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地方自治法第232条の2(寄附・補助)の逐条解説条文の読み方と行政書士試験の地方自治法

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

地方自治法第232条の2(寄附又は補助)の条文を、e-Gov の現行条文で1文ずつ読み解き、予算・議決・支出の流れ、住民監査請求・住民訴訟との関係を整理。行政書士試験の令和2〜7年度の地方自治法の出題20問も、公式の問題から数えて紹介します。

目次
  1. 第232条の2の条文(全文)と要点
  2. 逐条の読み方:1文を4つに分ける
  3. 予算・議決・支出の流れの中での位置
  4. 違法・不当な支出になったとき:住民監査請求と住民訴訟
  5. 行政書士試験での位置づけ:令和2〜7年度の地方自治法
  6. 学習の進め方(当サイトの例)
  7. 当サイトのオリジナル問題(例題つき)
  8. まとめ
結論:地方自治法第232条の2は、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」という1文だけの規定です。要件は「公益上必要がある場合」、効果は「寄附又は補助をすることができる」(義務ではなく許容)です。「公益上必要」の定義は条文にありません。この規定による支出も、予算の議決を経て行われ、違法または不当な公金の支出として住民監査請求(第242条)の対象になりえ、違法な支出であれば住民訴訟(第242条の2)の対象にもなりえます。行政書士試験では、令和2〜7年度の6年間、第232条の2は出題されておらず、地方自治法は毎年3〜4問、主に住民監査請求・住民訴訟、事務、条例、長と議会などから出ています。

この記事の条文は、e-Gov 法令検索の地方自治法の現行条文(2026-10-04 時点。施行日2026-09-24の版)です。出題の数は、行政書士試験研究センターが公開している令和2〜7年度の問題を、当サイトが読んで数えたものです。最高裁判例の個別の判断内容は、この記事では扱いません。

当サイトの行政法の問題153問のうち、地方自治法を扱う問題は22問です(2026-10-04 集計。当サイトのサブカテゴリ・タグで数えたもの)。第232条の2そのものを扱う問題はありません。すべて、公式の問題を写さず、論点をもとに当サイトが作った問題です。

第232条の2の条文(全文)と要点

項目内容
条名第232条の2(見出し:寄附又は補助)
位置第二編 普通地方公共団体 第九章 財務 第四節 支出
条文「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」
項の数1文のみ(項の区分はない)
要件その公益上必要がある場合
効果寄附又は補助をすることができる(許容。義務ではない)
主語普通地方公共団体

第九章 財務の第四節 支出には、第232条(経費の支弁等)、第232条の2(寄附又は補助)、第232条の3(支出負担行為)、第232条の4(支出の方法)が並んでいます。第232条の2は、そのうち「補助や寄附は、どんなときにしてよいか」を定めた1条です。

逐条の読み方:1文を4つに分ける

条文は1文ですが、4つに分けると読みやすくなります。

条文の部分読み方
「普通地方公共団体は」規定を受けるのは、普通地方公共団体(都道府県・市町村)です。個人や民間団体が、補助を受ける権利を定めた規定ではありません。
「その公益上必要がある場合においては」条件です。「公益上必要」の定義は条文にありません。この語は地方自治法に5か所出てきますが(第232条の2を含む)、定義した規定はありません。
「寄附又は補助を」対象です。寄附と補助の区別や、金額の上限は、この条文には書かれていません。
「することができる」効果です。「しなければならない」ではなく、「できる」なので、公益上必要があれば、補助や寄附をする権限があります。義務ではありません。

つまり、この条文は、「公益上必要」という条件を満たすときに限って、寄附や補助が許される、という枠を定めたものです。条件を満たすかどうかの判断は、条文の外にあります。判断の基準を知りたいときは、裁判所の裁判例検索で、参照法条に「地方自治法232条の2」を入れて調べる方法があります(この記事は、判例の個別の判断内容は扱いません)。

