行政書士

行政書士の就職先は?補助者・使用人行政書士・行政書士法人・企業内の違いを行政書士法で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

行政書士の資格を活かして働く形を、行政書士法と日本行政書士会連合会・単位会の案内で整理します。補助者と使用人である行政書士の違い(登録の要否・事務所の扱い)、行政書士法人、企業内で業務ができるか、会社員との兼業、40代未経験の疑問まで。求人や収入は扱いません。

目次
  1. 補助者として働く:登録を要件とする規定は確認できない
  2. 使用人である行政書士と補助者の違い:登録の要否と事務所
  3. 行政書士法人で働く:社員と使用人
  4. 企業内(社内)行政書士:登録しないと業務はできない
  5. 会社員との兼業・会社勤め:登録と就業規則
  6. 40代未経験・就職活動の疑問:年齢の要件はあるか
  7. まとめ
  8. 関連記事
結論:行政書士の資格を活かして働く形は、法律上いくつかに分かれます。①行政書士の補助者(登録を要件とする規定はなく、行政書士の事務を補助する)、②使用人である行政書士(登録を受け、自分の事務所を設けずに他の行政書士・行政書士法人のもとで働く)、③行政書士法人の社員・使用人、④自分の事務所を設けて開業、⑤企業内。⑤は、他人の依頼を受けて報酬を得る書類作成を業とするには、行政書士か行政書士法人であることが要り(第19条第1項)、登録をしないまま行政書士の業務はできません。

この記事の条文の出典は、e-Gov 法令検索の行政書士法・行政書士法施行規則です(2026-10-04 時点の現行条文)。求人の件数、給与、採用の難易は、公式の一次情報がないため書きません。

働き方登録自分の事務所根拠
補助者として働く補助者になる条件を定めた規定は確認できない設けない(行政書士が置く)行政書士法施行規則第5条
使用人である行政書士として働く必要(登録申請に雇用契約書の写しが要る)設けてはならない行政書士法第8条第3項・日行連の新規登録の案内
行政書士法人の社員・使用人として働く必要(社員は行政書士であること)設けてはならない(第8条第1項の括弧書き・第3項)行政書士法第8条・第13条の5
自分の事務所を設けて開業する必要設けなければならない行政書士法第8条第1項
企業内で行政書士として業務を行う他人の依頼を受け報酬を得て業とするには、行政書士または行政書士法人であること会社とは独立した事務所が前提(石川県行政書士会の指針)。会社の指揮監督下での業務は名義貸しにあたると福岡県行政書士会が案内行政書士法第19条第1項・福岡県行政書士会・石川県行政書士会

登録の流れは行政書士 合格後にやることで、自分の事務所を設ける開業の要件や費用は行政書士の在宅ワーク・自宅開業で整理しています。この記事は、「雇われて働く」「企業で資格を使う」場合の法的な整理が中心です。

補助者として働く:登録を要件とする規定は確認できない

行政書士法施行規則第5条第1項は、「行政書士は、その事務に関して補助者を置くことができる」と定めています。第2項は、補助者を置いたとき、補助者に異動があったとき、補助者を置かなくなったときに、遅滞なく補助者の住所と氏名を行政書士会に届け出ることを求めています。行政書士法人にも、この規定は準用されます(施行規則第12条の3)。

確認できたのは次の点です。

  • 補助者になるための資格(試験合格や登録)を定めた規定は、施行規則第5条にありません。補助者を置くかどうか、誰を置くかは、事務所の側の判断です。
  • 補助者が手伝える事務の範囲は、第5条には書かれていません。範囲を知りたい場合は、所属する行政書士会に確認してください。
  • 補助者という立場は、行政書士の登録を前提としたものではありません。行政書士でない者は、他人の依頼を受け報酬を得て、業として、官公署に提出する書類などを作成する業務を行うことができません(行政書士法第19条第1項)。

試験の勉強中の人が補助者として働くことは、法律上、禁じられていません。ただし、行政書士会が事務所を紹介するかどうかは別です。福岡県行政書士会は、補助者として働きたい人への事務所の紹介は会から直接は行っていないとしたうえで、県内の行政書士事業協同組合が運営する検索サイトにスタッフを募集している事務所が掲載されていると案内しています(出典:福岡県行政書士会 入会手続き・FAQ)。

使用人である行政書士と補助者の違い:登録の要否と事務所

行政書士法第8条は、事務所について次のように定めています。

  • 第1項:行政書士(行政書士の使用人である行政書士、行政書士法人の社員または使用人である行政書士を除く)は、業務を行うための事務所を設けなければならない
  • 第2項:事務所を二以上設けてはならない
  • 第3項:使用人である行政書士等は、業務を行うための事務所を設けてはならない

