行政書士試験の多肢選択式(3問24点・空欄1つ2点)の形式を令和7年度の公式資料で確認し、令和5〜7年度の9問の題材、語群の使い方、条文を使った穴埋め練習、苦手の対策をまとめます。
目次
結論:行政書士試験の多肢選択式は法令等の問題41〜43の3問で、1問8点・空欄(ア〜エ)一つにつき2点、合計24点です(令和7年度。300点の8.0%)。令和5〜7年度の9問のうち7問は、問題文に最高裁判所の判例集の引用が付いた文章の空欄補充でした。コツは、空欄の前後の文法で品詞を絞り、確実な空欄から埋めることです。空欄ごとに点が入るため、4つのうち2つだけでも拾う意識が有効です。
| 知りたいこと | 答え | 該当する節 |
|---|---|---|
| 形式と配点 | 3問・1問8点・空欄一つ2点・語群は1〜20から選ぶ | 形式と配点 |
| 部分点 | 空欄ごとに2点。4つ正解で8点、2つで4点 | 部分点の算数 |
| 何が出ているか | 令和5〜7年度の9問を題材ごとに一覧 | 9問を並べる |
| 解き方 | 品詞で絞る→確実な空欄から→消去 | コツ |
| 練習 | 条文を使った自作の穴埋め2題 | 練習 |
多肢選択式の形式と配点(令和7年度)
多肢選択式は、法令等(46問)の中の3問です。令和7年度の試験問題では、問題1〜40が5肢択一式、問題41〜43が多肢選択式、問題44〜46が記述式でした(出典:行政書士試験研究センター 令和7年度試験問題)。注意事項には、多肢選択式は「枠内(1〜20)の選択肢から空欄ア〜エに当てはまる語句を選び、マークしてください」と書かれています。つまり、1問に空欄が4つあり、20個の語群から4つを選びます。
配点は合否判定基準に書かれています。
| 形式 | 問題数 | 1問の配点 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 5肢択一式(法令等) | 40問 | 4点 | 160点 |
| 多肢選択式 | 3問 | 8点(空欄一つ2点) | 24点 |
| 記述式 | 3問 | 20点 | 60点 |
| 基礎知識(5肢択一式) | 14問 | 4点 | 56点 |
令和7年度 行政書士試験の配点:法令等244点(5肢択一式40問160点・多肢選択式3問24点・記述式3問60点)、基礎知識56点、合計300点。多肢選択式は1問8点で空欄(ア〜エ)一つにつき2点。令和8年度の配点・合格基準点は発表前。最終確認日:2026-10-04。出典:行政書士試験研究センター 令和7年度行政書士試験合否判定基準。
多肢選択式の24点は、算数で次のとおりです。24÷300=8.0%、法令等244点に対しては24÷244=9.8%です。1問8点は、5肢択一式2問分に当たります。択一式(160点)と多肢選択式(24点)を足すと184点で、法令等の合格基準点122点はその66.3%です(122÷184)。この数字は、記述式(60点)を取れなくても多肢選択式までで法令等の基準点を超えられる余地がある、という見方の根拠になります(当サイトの計算で、合格を保証するものではありません)。
部分点の算数:空欄一つ2点で何点になるか
合否判定基準の備考は「多肢選択式 1問につき8点 空欄(ア~エ)一つにつき2点」です。1問の空欄は4つなので、正解した空欄の数と点数は次のとおりです。
| 正解した空欄(1問) | 1問の得点 | 3問すべて同じ数なら |
|---|---|---|
| 4つ | 8点 | 24点 |
| 3つ | 6点 | 18点 |
| 2つ | 4点 | 12点 |
| 1つ | 2点 | 6点 |
| 0 | 0点 | 0点 |
5肢択一式は「正解か不正解か」で4点ですが、多肢選択式は、2つ確実に分かる問題なら4点を取れます。これは5肢択一式1問分の点数です。分からない空欄を埋めるために、確実に分かる空欄の選択肢を変えてしまわないことが、点を守るうえで大切です。