予算・議決・支出の流れの中での位置

補助や寄附は、条文があれば自動的にできるわけではありません。普通地方公共団体の支出は、予算の議決と、支出の手続を経て行われます。

段階条文内容
予算の調製・議決第211条第1項、第96条第1項2号長は毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならない。予算を定めることは、議会の議決事件
予算の原則第210条一会計年度における一切の収入及び支出は、すべて歳入歳出予算に編入しなければならない(総計予算主義)
予算の執行第149条2号長は、予算を調製し、及びこれを執行する
支出負担行為第232条の3支出の原因となる契約その他の行為は、法令又は予算の定めるところに従ってしなければならない
支出の方法第232条の4第1項・第2項会計管理者は、長の命令がなければ支出できず、命令を受けても、支出負担行為が法令又は予算に違反していないことなどを確認したうえでなければ支出できない

第232条の2は、このうち「何のために補助・寄附をしてよいか」という実体の枠です。予算に補助金が計上され、議会が議決し、長が執行し、会計管理者が確認して支出する、という流れの中で、「公益上必要」が、補助・寄附の根拠として働きます。

補助が金銭ではなく、財産の提供の形をとる場合は、別の条文も関わります。第96条第1項6号は、条例で定める場合を除き、適正な対価なくして財産を譲渡し、または貸し付けることを、議会の議決事件としています。第237条第2項も、財産は、条例または議会の議決による場合でなければ、適正な対価なくして譲渡し、または貸し付けてはならないという趣旨の規定です。第96条(議会の議決事件)を条文の順に読みたいときは、地方自治法をわかりやすく(条文の構成と第96条の逐条解説)を参照してください。

なお、地方財政法第4条の5は、地方公共団体が、他の地方公共団体または住民に対し、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならないと定めています。これは、地方公共団体が寄附を受ける側の話で、第232条の2(寄附をする側)とは向きが逆の規定です。

地方自治法の現行条文の版:施行日2026-09-24の版(e-Gov 法令API v2 の現行版。第232条の2の本文は、API に載っている2024-01-01施行の版から未施行の版まで、64版すべてで同じ)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 地方自治法。

違法・不当な支出になったとき:住民監査請求と住民訴訟

第242条第1項は、普通地方公共団体の住民が、長や職員について、違法または不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行などがあると認めるときに、監査委員に監査を求める請求(住民監査請求)を定めています。補助金や寄附の支出も、公金の支出ですので、この制度の対象になりえます。

住民監査請求のあとに、住民訴訟(第242条の2)があります。

項目条文内容
請求できる期間第242条第2項行為のあった日または終わった日から1年を経過したときは、できない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない
監査・勧告の期限第242条第6項請求があった日から60日以内
住民訴訟の前提第242条の2第1項住民監査請求をした場合において、監査の結果・勧告・措置に不服があるとき、または監査委員が期間内に監査・勧告を行わないときなど(住民監査請求の前置)
住民訴訟の類型第242条の2第1項1〜4号1号 差止め、2号 取消し・無効確認、3号 怠る事実の違法確認、4号 損害賠償・不当利得返還の請求をすることを求める請求
提訴期間第242条の2第2項・第3項監査の結果の通知があった日から30日以内など。不変期間
住民監査請求・住民訴訟の期間:住民監査請求は、行為のあった日または終わった日から1年(正当な理由があるときを除く)。監査・勧告は請求の日から60日以内。住民訴訟は、監査の結果等の通知があった日などから30日以内(不変期間)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 地方自治法 第242条・第242条の2。

これらの条文は、具体的な事案の判断ではなく、制度の枠を示すものです。補助金の適否に不安があるときの対応は、事案ごとに異なるため、専門家に相談してください。

行政書士試験での位置づけ:令和2〜7年度の地方自治法

令和8年度の試験案内は、行政法の出題範囲を「行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする」と書いています(令和8年度行政書士試験のご案内)。法令は令和8年4月1日現在施行されているものが出題されます。

行政書士試験研究センターが公開している令和2年度・令和3年度・令和4年度・令和5年度・令和6年度・令和7年度の問題から、地方自治法を主題とする問題のテーマを、当サイトが数えました(問題文と選択肢は写していません)。

