問題
震災から数年後のある日,地域活動支援センターを利用しているAさんは「震災の時の避難所は,人の声が途切れないし,人に見られている感じが息苦しかった。中に居られなかったので,車内で過ごした。とても不安で,体調も不安定になった。つらいことを誰にも言えず,我慢するしかなかった」とB精神保健福祉士に話した。後日開催された「協議会」の部会でも,同様の事例が幾つか出ていた。 そこでB精神保健福祉士は,精神障害者の災害時避難対策のワーキンググループ設置を提案し,承認された。そして,早速活動を開始した。 次の記述のうち,ワーキンググループ初期段階の活動として,最も適切なものを1 つ選びなさい。 (注) 「協議会」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき行われる協議会のことである。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題33(ソーシャルワークの理論と方法(専門))
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3
この事例は、Aさん個人の困りごとだけでなく、協議会の部会でも同じような声が複数出ていた、という場面です。そこで作ったワーキンググループの初期段階では、まず当事者や家族、支援者の声を集めて、地域にどんな困りごとがあるのかを見える形にすることが先です。
ほかの選択肢は、解決策づくりの段階の活動です。資金集め、要望書の提出、啓発動画の発信、フォーラムでの提案は、実態が把握され、課題が整理された後に行うほうが、根拠をもって進められます。
なぜ正解か
正解は 3。地域の課題に取り組む活動は、ニーズ把握(アセスメント)→課題の整理・共有→計画→実行→評価という順で進めるのが基本である。ワーキンググループの初期段階では、まず精神障害当事者・家族・支援者の経験を集め、困りごとを可視化して、課題の全体像と優先順位を明らかにする。これが以降の要望や仕組みづくりの根拠になる。
ほかの選択肢
- 1:クラウドファンディングでの資金募集は、具体的な解決策(簡易テント購入)が決まってからの活動で、初期段階では早い。
- 2:メンタルヘルスに特化した避難所ガイドラインの作成要望は、実態の裏付けを整えてから行うほうが説得力が出る。まずは声を集めることが先。
- 4:啓発動画の作成・発信は、課題と伝える内容が整理されてから行う普及啓発。
- 5:フォーラムで当事者が提案する機会づくりは、提案内容が固まった後の段階の活動で、初期段階ではない。
関連論点
災害時には、避難所での生活のしづらさや周囲の理解不足が、精神障害のある人や家族の負担になりやすい。ワーキンググループで当事者・家族・支援者の経験を集めて課題を可視化しておくと、どの課題を優先し、行政や地域の誰に何を求めるかを、根拠をもって決められる。
正解の根拠と位置づけ
正解は 3。事例では、Aさん個人の体験に加え、協議会の部会でも同様の事例が複数出ていた。個別の困りごとが地域に共通する課題だと見えてきた段階であり、B精神保健福祉士はワーキンググループの設置を提案した。ここからの初期の活動は、コミュニティワーク(地域を対象とする実践)の過程でいえば、ニーズ把握と課題の明確化に当たる。当事者・家族・支援者の声を集約して困りごとを可視化することは、のちのガイドライン作成の要望(選択肢2)や啓発(選択肢4)、仕組みの提案(選択肢5)の根拠になり、活動の優先順位づけにも役立つ。
地域課題への取り組みの流れ
- 気づき:個別の相談や協議会で、共通する困りごとが見えてくる。
- ニーズ把握・可視化:当事者・家族・支援者の声を集める。聞き取り、アンケート、事例の整理など。誰が、どこで、どんな状況で困るのかを具体的にする。
- 課題の共有と目標設定:関係者と共通認識をつくり、取り組みの優先順位を決める。
- 解決策の検討・実行:ガイドライン作成の要望、啓発、資金調達、提案の場の設定など。
- 評価:取り組みの成果を確認し、次に生かす。
誤りの肢の掘り下げ
1・2・4・5はいずれも、解決策を実行する側の活動である。方向としては間違いではなく、いずれ必要になることもあるが、「初期段階の活動として最も適切」という問いに対しては時期が早い。とくに2は、行政に要望するという点でソーシャルアクション的な性格を持つが、実態を示す資料がないまま要望しても、必要性が伝わりにくい。5は当事者の参加(当事者の声を直接届ける)という点で価値に合うが、何を提案するかが整理される前に機会をつくることは順序が逆である。
関連して出る論点
- 当事者参加・協働:声を集めるときも、当事者を「調査される側」にとどめず、活動の主体として関わってもらう視点。
- 協議会の役割:個別の事例から地域課題を抽出し、関係機関で共有して施策につなげる場として位置づけられる。
- 災害時の精神保健福祉の支援では、避難所での配慮、福祉的な支援の継続、平時からの備えと関係づくりの重要性が問われる。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題33(ソーシャルワークの理論と方法(専門))です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