なお、センターは受験案内・合否判定基準・試験問題の中で、多肢選択式の採点について上記以外の説明(たとえば誤答の扱いの細則)を公表していません。ここに書いたのは、公表されている配点を掛け算した結果です。
令和5〜7年度の多肢選択式9問を並べる
令和5〜7年度の試験問題の問題41〜43を開いて、題材を一覧にしました。設問文と語群の全体はセンターの許諾が必要なため転載せず、題材と、問題文に付いている判例の表記(裁判所・年月日)だけを記します(出典:令和7年度、令和6年度、令和5年度の各試験問題)。
| 年度・問題 | 題材(当サイトの要約) | 問題文に付いた判例の表記 |
|---|---|---|
| 令和7年度 問41 | 憲法13条・人格の自律に関わる自由 | 最高裁大法廷 令和6年7月3日 |
| 令和7年度 問42 | 条例と国の法令との関係 | 最高裁大法廷 昭和50年9月10日 |
| 令和7年度 問43 | 在外国民の最高裁判所裁判官国民審査権をめぐる確認の訴え | 最高裁大法廷 令和4年5月25日(紹介文中) |
| 令和6年度 問41 | 違憲判断の効力と法的安定性(婚外子の相続分の事案) | 最高裁大法廷 平成25年9月4日 |
| 令和6年度 問42 | 土地収用と損失補償 | 判例の表記なし |
| 令和6年度 問43 | 臨時会の召集要求と確認の訴えの適法性 | 最高裁第三小法廷 令和5年9月12日 |
| 令和5年度 問41 | 表現行為の事前抑制 | 最高裁大法廷 昭和61年6月11日 |
| 令和5年度 問42 | 公営住宅の使用関係 | 最高裁第一小法廷 昭和59年12月13日 |
| 令和5年度 問43 | 無効な処分と出訴期間・無効等確認訴訟 | 判例の表記なし |
この表から言えることは次の3点です(9問の範囲での事実で、今後の出題を予測するものではありません)。
- 9問中7問は、問題文に判例集(民集・刑集)の巻・号・頁が付いた、最高裁判所の判決・決定の一節(または判決を紹介する文章)が素材でした。判例の「結論」だけでなく、理由づけに使われる言葉が空欄になります
- 題材は、憲法(人権や違憲判断の効力。令和7年度問41、令和6年度問41、令和5年度問41)と、行政法に関わるもの(地方自治の条例、損失補償、行政事件訴訟、公営住宅の使用関係)に分かれます。令和6年度問43のように、憲法53条と確認の訴えの適法性にまたがる問題もあります
- 令和6年度問42と令和5年度問43は判決文の引用ではなく、制度を説明する文章の空欄補充でした。判例を読み込んでいなくても、条文と制度の基本用語で解ける形式もあります
科目の区分について
センターは科目別の配点を公表していません。当サイトが令和7年度の問題番号と題材から数えた配点は、行政法96点(択一19問+記述1問)・民法76点・憲法20点・商法20点・基礎法学8点・多肢選択式24点・基礎知識56点で、合計300点です(行政書士の学習スケジュールと同じ区分)。多肢選択式の3問を題材ごとに科目へ振り分ける数え方では、問41を憲法、問42・43を行政法として、行政法112点・憲法28点になります(行政書士の科目別の優先順位と同じ区分)。どちらも合計は300点で、違いは多肢選択式を別枠にするか科目に入れるかだけです。
この論点の問題を解く
多肢選択式の素材になった論点を、当サイトの5肢択一の問題で確認できます(当サイトの問題は、過去の出題論点をもとに作った問題です)。
解き方のコツ:語群の使い方
コツは、センターが公表しているものではなく、上の形式(空欄4つ・語群20個・空欄一つ2点)から当サイトが整理した手順です。
- ①まず空欄を伏せたまま全文を読み、何の話か(どの制度・どの判例の論点か)を一言で言えるようにします
