行政書士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

行政書士 行政法 問148|地方自治法・監査委員制度の概要・権限・独立性

問題

行政書士 | 行政法

地方自治法上の監査委員制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

ウが正しい記述です。地方自治法199条4項は、監査委員は毎会計年度少なくとも1回以上、期日を定めて財務監査(同条1項の監査)をしなければならないと規定しています(定期監査)。また、同条5項により必要があると認めるときはいつでも監査できる随時監査も認められています(ウ正しい)。アは「議会の同意は不要」としていますが、196条1項は「監査委員は、長が議会の同意を得て選任する」と規定しており、議会の同意が必要です(ア誤り)。イは「補助機関たる職員のうちから選任できる」としていますが、196条3項は「監査委員は、地方公共団体の常勤の職員及び短時間勤務職員と兼ねることができない」とし、執行機関の職員との兼職を禁じています(イ誤り)。エは「多数決により決定できる」としていますが、監査の結果に関する報告の決定は監査委員の合議によるものとされ(199条12項)、意見が一致せず合議で決定できない事項は、その旨と各監査委員の意見を議会・長等に提出し公表しなければなりません(同条13項・エ誤り)。オは「監査委員が被告」としていますが、住民訴訟の被告は執行機関又は職員であり監査委員ではありません(オ誤り)。

地方自治法上の監査委員制度の基本構造を整理します。

設置と選任(195条・196条):

  • 監査委員は普通地方公共団体に必ず設置されます(必置機関・195条1項)。
  • 長が議会の同意を得て選任します(196条1項・ア誤りの根拠)。
  • 識見を有する者のうちから選任される委員と、議員のうちから選任される委員が混在します(196条1項。議員選出の委員は条例で置かないこともできる)。
  • 監査委員は、地方公共団体の常勤・短時間勤務の職員と兼ねることができません(196条3項・イ誤りの根拠)。これは監査の独立性確保のためです。

職務(199条):

  • 財務監査(199条1項): 財務に関する事務の執行・経営に係る事業の管理を監査。
  • 行政監査(199条2項): 一般的な行政事務の執行の監査も監査委員の権限内。
  • 定期監査(199条4項): 毎会計年度少なくとも1回以上、期日を定めて財務監査を実施(ウ正しい)。
  • 随時監査(199条5項): 必要と認めるときに随時実施可能。

意思決定(合議): 監査の結果に関する報告等の決定は、監査委員の合議によります(199条12項)。各監査委員の意見が一致せず合議で決定できない事項は、その旨と各監査委員の意見を議会・長等に提出し公表します(同条13項)。エの「多数決により監査報告を決定することができる」は誤りです(エ誤りの根拠)。

住民訴訟の被告(オの誤り): 住民訴訟(地自法242条の2)において、242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求・不当利得返還請求の訴訟(4号訴訟)の被告は、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員です。監査委員が被告になるわけではありません。

【監査委員制度の意義と独立性確保のメカニズム】

監査委員は地方公共団体の財務・行政運営を公正・効率的に執行されているかチェックする機能を担う独立した機関です。長から独立した監査機能を確保するため、以下の制度的手当てが講じられています:

①選任における議会の同意(196条1項): 長が候補を選定しますが、議会の同意なしには選任できず、民主的コントロールが加わります(アの誤り)。

②兼職禁止(196条3項): 地方公共団体の常勤・短時間勤務の職員との兼職が禁止されており、執行機関からの独立性が確保されます(イの誤り・独立性の核心)。

③任期の保障(197条): 監査委員の任期は識見委員が4年、議員委員が議員の任期で保障されており、長による恣意的な任免に対する身分保障があります。

④罷免の制限(197条の2): 監査委員を罷免するには、心身の故障・職務上の義務違反等の事由があり、かつ議会の同意を要するなど、長が一方的に罷免することはできません。

【財務監査・行政監査・定期監査・随時監査の詳細(ウの根拠)】

199条の監査の種類:

  • 財務監査(199条1項): 財務に関する事務の執行及び地方公共団体の経営に係る事業の管理について行います。
  • 行政監査(199条2項): 財務以外の一般行政事務の執行についても監査できます(事務の管理・執行が法令に適合し、かつ正確・最少経費で最大効果を挙げているかの監査)。
  • 定期監査(199条4項): 毎会計年度少なくとも1回以上、期日を定めて財務監査(1項の監査)を実施します(ウの根拠)。
  • 随時監査(199条5項): 必要と認めるときはいつでも実施可能。
  • 財政援助団体等の監査(199条7項): 地方公共団体が補助金等を交付している団体や出資法人等についても、その補助金等に係る会計について監査できます。

【意思決定と合議(エの誤りの詳細)】

監査委員は独任制の機関ですが、監査の結果に関する報告の決定、意見の決定、勧告の決定は監査委員の「合議」によるものとされています(199条12項)。そして同条13項は、監査の結果に関する報告の決定について「各監査委員の意見が一致しないことにより、前項の合議により決定することができない事項がある場合」には、その旨及び当該事項についての各監査委員の意見を議会・長等に提出するとともに、これらを公表しなければならないと定めています。意見が一致しない事項は合議で決定できないことが前提であり、多数決で決定する仕組みではありません。したがって、エの「一部の委員が反対した場合でも、多数決により監査報告を決定することができる」は誤りです。

【住民訴訟における監査委員の役割と被告不存在(オの誤いの詳細)】

住民訴訟(242条の2)は、住民監査請求(242条)を前置した後に、監査結果・是正措置等に不服の住民が提起します。住民訴訟の訴訟類型:

  • 1号: 当該行為の差止め(執行機関又は職員が被告)
  • 2号: 行政処分の取消し・無効確認(行政庁が被告)
  • 3号: 怠る事実の違法確認(執行機関又は職員が被告)
  • 4号: 当該職員・相手方に損害賠償・不当利得返還の請求をすることを執行機関又は職員に求める請求(執行機関又は職員が被告)

監査委員は住民訴訟において被告とはなりません。監査委員は住民監査請求を受け付け監査を実施する機関であり、4号訴訟の被告は当該普通地方公共団体の執行機関又は職員です。オの「監査委員が被告となる」という記述は完全な誤りです。住民監査請求制度が「行政内部の監査(監査委員)」を通じた内部チェック機能として機能し、住民訴訟が「司法による外部チェック」として機能するという二層構造を理解しておくことが重要です。

【根拠条文】

地方自治法 第195条(監査委員の設置)、第196条(選任・議会同意・兼職禁止=3項)、第197条(任期)、第197条の2(罷免)、第199条(財務監査=1項・行政監査=2項・定期監査=4項・随時監査=5項・合議=12項・意見不一致=13項)、第242条(住民監査請求)、第242条の2(住民訴訟)

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 地方自治法 第195条(監査委員の設置)、第196条(選任・議会同意)、第199条(監査委員の職務) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

この問題の関連トピック

  • 地方自治法・監査委員制度の概要・権限・独立性
  • 頻出度B

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