行政書士試験の基礎法学の出題数・配点は公表されていません。令和5〜7年度の試験問題の問1・問2を開いて分かること、裁判制度など出題範囲の押さえ方、得点のねらいどころ、学習時間のかけ方を整理します。
目次
結論:基礎法学は、行政書士試験の法令等(46題)に含まれる科目ですが、行政書士試験研究センターは出題数と配点を公表していません。令和5〜7年度の試験問題では、5肢択一式の問題1・問題2の位置にあたり、1問4点なら2問8点(300点の2.7%)です。問題1は著作権の関係でセンターが掲載しておらず、問題2は年度ごとに裁判員制度・訴訟手続の原則・法人の類型と、主題が違いました。
| 知りたいこと | 答え | 該当する節 |
|---|---|---|
| 科目の位置づけ | 法令等46題は憲法・行政法・民法・商法・基礎法学から出題(センターの記載) | 基礎法学とは |
| 出題数・配点 | 公表なし。令和5〜7年度は問1・問2の位置=2問・8点と数えられる | 出題数と配点 |
| 実際の問題 | 問1は非掲載。問2は裁判員制度・訴訟手続・法人の類型 | 問1・問2 |
| 範囲の押さえ方 | 裁判所と三審制・司法権・法の序列・訴訟手続 | 範囲の押さえ方 |
| 時間のかけ方 | 配点で按分すると週18時間のうち約29分 | 学習時間 |
基礎法学とは:センターの記載
行政書士試験の試験科目は、受験案内に次のとおり書かれています(出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)。
行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46題):憲法、行政法(…)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、令和8年4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
つまり、基礎法学は憲法・行政法・民法・商法と並ぶ科目名として挙げられています。一方、基礎法学の中身(どの分野を指すか)、出題数、配点は、受験案内・試験の概要・合否判定基準のいずれにも書かれていません(2026-10-04 に確認)。
出題数と配点:公表されていないことと、数えた結果
合否判定基準が公表しているのは、形式ごとの配点です。令和7年度は、法令等が5肢択一式40問160点・多肢選択式3問24点・記述式3問60点の計244点、基礎知識が14問56点、合計300点でした。択一式は1問4点です。科目別の配点は載っていません。
令和7年度 行政書士試験の配点:法令等244点(5肢択一式40問160点・多肢選択式3問24点・記述式3問60点)、基礎知識56点、合計300点。5肢択一式は1問4点。科目別の出題数・配点は公表なし。令和8年度の配点・合格基準点は発表前。最終確認日:2026-10-04。出典:行政書士試験研究センター 令和7年度行政書士試験合否判定基準。
そこで当サイトは、問題冊子の問題番号の並びから数えています。令和5〜7年度の3年とも、法令等の5肢択一式40問は、問題3から憲法、問題8から行政法、問題27から民法、問題36〜40が商法・会社法の並びでした(令和7年度は憲法5問・行政法19問・民法9問・商法5問)。その手前の問題1・問題2が基礎法学の位置で、2問です。
| 計算 | 結果 |
|---|---|
| 5肢択一式40問の内訳(令和7年度) | 基礎法学2+憲法5+行政法19+民法9+商法5=40問 |
| 基礎法学の配点(1問4点) | 2問×4点=8点 |
| 300点に占める割合 | 8÷300=2.7% |
| 5肢択一式160点に占める割合 | 8÷160=5.0% |
この「2問・8点」は、センターが公表した数字ではなく、問題番号の並びからの推定です。問題1は著作権の関係で冊子に掲載されておらず(次の節)、内容を確かめられないためです。科目別の配点全体は行政書士の科目別の優先順位にあります。
令和5〜7年度の問題1・問題2
この節では、令和5〜7年度の試験問題の問題1・問題2の主題を扱います(出典:令和7年度、令和6年度、令和5年度の各試験問題)。設問文と選択肢はセンターの許諾が必要なため転載せず、主題だけを記します。
| 年度 | 問題1 | 問題2の主題(当サイトの要約) | 問題3の主題 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 掲載なし | 裁判員制度(裁判員法の規定) | 法の下の平等(憲法) |
| 令和6年度 | 掲載なし | 訴訟の手続の原則(民事訴訟・刑事訴訟・非訟事件手続) | 人格権と夫婦同氏(憲法) |
| 令和5年度 | 掲載なし | 法人等(法人の類型) | 基本的人権の制約(憲法) |
