問題
製造業を営む企業Aでは,近年離職者や休職者が増加し,経営上の課題となっていた。精神保健福祉士の資格を持つ人事担当者は,管理職による個々の従業員の労務・心理的環境の把握に課題があると考え,管理職を対象として従業員のメンタルヘルスの管理向上を目的とした対策を計画した。まず管理職に対し年間を通して複数回の研修を行い,メンタルヘルスに関する全般的知識やコーチング,各種のハラスメントに関する理解の促進を図った。さらに部署ごとに職員全体の業務負荷とバランスを検討し,管理職間で改善策を作成することとした。 次のうち,人事担当者が改善しようとしたケアとして,適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題12(現代の精神保健の課題と支援)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、職場のメンタルヘルス対策を「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのケアで進めるとしています。
このうち、管理監督者が部下の状況を把握し、職場環境の改善や個別の相談対応を行うのが「ラインによるケア」です。事例の人事担当者は、管理職への研修と、部署ごとの業務負荷の検討・改善策づくりを進めており、ラインによるケアの強化に当たります。
正解は 3
事例の対策は、管理職を対象とした研修(メンタルヘルスの知識、コーチング、ハラスメントの理解)と、管理職による部署ごとの業務負荷の検討・改善策の作成です。管理監督者が担うケアなので「ラインによるケア」です。
- 1 プライマリヘルスケア:WHOのアルマ・アタ宣言で提唱された、住民の参加を基盤とする地域の基本的な保健医療の考え方で、職場のメンタルヘルス対策の4つのケアではありません。
- 2 セルフケア:労働者自身がストレスに気づき対処することです。事例の対象は従業員本人ではなく管理職です。
- 3 正しい。管理監督者による職場環境等の把握と改善、部下からの相談への対応がラインによるケアの内容です。
- 4 事業場外資源によるケア:外部の医療機関、地域産業保健センター、EAP(従業員支援プログラム)などの専門機関を活用するケアです。事例は社内の取り組みです。
- 5 グリーフケア:大切な人を亡くした人の悲嘆に寄り添う支援で、職場のメンタルヘルスの4つのケアには含まれません。
「誰がケアの担い手か」で4つのケアを見分けるのが基本です。
正解は 3
4つのケアの枠組み
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、事業者が心の健康づくり計画を定め、次の4つのケアを継続的・計画的に行うことを求めています。
- セルフケア:労働者自身によるストレスへの気づきと対処。事業者はその教育研修や情報提供を行います。
- ラインによるケア:管理監督者による職場環境等の把握と改善、部下からの相談への対応、職場復帰の支援など。
- 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医、衛生管理者、保健師、人事労務管理スタッフなどによる支援や、ケアの企画・実施。
- 事業場外資源によるケア:外部の専門機関やサービスの活用。
事例の読み方
人事担当者は「管理職による個々の従業員の労務・心理的環境の把握に課題がある」と考え、①管理職への年間複数回の研修(メンタルヘルスの全般的知識、コーチング、各種ハラスメントの理解)、②部署ごとの業務負荷とバランスの検討、管理職間での改善策の作成、を進めました。改善しようとした対象は管理監督者が担うケアであり、ラインによるケアです。人事担当者自身は「事業場内産業保健スタッフ等」の立場ですが、問われているのは「改善しようとしたケア」なので、取り組みの対象(管理職)に着目して答えます。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 プライマリヘルスケアは、1978年のアルマ・アタ宣言で示された、住民参加、地域資源の活用、予防重視などを柱とする保健医療の考え方です。用語の雰囲気が似ているだけで、職場の4つのケアとは別の概念です。
- 2 セルフケアは労働者本人の取り組みで、管理職向けの研修のうち管理職自身のストレス対処に関する部分は含まれ得ますが、事例の主眼は部下の把握と職場改善です。
- 4 事業場外資源は、外部の医療機関や相談機関などで、事例では利用していません。
- 5 グリーフケアは喪失体験への支援で、自死遺族支援などの文脈で出題される用語です。
関連論点
ラインによるケアの要点は、部下の「いつもと違う」様子に早く気づくこと、話を聴くこと、必要に応じて産業保健スタッフや専門機関につなぐことです。また、職場環境の改善はストレスチェックの集団分析とも結び付き、ハラスメント対策(労働施策総合推進法などによる事業主の措置義務)とも重なります。4つのケアは担い手で区別し、事例問題では「誰が・誰に」を確かめて答えます。
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題12(現代の精神保健の課題と支援)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