年度地方自治法の問題(問番号:テーマ)問数
令和2年度問10 契約/問22 住民/問23 自治事務と法定受託事務/問24 住民訴訟4問
令和3年度問22 公の施設/問23 普通地方公共団体に適用される法令等/問24 長と議会の関係3問
令和4年度問22 条例/問23 住民監査請求・住民訴訟/問24 都道府県の事務/問26 国籍と住民の地位4問
令和5年度問22 区域・境界/問23 直接請求/問24 事務の共同処理3問
令和6年度問22 事務/問23 住民監査請求・住民訴訟/問24 条例・規則3問
令和7年度問22 条例の適法性/問23 知事と議会の関係/問24 国・都道府県の関与3問

6年間で20問、1年あたり3〜4問です。令和7年度の判定基準では、5肢択一式は1問4点なので、3問で12点です(令和2〜6年度の1問あたりの配点は、この記事では扱いません)。分野別に数えると、次のとおりです(分類は当サイトによる)。

分野問数出題された年度・問
条例・規則・適用される法令4問令和3年度問23、令和4年度問22、令和6年度問24、令和7年度問22
住民監査請求・住民訴訟3問令和2年度問24、令和4年度問23、令和6年度問23
事務(自治事務・法定受託事務・都道府県の事務)3問令和2年度問23、令和4年度問24、令和6年度問22
住民(直接請求・地位)3問令和2年度問22、令和4年度問26、令和5年度問23
区域・共同処理・公の施設3問令和3年度問22、令和5年度問22、令和5年度問24
長と議会2問令和3年度問24、令和7年度問23
国の関与1問令和7年度問24
契約1問令和2年度問10

上の20問は、5肢択一式で地方自治法を主題とする問題だけを数えたものです。多肢選択式・記述式にも、地方自治に関わる題材が出る年があります(令和2年度の問43は、普通地方公共団体の議会の議員への懲罰を題材にした判決の多肢選択式。令和5年度の問44は、市議会議員への出席停止の懲罰を題材にした記述式。令和7年度の問42は、条例と国の法令との関係を述べた判決の多肢選択式)。これらは上の20問に含めていません。

第232条の2が属する第九章(財務)から出ているのは、令和2年度の契約(問10)と、令和2・4・6年度の住民監査請求・住民訴訟(問24・問23・問23)です。令和2〜7年度の問題の全文に、「公益上必要」「232条の2」の語は出てきません。令和2〜7年度の6年分でみると、第232条の2の優先度は高くありません。同じ第九章でも、住民監査請求・住民訴訟(第242条・第242条の2)は、偶数年度(令和2・4・6年度)に出ています。これは過去の事実であって、次の年度の出題を約束するものではありません。

学習の進め方(当サイトの例)

地方自治法は条文が多い法律ですが、令和2〜7年度の20問は、上の表のように分野が分かれています。条文の読み方を身につけるなら、次の順が例として考えられます(当サイトが、過去6年の集計から組み立てた例で、どれが出るかを予想するものではありません)。

  • ① 住民監査請求・住民訴訟(第242条・第242条の2):偶数年度に3回出ています。期間(1年・60日・30日)と、監査請求の前置を、条文の数字とセットで確認します。
  • ② 条例・規則・事務:6年で計7問(条例・規則・適用法令4問、事務3問)。条例の制定の限界と、自治事務・法定受託事務の区別を確認します。
  • ③ 財務の条文(第232条の2など)は、①②が固まったあとに、予算・議決・支出の流れの中で「何がどの条文か」を整理する程度で足ります。

第232条の2は、条文が短いため、試験で問うとすれば、「公益上必要がある場合に、寄附または補助をすることができる」という要件と効果が中心になります。行政法全体の進め方は行政書士の行政法対策、訴訟類型は行政事件訴訟法の準用の覚え方で整理しています。

当サイトのオリジナル問題(例題つき)