センターの過去の試験問題と正解のページには、令和2〜7年度のすべてで「問題1…については著作権の関係から掲載しておりません」と書かれています。問題1の内容は、公式の資料には載っていません。
この表から言えることは次の2点です(3年分の範囲の事実で、今後の出題を予測するものではありません)。
- 問題2の主題は、裁判手続に関するものが2年(裁判員制度、訴訟手続の原則)、法人制度に関するものが1年で、年度によって違いました。基礎法学の範囲は、裁判制度に限らず、法の仕組み全般を含む可能性があります
- 問題3からは、どの年度も憲法でした。基礎法学と憲法の境目は、問題番号で見ると問題2と問題3の間です
範囲の押さえ方:裁判制度・法の序列・訴訟手続
範囲が公表されていないため、ここでは、令和5〜7年度の問題2の主題と、法令の基本構造を手がかりに、押さえておきたい土台を整理します。条文の出典は e-Gov 法令検索の現行条文(2026-10-04 時点)です。
| 項目 | 押さえる点 | 出典 |
|---|---|---|
| 裁判所の種類 | 下級裁判所は高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所(最高裁判所のほか) | 裁判所法 第2条 |
| 三審制の入口 | 地方裁判所の第一審判決への控訴は高等裁判所、上告は最高裁判所が扱う(原則) | 裁判所法 第16条第1号・第7条第1号 |
| 司法権の範囲 | 裁判所は、日本国憲法に特別の定がある場合を除いて一切の「法律上の争訟」を裁判する | 裁判所法 第3条第1項 |
| 違憲審査 | 最高裁判所は一切の法律・命令・規則・処分が憲法に適合するかを決定する終審裁判所 | 日本国憲法 第81条 |
| 法の序列 | 憲法は国の最高法規。条例は「法律の範囲内」で制定 | 日本国憲法 第98条第1項・第94条 |
| 慣習 | 公序良俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する | 法の適用に関する通則法 第3条 |
裁判所の種類と三審制
憲法76条は、司法権を最高裁判所と法律で設置する下級裁判所に属させ、特別裁判所の設置を禁じ、行政機関が終審として裁判を行うことを禁じています。裁判所法2条は、下級裁判所を高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所とします。三審制は「原則」であり、事件の種類で例外があるため、問題を解くときは選択肢の「すべて」「常に」「一切」に注意します。
- 裁判所の種類と管轄(基礎法学 問25)
- 三審制と各裁判所の役割(基礎法学 問13)
- 裁判の種類と民事・刑事・行政の区別(基礎法学 問14)
- 司法権の範囲と限界(基礎法学 問15)
- 違憲審査制の類型(基礎法学 問31)
法の序列と法源
憲法98条1項は、憲法を国の最高法規とし、その条規に反する法律・命令・詔勅等を無効としています。条例は憲法94条のとおり「法律の範囲内で」制定されます。法源(法の存在形式)には、成文法のほか、慣習法があり、通則法3条が慣習の効力の条件を定めています。
訴訟手続の原則と裁判員制度
民事訴訟と刑事訴訟では、手続の原則が違います。たとえば、民事訴訟法247条は、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果をしん酌して「自由な心証」により事実を判断すると定め、刑事訴訟法248条は、検察官が諸事情により訴追を必要としないときに公訴を提起しないことができると定めています。民事・刑事・非訟で、誰が何を主張・立証するかを、条文の言葉で区別できるようにしておきます。
裁判員制度は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(e-Gov法令検索)が定めています。押さえる骨組みは、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容 | 条 |
|---|---|---|
| 担当する裁判所と事件 | 地方裁判所。死刑又は無期拘禁刑に当たる罪の事件などが対象 | 裁判員法 第2条第1項 |
| 構成 | 原則、裁判官3人・裁判員6人(例外の決定があった場合は別の員数) | 裁判員法 第2条第2項 |
| 選任資格 | 衆議院議員の選挙権を有する者の中から選任 | 裁判員法 第13条 |
| 秘密保持 | 評議の秘密その他職務上知り得た秘密を漏らしてはならない | 裁判員法 第9条第2項 |
| 罰則 | 裁判員が評議の秘密等を漏らしたときは6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金 | 裁判員法 第108条第1項 |