ここで言う「使用人である行政書士」は、行政書士の登録を受けた行政書士が、他の行政書士や行政書士法人に雇われて働く形です。日本行政書士会連合会の新規登録の案内には、「行政書士又は行政書士法人の使用人として登録する場合、勤務先である行政書士又は行政書士法人と取り交わした雇用契約書の写しが必要」とあります(出典:日本行政書士会連合会 新規登録の手続)。

施行規則第4条は、行政書士は業務を他人に行わせてはならないと定めたうえで、その使用人その他の従業者である行政書士に行わせる場合と、依頼人の同意を得て他の行政書士・行政書士法人に行わせる場合を、例外としています。

項目補助者使用人である行政書士
行政書士としての登録補助者になる条件を定めた規定は確認できない受けている(雇用契約書の写しを添えて申請)
行政書士の業務を行えるか行政書士でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て業として行うことはできない(第19条第1項)行政書士としての業務を行える立場(雇う側の行政書士・行政書士法人が使用人に業務を行わせる場合は、施行規則第4条の例外)
事務所設けない設けてはならない(第8条第3項)
行政書士会への届出雇う行政書士が、補助者の住所・氏名を届け出る(施行規則第5条第2項)登録を受けた時に、事務所の所在地の行政書士会の会員になる(第16条の5第1項)

出典:行政書士法・同施行規則(上記の e-Gov 法令検索)。登録後の入会の扱いは、行政書士になるにはにも案内があります。

「雇われる」ことについて、実際に事務所が使用人を置くか、どのような条件で働くかは、事務所ごとに異なります。法律や公式ページには、その条件を示すものがありません。

行政書士法人で働く:社員と使用人

行政書士は、行政書士法人を設立することができます(第13条の3)。行政書士法人の社員は、行政書士でなければなりません(第13条の5第1項)。第8条第1項の括弧書きにあるとおり、法人の社員または使用人である行政書士は、自分の事務所を設けません。

  • 行政書士法人は、その事務所に、事務所の所在地の行政書士会の会員である社員を常駐させなければなりません(第13条の14)。
  • 法人が成立したときは、成立の日から2週間以内に、主たる事務所の所在地の行政書士会を経由して日本行政書士会連合会に届け出ます(第13条の10・日本行政書士会連合会「行政書士法人の各種手続」)。
  • 補助者や報酬の掲示など、行政書士に関する規定の一部は法人にも準用されます(第13条の17・施行規則第12条の3)。

法人に社員・使用人として加わる場合も、行政書士として登録している必要があります。登録の手順は、行政書士 合格後にやることを参照してください。

企業内(社内)行政書士:登録しないと業務はできない

「企業内で行政書士の資格を使う」場合を、2つに分けて確認します。

資格がなくても行えることと、行政書士でなければできないこと

行政書士法第19条第1項本文は、行政書士または行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として、第1条の3に規定する業務を行うことができないと定めています。ただし書は、他の法律に別段の定めがある場合と、定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、相当の経験または能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合を、例外としています。

第19条の2第1項は、行政書士でない者が「行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない」と定めています。したがって、試験に合格していても、登録を受けるまでは、行政書士として業務を行うことも、名称を使うこともできません(詳細は行政書士法19条の解説)。

会社の従業員が、自社の業務として、官公署に提出する書類を作る場合が、第19条第1項の「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」に当たるかは、個別の事情による判断です。この記事では、個別の当てはめは行いません。迷う場合は、行政書士会に確認してください。

会社に勤めながら登録する場合:単位会の案内

会社員が登録することについて、福岡県行政書士会は次のように案内しています。

  • 会社に勤務しながら行政書士登録をすることは可能
  • ただし、勤務先で行政書士として雇用され、または会社の指揮監督下で業務をすること(名義貸しに該当するため)は禁じられている

また、会社の事務所内に行政書士事務所を置く場合について、石川県行政書士会の指針は、独立した一室を設けて他の法人等と明確に区分して独立性を確保すること、行政書士業務が他の法人等の支配に服さないこと、行政書士事務所の文書等を他の法人等の文書等と混同して保管しないことを求めています(出典:福岡県行政書士会(上記)・石川県行政書士会 事務所の設置に関する指針(PDF))。

つまり、「会社の中で、会社の指示に従って行政書士の業務を行う」形は、福岡県行政書士会の案内では名義貸しにあたるとされており、登録して行政書士として業務を行うなら、会社とは独立した自分の事務所が前提になります。ほかの都道府県の行政書士会では案内が異なることがあるため、登録先の会で確認してください。