- ②各空欄の前後を見ます。直前が「の」なら名詞、直後が「する」「した」なら動作を表す名詞、「な」が続くなら状態を表す語、というように、品詞で語群を絞ります
- ③語群を、意味の近いもの同士(たとえば「法的安定性」と「実質的正義」のように、対になりうる語)で束ねます。同じ束の中から選ぶ場合は、文章全体の主張がどちらを重んじているかで決めます
- ④確実な空欄から埋めます。1つ決まると、他の空欄の候補が減ります
- ⑤最後まで決まらない空欄は、他の空欄の答えを変えずに、残った語から文脈に合うものを選びます
練習1:憲法76条3項で、語群から選ぶ
次の文は、日本国憲法76条3項の条文の語句を空欄にした、当サイトの自作の練習です(条文はe-Gov法令検索 日本国憲法で確認)。空欄ア〜エに入る語を、語群から選んでください。
すべて裁判官は、その【ア】に従ひ【イ】してその職権を行ひ、この【ウ】及び【エ】にのみ拘束される。
語群:1 良心 2 信条 3 独立 4 中立 5 憲法 6 法律 7 命令 8 慣習 9 先例 10 世論
答えは、ア=1(良心)、イ=3(独立)、ウ=5(憲法)、エ=6(法律)です。考え方は次のとおりです。
- イ:直後が「して」で、「〜してその職権を行ひ」とつながるため、動作を表す名詞(独立・中立)に絞れます。裁判官が職権を行う姿勢は、他から指示を受けないという意味の「独立」です
- ウ:直前が「この」で、特定の文書を指します。「この憲法」と読めるため、憲法に絞れます
- エ:「憲法及び」に並ぶのは、国会が制定する法の形式の「法律」です。命令・先例・慣習・世論は、裁判官を「拘束する」ものとして条文に書かれていません
- ア:「その〜に従ひ」に合うのは、信条ではなく、条文が使う「良心」です
ここで部分点の算数を使います。ア・イ・ウが分かり、エで命令(7)を選んでしまった場合、4つ中3つ正解で6点です。
練習2:憲法94条で、確実な空欄から埋める
地方公共団体は、その【ア】を管理し、【イ】を処理し、及び行政を執行する権能を有し、【ウ】の範囲内で【エ】を制定することができる。
語群:1 財産 2 権利 3 事務 4 事業 5 法律 6 政令 7 条例 8 命令 9 訓令
答えは、ア=1(財産)、イ=3(事務)、ウ=5(法律)、エ=7(条例)です(出典:e-Gov法令検索 日本国憲法 第94条)。
- まず、エを確実に決めます。「制定する」の目的語になり、地方公共団体が制定する法の形式は「条例」です
- 次に、ウです。条例は「法律の範囲内で」制定できる、というのが条例制定権の限界の出発点で、令和7年度の問42の題材(条例と国の法令との関係)につながります
- ア・イは、「管理し」に合うのは財産、「処理し」に合うのは事務、と動詞との組み合わせで条文の語を思い出します。語群の権利・事業も文としては読めてしまうため、消去ではなく条文の言葉を覚えているかで決まる空欄です
この練習は条文そのものを素材にしています。実際の試験は判決文の空欄補充が多いので、慣れてきたら、条文の穴埋めから、判決文の一節(センターの試験問題の令和2〜7年度分)に進みます。
苦手になりやすい理由と対策
多肢選択式が苦手になりやすい理由は、形式から3つに整理できます。
- 文章が長く、語群が20個ある:判決文の一節は、制度の知識がないと文の主語がつかめません。対策は、上の手順の①(何の話かを一言で言う)と、条文の確認です。たとえば条例の問題なら、憲法94条と地方自治法の条例の規定の関係を、短い言葉で言えるようにします
- 意味の近い語が語群に並ぶ:令和6年度問41の語群には、「法的安定性」「衡平」「実質的正義」のような近い意味の語があります(出典:令和6年度試験問題)。対策は、択一式で判例を学ぶときに、結論だけでなく「その結論を支える理由づけの言葉」を一緒に覚えることです
