精神保健福祉士

精神保健福祉士 第27回 問題34|ソーシャルワークの理論と方法(専門)

問題

精神保健福祉士 | 第27回(令和6年度) | 令和7年2月1日(土)・2日(日)実施・ソーシャルワークの理論と方法(専門)

次の事例を読んで,問題34 から問題36 までについて答えなさい。

〔事 例〕

Aさん(53 歳,男性)は,35 歳の時「誰かが自分の悪口を言っている」と訴えたことから,両親に付き添われてB精神科病院を受診した。そこで統合失調症と診断され,1 年間入院した。退院後は両親と暮らしながら治療を続けた。その間に父親が亡くなり,49 歳の時に母親が認知症を発症し,Aさんが母親の世話をすることになった。 50 歳の時にAさんは介護のストレスから病状が悪化し「自分の悪口がテレビで流れている」と夜中に大声を出してテレビを自宅前に放り出し,近所を巻き込む騒ぎとなり,今回の入院となった。Aさんの入院後,母親は民生委員から見守り支援を受けていたが,高齢者施設へ入所した。 入院から1 年経過した後,病棟担当になったC精神保健福祉士は,前任者から「Aさんは退院可能だが,退院に消極的」と引継ぎを受け,Aさんと面談をした。Aさんは「不都合なこともないし,このままでいい。自宅は誰も居ないし,一人暮らしは経験がないし,人と話すのは苦手だから無理」と話した。(問題34)C精神保健福祉士は,地域移行支援を利用して退院したDさんをAさんに紹介し,体験談を話してもらった。Dさんとの交流が半年ほど続き,Aさんは「自分も退院できるかな」とC精神保健福祉士に話した。そこで,C精神保健福祉士はAさんを地域移行支援の利用につなげ,指定一般相談支援事業所のE精神保健福祉士が支援を開始した。E精神保健福祉士は,初回面談でAさんから退院への期待や不安などの揺れ動く気持ちを聞いた。それを踏まえ,Aさんに対して支援を行った。(問題35)AさんはE精神保健福祉士とグループホームを見学したが,ほかの入居者との交流に負担を感じたため,自宅への退院も考え始めた。E精神保健福祉士と共に数度自宅へ外出をした後,1 人で外泊した。外泊後,E精神保健福祉士と面談したAさんは「家の中は何とかなるかもしれない。でも,近所に迷惑を掛けたので,近所の目が怖い。本当は買物にも行きたいのだけど」と話した。(問題36)その後,Aさんは退院し,障害福祉サービスを利用して一人暮らしを続けている。

次の記述のうち,この時にC精神保健福祉士がAさんに返した言葉として,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題34(ソーシャルワークの理論と方法(専門))

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 3

Aさんは「このままでいい」「一人暮らしは経験がない」「人と話すのは苦手だから無理」と話しています。退院に消極的に見えますが、その背後には、退院後の生活への不安があります。

そこで、C精神保健福祉士が「退院後の生活を考えると、不安を感じるのですね」と返すのは、Aさんの気持ちを受け止め、言葉にして返す(感情の反映)関わりです。気持ちを分かってもらえたと感じることで、本人は退院について話し合いやすくなります。

ほかの選択肢は、現状維持の容認、支援者による決めつけ、励ましの押し付け、まだ早い将来像の質問で、いずれもAさんの不安に寄り添っていません。

なぜ正解か

正解は 3。Aさんの「不都合なこともないし、このままでいい。自宅は誰も居ないし、一人暮らしは経験がないし、人と話すのは苦手だから無理」という言葉は、退院を拒否しているというより、退院後の生活への不安の表れである。C精神保健福祉士はまず、その不安を感情の反映として言葉にして返し、本人の気持ちを受け止める。信頼関係ができて初めて、退院への動機づけが可能になる。

ほかの選択肢

  • 1:「今のままでも悪くはない」は、現状維持を支持する返答であり、退院可能という状況でも退院を促さない結果になる。不安に触れていない点も不十分。
  • 2:退院先をグループホームと支援者が決めるのは、本人の意思を確認せずに進める点で自己決定を損なう(パターナリズム)。
  • 4:「まだ50代だから諦めてはいけませんよ」は、励ましを一方的に押し付ける言い方で、不安を訴えている本人の気持ちを受け止めていない。
  • 5:「退院して、どこで誰と暮らしていますか」は、将来像を想像させる問いかけだが、退院に消極的で不安が強い段階では時期尚早で、不安を深めるおそれがある。

正解の根拠と位置づけ

正解は 3。長期入院の患者が退院に消極的に見えるとき、背景には、退院後の生活への不安、住まいや家族の状況、入院生活に慣れた安心感、「どうせ無理」という諦めや自信の喪失(施設症・ホスピタリズムに通じる状態)などがある。前任者の引継ぎの「退院可能だが退院に消極的」という評価に引きずられず、本人の言葉の裏にある気持ちを受け止めることが、最初の段階の支援である。

Aさんの語りには、不安の具体的な中身が含まれている。①自宅に誰もいない、②一人暮らしの経験がない、③人と話すのが苦手。3 の返答は、これらを退院後の生活への不安として束ね、感情の反映の形で返している。この後、Dさんの体験談を聴く機会(ピアの力)、地域移行支援の利用へと進んでいく流れも、本人の気持ちに沿った動機づけである。

誤りの肢の掘り下げ

  • 1:本人の言葉を額面どおりに受け取ると、不安への支援が始まらない。傾聴は同調ではなく、気持ちの理解である。
  • 2:地域移行の過程では、住まいの選択も本人が体験をしながら決めることが望ましい。事例でも、Aさんがグループホームの見学を通して自宅への退院を考え始めている。早い段階で支援者が退院先を決めるのは不適切。
  • 4:励ましは、気持ちを受け止めたうえでなければ、「分かってもらえていない」という感覚を与える。
  • 5:解決志向の考え方に似た問いだが、受け止めの前に将来像を問うと、答えられない本人を追い詰める。

関連して出る論点

入院が長期化した患者への退院支援(退院意欲の喚起、ピアサポート、地域移行支援、体験利用)、本人の意向の尊重(自己決定)、動機づけ面接の考え方(変化の準備段階に合わせた関わり)が問われる。

動機づけの視点からは、変化への準備が整っていない段階の相手に、行動を直接求めない関わりが基本である。まず感情を受け止め、「両価的な気持ち」(退院したい気持ちと不安)の双方を認めると、本人の側から変化の理由を語り始めることが多い。事例でも、この受け止めの後に、ピアの体験談という「自分で確かめる機会」を提供することで、Aさんは「自分も退院できるかな」と話すまでになっている。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題34(ソーシャルワークの理論と方法(専門))。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第27回精神保健福祉士国家試験(令和6年度)」専門科目 問題34(ソーシャルワークの理論と方法(専門))です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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