問題
2 歳の男児と1 歳の女児を同伴した母親のAさんが夫の飲酒問題を相談するために保健所を訪れ,B精神保健福祉士が相談対応をした。Aさんの訴えは以下のようなものであった。 夫は1 年ほど前から深酒を繰り返し,体調不良を理由にしばしば仕事も休むようになった。半年前より,酩酊してはAさんの態度に不満を訴え,大声で罵倒したり,コップや食器を投げたりといった行動を繰り返すようになった。夫が子どもたちの面前でも同様の行動をすることもあってか,男児は夫の姿を見ると怯えた様子を示すことがあり,女児は夜泣きが増えている。夫は反省したのか,この1 か月は飲酒をやめていたが,先週の土曜日から再び飲み始め,仕事も休んでいる。病院に行くよう勧めても「俺は病気じゃない」と繰り返すばかりであるとのことだった。 次の記述のうち,この時のB精神保健福祉士の相談対応として,適切なものを1つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題15(現代の精神保健の課題と支援)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5
夫は子どもたちの面前で、酩酊してAさんを大声で罵倒したり、食器を投げたりしています。子どもが同居する家庭で配偶者に暴力をふるうこと(いわゆる面前DV)は、児童虐待防止法で「心理的虐待」に当たるとされています。男児が怯え、女児の夜泣きが増えているなど、子どもへの影響も現れています。
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者には通告の義務があるため、児童相談所に通告したうえで、自宅訪問を提案する対応が適切です。母子の安全を最優先に考えることが大切です。
正解は 5
子どもが同居する家庭での配偶者への暴力は、児童虐待防止法第2条第4号の心理的虐待に当たります。同法第6条第1項により、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に、又は児童委員を介してこれらの機関に通告しなければなりません。
- 1 不適切。相談に来たのはAさんであり、夫が来所しなければ支援できないとするのは誤りです。家族からの相談を出発点に支援を始めることができます。
- 2 不適切。夫が困り果てるまで関わらないという助言は、暴力と子どもへの心理的虐待が続く状況を放置することになり、母子の安全を損ないます。
- 3 不適切。飲酒問題のある本人の酒を家族が見つけ次第捨てる行動は、本人との衝突を招き、暴力の危険を高めるおそれがあります。家族が本人の飲酒をコントロールしようとすることは、家族支援で勧められない対応とされています。
- 4 不適切。暴言を受容するよう助言することは、暴力の被害を容認することになり、Aさんと子どもの安全を守れません。
- 5 適切。子どもの安全確保のために通告し、家庭の状況を把握する訪問を提案しています。
アルコール問題の相談でも、暴力や子どもへの影響があれば、まず安全の確保と法的な義務(通告)を優先します。
正解は 5
事例の要点
- 夫:1年前から深酒、仕事を休む。半年前から酩酊してAさんを罵倒し、食器を投げる。子どもの面前でも同様。1か月の断酒の後に再飲酒し、受診を拒否している。
- 子ども:2歳の男児は夫を見ると怯え、1歳の女児は夜泣きが増えている。
- Aさん:保健所に相談に来所した。
ここで最も重いのは、子どもが暴力的な場面にさらされ、すでに影響が出ていることです。
法的な根拠
児童虐待防止法第2条は、保護者がその監護する児童について行う行為を児童虐待とし、第4号で「児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(中略)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと」を心理的虐待と定めています。ここでいう配偶者に対する暴力には、身体に対する不法な攻撃で生命又は身体に危害を及ぼすもの「及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」も含まれます。第6条第1項は、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者に通告を義務づけ、第3項は守秘義務の規定が通告義務の遵守を妨げるものと解釈してはならないとしています。したがって精神保健福祉士も、相談の中で知った情報であっても通告を行うことになります。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 アルコール問題では、本人が受診や相談を拒む段階で、家族が先に相談に来ることがよくあります。家族支援から始めて、家族の対応を変えることで本人の治療につながることもあり、本人の来所を支援の条件にするのは誤りです。
- 2 本人が自分で困る体験をすることで変化が起こるという考え方はありますが、暴力があり子どもに影響が出ている状況でそれを優先することはできません。
- 3 酒を捨てる、隠す、飲酒を責めるといった家族の行動は、本人との対立を深め、暴力の引き金にもなり得ます。家族は本人の飲酒を管理しようとするのではなく、自分と子どもの安全と健康を守ることを優先する、というのが家族支援の基本的な考え方です。
- 4 暴言の受容を求めることは、暴力の被害を固定化させ、Aさんの心身の健康を損ないます。
関連論点
配偶者からの暴力については配偶者暴力相談支援センターなど、アルコール問題については精神保健福祉センターや専門医療機関、家族会・自助グループなど、複数の資源につなぐことが求められます。家族に対する支援では、本人を治療につなげる働きかけを学ぶ方法も用いられますが、いずれも家族の安全が前提です。
- 児童虐待の防止等に関する法律第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題15(現代の精神保健の課題と支援)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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