問題
Aさん(42 歳)は,夫(40 歳),娘(10 歳),息子(6 歳)の4 人家族である。 ある日,最大震度7 の地震が起こり,Aさんの家は半壊した。Aさんとその家族は全員かすり傷程度のケガで済んだものの,自宅での生活が難しく,避難所である小学校の体育館での生活となった。 被災して3 日が経過した。避難所を訪れたDPATのスタッフに対してAさんは「倒れてきた家具の下敷きになるところでした。現実のことと思えず,夢を見ているような感覚でした。今でもその時の出来事が何度も思い起こされてとても不安です。夜もよく眠れていません」と話した。 次のうち,Aさんの状態として,適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題3(精神医学と精神医療)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 4
Aさんは、大地震で家具の下敷きになりかけるという命の危険にさらされ、被災から3日たった今も、
- 出来事が何度も思い起こされる(再体験)
- 現実のことと思えず夢を見ているような感覚(解離に近い感覚)
- 強い不安と不眠
を訴えています。このように、強い衝撃を受ける出来事の直後に出る一時的なこころと体の反応を急性ストレス反応といいます。多くは時間とともに落ち着いていきます。
全般不安症は特定の出来事と関係なく心配が長く続く状態、ナルコレプシーは日中の強い眠気の病気、強迫症はやめられない考えと行為、心気症は重い病気にかかっていると思い込む状態で、Aさんにはあてはまりません。
なぜ正解か
正解は 4。急性ストレス反応は、生命の危険を伴うような強い衝撃的な出来事を体験した直後に生じる、一過性の心理的・身体的反応である。出来事の再体験(何度も思い起こされる)、現実感の喪失・ぼうぜんとした感じ、強い不安、不眠などがみられ、通常は数日から1週間ほどで治まり始める。被災後3日という時期と、Aさんの訴えの内容はこれによく合う。
ほかの選択肢
- 1:誤り。全般不安症は、仕事や健康などさまざまな事柄について過剰な心配が長期間(DSM-5-TRでは6か月以上)続く状態。特定の衝撃的な出来事の直後の反応ではない。
- 2:誤り。ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気や、笑い・驚きなどで急に体の力が抜ける情動脱力発作などを特徴とする睡眠障害。Aさんは逆に眠れない。
- 3:誤り。強迫症は、繰り返し浮かぶ不合理な考え(強迫観念)とそれを打ち消す行為(強迫行為)が中心。
- 5:誤り。心気症は、自分が重い病気にかかっている、またはかかりつつあるという考えにとらわれる状態。
正解の根拠
正解は 4。トラウマとなる出来事の後の反応は、時期と持続で整理するとわかりやすい。
| 名称 | 時期・持続の目安 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 急性ストレス反応(ICD) | 出来事の直後から生じ、通常は数日〜1週間ほどで治まり始める | ICD-11では精神疾患ではなく、強い出来事への正常範囲の反応として扱われる |
| 急性ストレス障害(DSM-5-TR) | 出来事の後3日〜1か月 | 侵入症状・解離症状・回避・覚醒亢進などが一定数以上そろう場合の診断 |
| 心的外傷後ストレス障害(PTSD) | 症状が1か月を超えて続く | 再体験・回避・認知と気分の否定的変化・覚醒亢進 |
Aさんは「被災して3日」で、再体験・現実感の喪失・不安・不眠を訴えている。この段階でPTSDと判断することはできず、選択肢の中では急性ストレス反応が最も適切である。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 全般不安症:対象を特定しない慢性的な心配が中心で、出来事との結びつきや時期の点で合わない。
- 2 ナルコレプシー:日中の過眠、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)が知られる。不眠ではなく過眠の病気である点で区別できる。
- 3 強迫症・5 心気症:どちらも「とらわれ」を中心とする状態で、出来事の再体験とは性質が違う。
災害時のこころのケアとDPAT
- DPAT(災害派遣精神医療チーム):自然災害や大規模事故などの際に被災地域に入り、精神科医療の提供と精神保健活動を支援する専門チーム。精神科医・看護師・業務調整員などで構成される。
- サイコロジカル・ファーストエイド(PFA):災害直後の支援では、無理に体験を語らせるのではなく、安全と安心の確保、基本的なニーズ(食事・睡眠・情報)への対応、つながりの回復を重視する。出来事を詳しく語らせる介入(デブリーフィング)を一律に行うことは勧められていない。
- 急性期の反応の多くは自然に回復するが、症状が長引く・強まる場合や、生活に大きな支障が出る場合は専門的な支援につなぐ。避難生活が続くと、子ども(本事例では10歳・6歳)の退行や不安、家族の疲弊にも目を配る必要がある。
支援の視点
「異常な事態に対する正常な反応」であることを伝えるだけでも、本人の不安が和らぐことがある。睡眠の確保など生活面への配慮と、継続的な見守りの体制を整えることが精神保健福祉士にも求められる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題3(精神医学と精神医療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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