- 当サイトの問題に、同じ形式がない:当サイトの行政書士の問題493問(2026-10-04 時点)はすべて5肢択一式です。形式に慣れるには、センターの公表している令和2〜7年度の試験問題の問題41〜43を、時間を決めて解く方法があります(令和5〜7年度の9問は、本記事の表で題材を確認できます)
判例の理由づけを覚える練習としては、行政書士の憲法判例の読み方で、問題文の書き方と判例の見方を確認できます。記述式との違いは行政書士の記述式の対策にあります。
多肢選択式を落としたときの影響
多肢選択式は24点で、300点の8.0%です。24点が0点でも、令和7年度の配点では、法令等は220点・全体は276点が上限になります。合格基準点(法令等122点以上、基礎知識24点以上、全体180点以上)で見ると、法令等220点に対して122点は55.5%(122÷220)、全体276点に対して180点は65.2%(180÷276)です。
| 場合 | 法令等の上限 | 全体の上限 | 基準点の割合 |
|---|---|---|---|
| 多肢選択式がすべて満点 | 244点 | 300点 | 法令等50.0%/全体60.0% |
| 多肢選択式が0点 | 220点 | 276点 | 法令等55.5%/全体65.2% |
多肢選択式を0点にしてよいという意味ではありません。他の科目で必要な得点率が上がる、ということを示す数字です。令和8年度の合格基準点は、令和9年1月27日に公表予定と案内されています(出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内)。
令和8年度 行政書士試験の試験日と合格発表:令和8年11月8日(日)午後1時から午後4時まで。合格基準点は令和9年1月27日の合格発表日に公表予定。最終確認日:2026-10-04。出典:行政書士試験研究センター 令和8年度行政書士試験のご案内。
科目別の配点の全体像は行政書士の科目別の優先順位、試験の構成全体は行政書士試験の合格ガイドにまとめています。
よくある質問
Q多肢選択式で空欄を一部だけ正解したら、点は入りますか?
令和7年度の合否判定基準では、多肢選択式は「1問につき8点 空欄(ア~エ)一つにつき2点」と定められています。1問の空欄は4つなので、2つ正解なら4点です。ただし、センターは多肢選択式の採点方法について、これ以上の説明を公表していません(出典:行政書士試験研究センター 令和7年度合否判定基準)。
Q多肢選択式を全部落としても合格できますか?
令和7年度の配点で計算すると、多肢選択式の24点が0点でも、法令等は220点・全体は276点が上限です。合格基準点の法令等122点は220点の55.5%、全体180点は276点の65.2%にあたります。合格には法令等・基礎知識・全体の3つの基準を同時に満たす必要があります(令和7年度の基準。令和8年度の基準点は令和9年1月27日に公表予定と案内されています)。
Q多肢選択式は、憲法と行政法のどちらの科目に数えますか?
センターは科目別の出題数や配点を公表していないため、公式の区分はありません。令和5〜7年度の9問を当サイトが題材で見ると、憲法(人権や違憲判断の効力)を素材にしたものと、行政法(地方自治・損失補償・行政事件訴訟など)を素材にしたものが混在していて、1問が両方にまたがる年もあります。
Q合格ナビで多肢選択式の問題を解けますか?
当サイトの行政書士の問題493問(2026-10-04 時点)は、すべて5肢択一の形式で、空欄を埋める多肢選択式の問題はありません。形式の練習には、センターが公表している令和2〜7年度の試験問題(問題1などを除く)と、本記事の条文を使った自作の練習が使えます。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

