問題
次のうち,海馬が担う重要な機能として,適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題1(精神医学と精神医療)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3
海馬は、大脳の内側(側頭葉の内側)にあるタツノオトシゴのような形の部位で、新しい出来事を覚えて記憶として残す働きの中心です。海馬が傷つくと、昔のことは覚えているのに、新しいことが覚えられなくなります。アルツハイマー型認知症で早い時期から海馬が萎縮し、もの忘れが目立つのはこのためです。
ほかの選択肢は別の部位の役割です。随意運動は大脳の運動野、運動の協調性は小脳、呼吸や心拍の調整は脳幹(延髄など)が中心に担います。「意欲の抑制」は海馬の働きとしては説明されません。
なぜ正解か
正解は 3。海馬は大脳辺縁系に属し、体験した出来事(エピソード記憶)や新しく学んだ知識を、短期の記憶から長く残る記憶へと定着させる働き(記憶の固定)を担う。両側の海馬が損傷されると、新しいことを覚えられない前向性健忘が起こる。アルツハイマー型認知症では早期から海馬を含む側頭葉内側が萎縮し、直近の出来事を忘れる症状が目立つ。
ほかの選択肢
- 1:随意運動(自分の意思で体を動かす)の制御は、主に前頭葉の一次運動野が担い、錐体路を通じて筋肉に指令が伝わる。
- 2:運動の協調性(動きを滑らかに、バランスよく調整する)は小脳の働き。小脳が障害されると、ふらつきや手のふるえ(企図振戦)が出る。
- 4:呼吸や心拍数の調整は、生命維持に関わる脳幹(特に延髄)の働き。
- 5:意欲や行動の抑制は前頭葉(特に前頭前野)との関係で説明されることが多く、海馬の主な機能ではない。
押さえどころ
部位と機能の組合せは、「海馬=記憶」「小脳=協調運動」「脳幹=生命維持」「前頭葉=意欲・判断・運動」をセットで覚えると、似た選択肢に迷わない。
正解の根拠と位置づけ
正解は 3。海馬は側頭葉の内側にあり、扁桃体・帯状回などとともに大脳辺縁系を構成する。働きの中心は、新しく入ってきた情報を長く残る記憶へ変える「記憶の固定(記銘・保持)」である。古い記憶そのものは大脳皮質に広く蓄えられると考えられており、海馬が損なわれても昔の記憶はある程度保たれる一方、新しい出来事を覚えられなくなる(前向性健忘)。この「昔のことは話せるのに、さっきのことを忘れる」という姿は、アルツハイマー型認知症の初期像そのものであり、精神保健福祉士が家族面接で説明を求められる場面も多い。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 随意運動:前頭葉の一次運動野から出た指令が錐体路を下る。脳卒中で反対側の手足が麻痺するのはこの経路の障害。
- 2 運動の協調性:小脳。アルコールの多量摂取で千鳥足になるのは小脳の働きが落ちるためで、慢性のアルコール使用障害では小脳の萎縮もみられる。
- 4 呼吸・心拍:脳幹(中脳・橋・延髄)。意識の維持にも関わり、脳幹の機能停止は脳死判定の中心になる。
- 5 意欲の抑制:行動の抑制や計画・判断などの実行機能は前頭前野が担うとされる。前頭側頭型認知症で抑制が外れた行動(脱抑制)が出るのは前頭葉の障害による。
関連して出る論点
- 記憶の分類:内容を言葉で説明できる陳述記憶(エピソード記憶・意味記憶)と、体で覚える手続き記憶に分けられる。海馬が主に関わるのは陳述記憶で、手続き記憶は大脳基底核や小脳が関わる。このため健忘のある人でも自転車の乗り方などは保たれやすい(問4の全生活史健忘とも関連)。
- 扁桃体との違い:海馬のすぐ前にある扁桃体は、恐怖や不安などの情動の処理を担う。情動を伴う出来事が強く記憶に残るのは、扁桃体と海馬が連動するためと説明される。
- コルサコフ症候群:ビタミンB1欠乏による記憶障害で、記銘力障害・見当識障害・作話が特徴。海馬と回路でつながる乳頭体などの障害が関係する。
- 部位と機能の組合せ問題は毎年のように出る。「前頭葉=意欲・判断」「側頭葉=言語理解・記憶」「頭頂葉=空間認知」「後頭葉=視覚」「小脳=協調運動」「脳幹=生命維持」をセットで押さえておく。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題1(精神医学と精神医療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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