問題
次のうち,全生活史健忘で障害される認知機能として,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題4(精神医学と精神医療)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 4
全生活史健忘とは、自分の名前、生い立ち、家族、仕事など、これまで生きてきた自分自身についての記憶がまとめて思い出せなくなる状態です。強い心理的ストレスをきっかけに起こることが多く、解離性健忘の一つとされます。
失われるのは「自分の人生についての記憶」、つまり自伝的記憶です。一方で、計算する力(暗算)、少し前のことを覚えておく力(短期記憶)、自転車の乗り方のような体で覚えた記憶(手続き記憶)、これからの予定を覚えておく力は保たれていることが多いのが特徴です。新しいことは覚えられるため、入院中の出来事などは覚えています。
なぜ正解か
正解は 4。全生活史健忘は、自分の氏名・年齢・経歴・家族など、個人の生活史に関する記憶が広範に失われる状態で、解離性健忘の重い形とされる。障害されるのは、自分が経験してきた出来事の記憶である自伝的記憶(エピソード記憶のうち自己に関わるもの)である。一般的な知識や技能、新しいことを覚える力は保たれやすく、脳の器質的な障害による健忘とは対照的な姿を示す。
ほかの選択肢
- 1:暗算は計算能力や作業記憶の働き。全生活史健忘では通常保たれる。
- 2:短期記憶(数秒〜数十秒の間、情報を保持する力)は保たれ、会話や面接は普通に成り立つ。
- 3:手続き記憶(車の運転、楽器の演奏など体で覚えた技能)は保たれることが多い。
- 5:翌日の予定を覚えておくこと(展望記憶)は、新しい情報を覚えて保持する力で、全生活史健忘では保たれる。
押さえどころ
全生活史健忘は「自分が誰か・どう生きてきたか」だけが抜け落ち、知識・技能・新しく覚える力は残る。脳の病変による健忘(新しいことを覚えられない)と逆の構図になる点が出題の核心である。
正解の根拠と位置づけ
正解は 4。全生活史健忘は、DSM-5-TRでは解離症群の「解離性健忘」に含まれ、とくに自己の同一性と生活史全体に及ぶものを「全般性健忘」と呼ぶ。発症の前に、耐えがたい心理的ストレス(借金、家庭の問題、職場の問題、犯罪被害など)があることが多く、自宅から離れた場所で保護されて見つかる例もある(解離性とん走を伴う場合)。
特徴は「選択的な欠落」である。自分の名前や経歴は思い出せないのに、言葉の意味や社会のしくみ(意味記憶)、仕事の技能(手続き記憶)、新しく体験したこと(前向性の記銘)は保たれている。脳の病変による健忘は、まず新しいことを覚えられなくなり(前向性健忘)、自分の名前のように深く刻まれた情報は最後まで残ることが多いため、全生活史健忘とは逆の構図になる。この対比が出題の核心である。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 暗算:計算は、数字を頭の中に一時的に置いて操作する作業記憶(ワーキングメモリ)を使う。前頭葉の機能と関わり、心因性の健忘では障害されない。
- 2 短期記憶:数桁の数字の復唱などで評価される。意識障害やせん妄では低下するが、全生活史健忘では保たれる。
- 3 手続き記憶:大脳基底核や小脳が関わるとされ、海馬を損傷した人でも新しい運動技能を学習できることが知られている。
- 5 展望記憶:「未来に行うことを覚えておく」記憶。認知症の初期には約束や服薬の予定を忘れることが生活上の困りごとになるが、全生活史健忘の特徴ではない。
関連して出る論点
- 記憶の分類の全体像:保持時間で「感覚記憶・短期記憶・長期記憶」、内容で「陳述記憶(エピソード記憶・意味記憶)と非陳述記憶(手続き記憶・プライミングなど)」、時間の向きで「回想記憶と展望記憶」に分ける。自伝的記憶はエピソード記憶の中でも自己に関わるもの。
- 前向性健忘と逆向性健忘:発症以後のことを覚えられないのが前向性、発症以前のことを思い出せないのが逆向性。全生活史健忘は逆向性の極端な形といえる。
- 支援の視点:本人の身元が分からないことで、住居・医療費・各種手続きに困難が生じる。精神保健福祉士は、医療と並行して、行政機関や警察との調整、生活の場の確保などに関わる。回復は自然に、あるいは心理的な支持の中で比較的急に起こることがあり、思い出させようと無理に迫らないことが基本となる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題4(精神医学と精神医療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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