問題
図のように,誘導性リアクタンスXL=10Ωに,次式で示す交流電圧v[V]が加えられている。v[V]=100√2 sin(2πft)[V]。この回路に流れる電流の瞬時値i[A]を表す式は。ただし,式においてt[s]は時間,f[Hz]は周波数である。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
コイル(誘導性リアクタンス)だけの回路では、電流は電圧より90°(π/2)遅れて流れます。電流の大きさ(実効値)は、電圧の実効値をリアクタンスで割って求めます。電圧の式 100√2 sin(2πft) の最大値は100√2Vなので、実効値は100Vです。100V÷10Ω=10Aなので、電流の最大値は10√2Aになります。これを「90°遅れ」とあわせて式にすると i=10√2 sin(2πft − π/2) です。遅れは「−(マイナス)」で表すことも覚えておきましょう。正答はア です。
【手順1:電流の大きさ】
v=Vm sin(2πft) の形で、最大値 Vm=100√2 V、実効値 V=Vm/√2=100 V。
電流の実効値 I=V/XL=100/10=10 A、最大値 Im=√2 I=10√2 A。
【手順2:位相】
誘導性リアクタンスだけの回路では、電流は電圧より π/2[rad](90°)遅れます。遅れは位相角をマイナスにして表すので、
i=10√2 sin(2πft − π/2) → 正答はア。
【ほかの選択肢が誤りの理由】
・イ:角周波数が πf になっていて(正しくは2πf)、最大値も10(実効値の10Aを最大値として書いている)。位相も進みになっています。
・ウ:−10cos(2πft+π/6) は 10 sin(2πft − π/3) と同じで、最大値が10、遅れが60°なので誤り。
・エ:2πft ではなく 2ft、さらに位相の90が度とラジアンの混在で、式として成り立っていません。
【位相が90°遅れる理由】
コイルの端子電圧は v=L di/dt です。i=Im sin ωt とおくと v=ωL Im cos ωt=ωL Im sin(ωt+π/2) となり、電圧が電流より90°進む、つまり電流は電圧より90°遅れることが分かります。同時に、最大値の比 Vm/Im=ωL=XL がリアクタンスの定義になります。コンデンサでは i=C dv/dt から逆に電流が90°進みます。
【式の読み取り方】
瞬時値の式 v=Vm sin(ωt+φ) から読み取るのは3つです。
①最大値Vm(実効値はVm/√2)
②角周波数ω=2πf(周波数fの2π倍)
③初期位相φ(+は進み、−は遅れ)
本問では①100√2 V、②2πf、③0 で、電流は①10√2 A、②2πf(周波数は変わらない)、③−π/2 となります。正弦波交流では、線形の回路素子を通っても周波数は変わらない点も選択肢を絞る手がかりになります。
【cos表示との変換】
−cos x = sin(x − π/2)、cos x = sin(x+π/2) を使うと、cos で書かれた式も sin にそろえて比較できます。正答の式は i=−10√2 cos(2πft) とも書けます。
【実務とのつながり】
誘導電動機や変圧器の励磁電流は、このような遅れ電流を含むため、受電点の力率が遅れになります。高圧受電設備で進相コンデンサを設置して力率を改善するのは、この遅れ電流を進み電流で打ち消すためです。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:平成30年度 第一種電気工事士 学科試験 問3(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-14)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