当サイトの基礎法学の問題には、裁判員制度と、民事訴訟・刑事訴訟の手続の原則(起訴便宜主義・自由心証主義)そのものを主題にした問題はまだありません(2026-10-04 時点)。刑事手続の基本は次の問題で確認できます。
得点のねらいどころ:2問8点をどう見るか
基礎法学を2問・8点と数えたとき、1問は300点の1.3%(4÷300)です。合格基準点は、法令等122点以上、基礎知識24点以上、全体180点以上の3つで、基礎法学だけの基準点はありません(出典:令和7年度合否判定基準)。
| 基礎法学の正解数(2問) | 得点 | 法令等の上限 | 全体の上限 |
|---|---|---|---|
| 2問 | 8点 | 244点 | 300点 |
| 1問 | 4点 | 240点 | 296点 |
| 0問 | 0点 | 236点 | 292点 |
0問のとき、法令等の基準点122点は上限236点の51.7%(122÷236)、全体の基準点180点は上限292点の61.6%(180÷292)です。2問を落としても合格基準が閉ざされるわけではありませんが、他の科目で必要な得点率が少し上がります。
なお、基礎法学の問題が易しい(または難しい)と述べている公式の資料はありません。令和5〜7年度の問題2は、裁判員法・訴訟法・法人制度という、条文や制度の知識に基づく主題でした(当サイトの読みです)。得点源として見込むかどうかは、当サイトの問題を解いた感触で決めるのが現実的です。
学習時間のかけ方(当サイトの目安)
センターは、科目別の勉強時間を公表していません。ここでは、配点の按分という当サイトの算数を示します。行政書士の学習スケジュールの例(平日2時間×5日+休日4時間×2日=週18時間)に当てはめると、次のとおりです。
| 計算 | 結果 |
|---|---|
| 基礎法学の配点の割合 | 8÷300=2.7% |
| 週18時間のうち、配点で按分した時間 | 18×(8÷300)=0.48時間(約29分) |
この約29分は、配点に比例させただけの計算で、合格に必要な時間ではありません。基礎法学の内容(裁判制度、法の序列、条文の読み方)は、憲法・行政法・民法の学習でも使います。当サイトの考え方としては、独立した科目として長時間を割くより、次の使い方が現実的です。
- 憲法・行政法を学ぶ前に、裁判所の種類・三審制・法の序列を、上の表の範囲で一度通読する
- 週に1回、基礎法学の問題を数問解いて、条文の言葉と選択肢の「すべて」「常に」「一切」の使い方に慣れる
- 当サイトの基礎法学の問題は34問で、全493問の6.9%です(2026-10-04 時点)。配点の割合(2.7%)より問題数の比率が高いため、全問を同じ重さで繰り返さず、苦手な論点に絞ってもかまいません
勉強の順序は行政書士の勉強法|科目別の効率的な進め方、試験の構成全体は行政書士試験の合格ガイドにまとめています。
よくある質問
Q行政書士試験の基礎法学は何問出ますか?
行政書士試験研究センターは、基礎法学の出題数を公表していません。受験案内には、法令等46題が「憲法、行政法、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題」されると書かれているだけです。令和5〜7年度の試験問題では、5肢択一式の問題1・問題2の位置(問題3から憲法)にあたるため、当サイトは2問と数えています。これは問題番号の並びからの推定です(出典:行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題)。
Q基礎法学を捨てても合格できますか?
令和7年度の配点で、基礎法学を問題1・2の2問(1問4点=8点)と数えた場合、8点が0点でも全体は292点、法令等は236点が上限です。合格基準点の法令等122点は236点の51.7%、全体180点は292点の61.6%にあたります(令和7年度の基準。令和8年度の基準点は令和9年1月27日に公表予定と案内されています)。ただし、基礎法学の内容(裁判制度など)は憲法・行政法・民法の理解にも使います。
Q基礎法学の勉強時間はどのくらいが目安ですか?
センターは必要な勉強時間を公表していません。当サイトの算数では、週18時間の学習計画のうち、基礎法学の配点(300点中8点=2.7%)に比例させると約0.5時間(約29分)です。これは配点で按分した計算で、合格に必要な時間ではありません。
Q基礎法学の出題範囲は公式に決まっていますか?
センターが公表しているのは「基礎法学」という科目名までで、細かい範囲の一覧はありません。範囲を知る手がかりは、公表されている過去の試験問題(令和2〜7年度。問題1は著作権の関係で掲載なし)です。当サイトの基礎法学の問題34問は、当サイトが法の分類・法源・裁判制度などに分けて作った範囲で、公式の範囲の一覧ではありません。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