行政書士の業務の範囲は行政書士の入管業務とできることで、条文(第1条の3・第1条の4)から整理しています。

会社員との兼業・会社勤め:登録と就業規則

会社に勤めながら登録することは、福岡県行政書士会の案内では可能とされています。行政書士法の本則と附則には、兼業を禁じる規定はありません(条文についての記述であり、個別の事情についての判断ではありません)。

ただし、会社員は、勤務先の就業規則が別に関わります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)は、裁判例では労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であるとし、原則として副業・兼業を認める方向とすることが適当であるとしています。企業が制限できる場合の整理は行政書士の在宅ワーク・自宅開業に載せています(出典:厚生労働省 副業・兼業・ガイドライン(PDF))。

ガイドラインは一般的な考え方で、個別の勤務先の規定は別です。登録を考える前に、勤務先の就業規則を確認してください。登録後の事務所の要件や登録の費用は、行政書士の在宅ワーク・自宅開業にまとめています。

40代未経験・就職活動の疑問:年齢の要件はあるか

  • 受験:行政書士試験研究センターの案内は「年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。」としています(出典:令和8年度行政書士試験のご案内)。
  • 登録:福岡県行政書士会は、会社勤務経験や補助者の経験を問われるか、年齢による制限があるかという質問に、「一切ありません。年齢制限もありません(未成年者は除く)。」と答えています。行政書士法の欠格事由に、年齢の上限はありません(第2条の2。未成年者は欠格事由)。
  • 採用:事務所が補助者や使用人を置くか、どのような人を採用するかは、法律に定めがなく、日本行政書士会連合会・行政書士試験研究センターの公開ページに統計もありません。

「就職先がない」「就職できない」と言われる点について、法律と公式ページで確認できることを整理します。

疑問確認できたこと確認できないこと
就職先は決まっているか資格者の就職先を定める規定は行政書士法にない求人や採用の件数を示す公式の統計
年齢で不利になるか受験・登録に年齢の上限はない事務所ごとの採用の判断
資格だけで仕事ができるか登録を受けるまで行政書士の業務・名称は使えない(第19条・第19条の2)開業後や就職後の収入・依頼の量

資格の年齢別の合格者の状況は行政書士の最年少合格は13歳?年齢制限と年齢別の合格率にまとめています。

合格ナビの行政書士の論点別問題は493問で、行政書士法を扱う基礎知識の問題は11問です(当サイトの問題数で、本試験の出題数ではありません。2026-10-02 時点の集計)。

まとめ

  • 補助者は、行政書士の事務を補助する人で、施行規則第5条に資格要件の定めはありません。行政書士の登録を受けていない者は、行政書士の業務を行うことができません(第19条第1項)。
  • 使用人である行政書士は、登録を受け、自分の事務所を設けずに他の行政書士・行政書士法人のもとで働きます(第8条第3項)。登録の申請には雇用契約書の写しが要ります。
  • 企業内で行政書士として業務を行うには、登録が要ります。福岡県行政書士会は、会社の指揮監督下での業務を名義貸しにあたるとしています。
  • 受験にも登録にも、年齢の上限は定められていません。就職先や求人の件数は、両団体の公開ページに載っていません。

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よくある質問

Q補助者と使用人行政書士は、どちらも「行政書士事務所で働く人」ですか?

法律上の位置づけが違います。補助者は、行政書士がその事務に関して置くことができる人で、行政書士法施行規則第5条が置いたときの届出を定めています。同条には補助者の資格要件の定めがありません。使用人である行政書士は、行政書士の登録を受けた行政書士で、自分の事務所を設けずに他の行政書士や行政書士法人のもとで業務を行う人です(行政書士法第8条第3項)。

Q行政書士として登録した会社員は、勤務先の会社で行政書士の業務をしてよいですか?

福岡県行政書士会は、会社に勤務しながら登録すること自体は可能とする一方、勤務先で行政書士として雇用されたり会社の指揮監督下で業務をしたりすることは、名義貸しにあたるため禁じられていると案内しています。会社の事務所内に行政書士事務所を置く場合についても、石川県行政書士会の指針は、独立した一室を設けて他の法人等の支配に服さない独立性を確保することを求めています。個別の事情は、登録先の行政書士会に確認してください。

Q行政書士に合格しても就職先がないと言われるのはなぜですか?

法律も公式の統計も、この疑問に直接答えていません。行政書士法に、資格者の採用や就職先を定める規定はなく、日本行政書士会連合会や行政書士試験研究センターの公開ページにも、求人や就職先の件数を示す統計は載っていません。事務所が補助者や使用人を置くかどうかは事務所ごとの判断です。福岡県行政書士会は、補助者として働きたい人への事務所の紹介は会から直接は行っていないとしたうえで、県内の行政書士事業協同組合が運営する検索サイトに募集中の事務所が掲載されていると案内しています。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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