当サイトの行政法の問題のうち、地方自治法の問題は22問です。直接請求、住民監査請求・住民訴訟、条例、長と議会、専決処分、公の施設、国の関与などを扱い、解説は初級・標準・上級の3段階で読めます。次の例題は、当サイトが作った問題で、本試験の問題ではありません。

例題:次の記述のうち、地方自治法の規定に照らし、正しいものはどれか。
ア 住民監査請求は、行為のあった日から1年を経過した場合には、正当な理由があるときであっても、することができない。
イ 住民訴訟は、監査委員の監査の結果に不服がある場合には、当該監査の結果の通知があった日から30日以内に提起しなければならない。
ウ 住民訴訟は、住民監査請求をしていなくても、提起することができる。
エ 地方自治法第232条の2は、普通地方公共団体に対し、寄附または補助をすることを義務として定めている。

答え:イ。

  • ア:誤り。第242条第2項は、1年を経過したときはできないとしたうえで、ただし書で「正当な理由があるときは、この限りでない」と定めています。
  • イ:正しい。第242条の2第2項1号は、監査委員の監査の結果または勧告に不服がある場合は、当該監査の結果または当該勧告の内容の通知があった日から30日以内に提起しなければならないと定めています。
  • ウ:誤り。第242条の2第1項は、住民が前条第1項の規定による請求(住民監査請求)をした場合に提起できると定めています(住民監査請求の前置)。
  • エ:誤り。第232条の2は、公益上必要がある場合に「寄附又は補助をすることができる」と定めており、義務ではありません。

まとめ

  • 地方自治法第232条の2は、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。」という1文です。要件は「公益上必要」、効果は「できる」(義務ではない)です。
  • 「公益上必要」の定義は条文にありません。補助・寄附は、予算の議決(第96条第1項2号・第211条)、支出負担行為(第232条の3)、支出の確認(第232条の4)を経て行われます。
  • 違法または不当な公金の支出は住民監査請求(第242条)の対象に、そのうち違法なものは住民訴訟(第242条の2)の対象になりえます(住民訴訟は、不当にとどまる行為は対象にしていません)。期間は、監査請求が1年(正当な理由があるときを除く)、住民訴訟が30日(不変期間)などです。
  • 行政書士試験では、令和2〜7年度の6年間、第232条の2は出題されていません。地方自治法は6年で20問(年3〜4問)で、住民監査請求・住民訴訟、事務、条例、長と議会などから出ています。

地方自治法の問題で、住民監査請求・住民訴訟や条例の論点を確認したい方は、次のハブから科目別に解けます。診断では、自分に合う勉強プランの型がわかります。

よくある質問

Q地方自治法第232条の2は、行政書士試験に出ますか?

令和2〜7年度の6年分の問題には、「232条の2」「公益上必要」の語が出てくる問題はありません(出典:行政書士試験研究センターが公開している各年度の問題。2026年10月4日時点)。一方、地方自治法そのものは、毎年、問22〜24を中心に出題されています。第232条の2が属する第九章(財務)から出ているのは、令和2年度の契約の問題と、令和2・4・6年度の住民監査請求・住民訴訟の問題です。

Q第232条の2の「公益上必要がある場合」とは、どのような場合ですか?

条文そのものには、「公益上必要」の定義は書かれていません。地方自治法には、この語を定義した規定はありません(e-Gov 法令検索の現行条文、2026年10月4日時点)。具体的な事案で公益上の必要があったかどうかは、個別の判断になります。判例の個別の判断内容は、この記事では扱いません。

Q第232条の2は、寄附や補助をする義務を定めた規定ですか?

義務ではありません。条文は「寄附又は補助をすることができる。」と書いており、公益上必要がある場合に、することが許される、という形の規定です。

Q補助金が違法または不当だと思うとき、住民はどうすればよいですか?

地方自治法第242条第1項は、住民が、違法または不当な公金の支出などがあると認めるとき、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求できると定めています。請求は、行為のあった日または終わった日から1年を経過するとできません(正当な理由があるときを除く)。個別の事案の判断や手続は、弁護士などの専門家に相談してください。

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