の細目は、厚生労働大臣が定めます(規則39条)。最新の規程は厚生労働省や都道府県労働局の公式な案内で確認してください。

講習を実施している団体名や料金は、この記事では取り上げません。実施主体は多くあり、内容や費用は変わるためです。働く事業場で必要な教育かどうかは、事業者や公的窓口に確認するのが確実です。

電気工事士を目指す人は、どちらを先に考えるか

電気工事士の免状は、試験(学科・技能)に合格し、申請して交付を受ける資格です。これから受験する場合は、受験資格・学科免除・合格率を第二種電気工事士の試験内容で、独学の進め方を独学ロードマップで確認できます。免状で扱える範囲全体は第二種電工 できる工事の範囲にまとめています。

よくある質問

Q低圧電気取扱業務の特別教育を受ければ、電気工事士の免状は要りませんか?

要る・要らないは法律ごとに別に決まります。電気工事士法3条は、一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事できる者として、第一種電気工事士または第二種電気工事士の免状の交付を受けている者を挙げています(軽微な工事などの除外は別にあります)。この条文には特別教育の修了は出てきません。

Q電気工事士の免状があれば、特別教育は受けなくてよいのですか?

労働安全衛生規則37条は、特別教育の科目の全部または一部について十分な知識と技能があると認められる労働者には、事業者がその科目の教育を省略できるとしています。条文は具体的な資格名を挙げていないため、免状があれば省略できるのかどうかは、この条文だけでは決まりません。働く事業場の事業者や、都道府県労働局などの公的窓口に確認してください。

Q特別教育を受けたことは、どこかに記録されますか?

労働安全衛生規則38条は、事業者が特別教育を行ったときは、受講者・科目等の記録を作成して3年間保存しなければならないと定めています。保存する義務を負うのは事業者です。

Q個人が特別教育だけを受けに行けますか?

労働安全衛生法59条3項が特別教育の実施を義務づけているのは、労働者を危険又は有害な業務につかせる事業者です。実施の細目は労働安全衛生規則39条により厚生労働大臣が定めています。個人が受講できる機会があるかどうかは、事業者や厚生労働省・都道府県労働局の公的な案内で確認してください。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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