問題
次の a 〜 e の文は,公共測量における測量作業機関の対応について述べたものである。明らかに間違っているものだけの組合せはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 a. 局地的な大雨による災害が増えていることから,現地作業に当たっては,気象情報に注意するとともに,作業地域のハザードマップを携行した。 b. 測量計画機関から貸与された測量成果などのデータを格納したUSBメモリを紛失した後の対応として,会社にデータのバックアップがあり作業には影響がないことを確認するとともに,速やかに測量計画機関に報告し,その指示を求めた。また,再発防止の措置を講じた。 c. 二つの測量計画機関 A,B から同時期に同じ地域での作業を受注した。作業効率を考慮し,A から貸与された空中写真などの測量成果を B の作業にも使用した。その旨の報告は,A,B それぞれの成果納品時に行った。 d. 基準点測量を実施する際,観測の支障となる樹木があった。現地作業を予定どおりに終わらせるため,所有者の承諾を得ずに伐採した。現地作業終了後,速やかに所有者に連絡した。 e. 現地作業中は,測量計画機関から発行された身分証明書とともに,自社の身分証明書も携帯した。
答え合わせ
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自信の3択
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解説
公共測量における測量作業機関の行動規範に関する問題です。正答は 4「c, d」です。
c が誤り:A から貸与された測量成果は A の公共測量専用であり,B の作業に流用することは測量法・契約上の問題があります。また,報告は納品時ではなく,流用前に計画機関双方の許可を得る必要があります。
d が誤り:樹木の伐採には所有者の承諾が事前に必要です(民法・測量法第15条)。作業効率を優先して無断で伐採することは法令違反であり,事後報告では済まされません。
a・b・e は適切な対応です。特に b のデータ紛失時の速やかな報告と再発防止措置は,情報セキュリティ管理として正しい対応です。
【公共測量における測量作業機関の法的義務と管理規範の解法】
【正答 4「c, d」の根拠】
c が誤りの理由
測量計画機関 A から貸与された測量成果(空中写真等)は,A との契約・委託に基づく貸与物であり,第三者(測量計画機関 B)の業務に無断使用することは:
① 著作権・国有財産の目的外使用(測量成果の帰属は計画機関)
② 測量法第33条に基づく作業規程違反の可能性
③ 契約上の守秘義務・目的外使用禁止条項違反
さらに,「その旨の報告を成果納品時に行った」は事後報告であり,流用前に双方の計画機関から書面による承諾を得ることが必要。
d が誤りの理由(測量法第15条・民法)
測量法第15条:「測量のために他人の土地への立入り」は認められているが,樹木の伐採・切取りには土地所有者の承諾が必要(測量法第16条)。また,承諾なき伐採は民法上の不法行為(民法第709条)にも該当する。「所有者の承諾を得ずに伐採した」は明確な法令違反。現地作業終了後の事後連絡では法的責任を免れない。
a が正しい理由
安全管理の観点からハザードマップ携行・気象情報確認は適切な作業安全措置(公共測量標準作業規程第3条の安全確保義務)。
b が正しい理由
情報漏洩・紛失時の対応として,①速やかな計画機関への報告,②指示を求める,③再発防止措置,は適切な情報セキュリティ管理手順(公共測量標準作業規程の情報管理規定)。
e が正しい理由(測量法第14条)
測量作業に従事する者は,測量計画機関発行の身分証明書を携帯しなければならない(測量法第14条第2項)。自社の身分証明書を併せて携帯することは問題ない。
【公共測量作業機関の義務体系と現場実務の深掘り】
測量法における測量作業機関の法的地位と義務
測量作業機関(法第10条の2)は,測量計画機関から委託を受けて公共測量の作業を実施する者であり,作業規程(法第33条)・技術基準に従って作業を行う義務を負う。受注者としての契約義務と測量法上の公法的義務の両面を有する。
c の誤りの深掘り(成果の目的外使用・知的財産・公共財産)
公共測量の測量成果(空中写真・地形図・測量データ等)は,測量計画機関(国・地方公共団体)が費用を負担して取得したものであり,その帰属は計画機関にある。測量作業機関が受け取る「貸与」は当該業務遂行のための限定的使用権であり,他の業務への転用は厳禁。
近年のデータ管理の観点:公共測量では3D点群データ・オルソ画像・BIM/CIMデータ等の大容量データが扱われる。これらのデータの目的外使用は,情報セキュリティポリシー違反・個人情報保護法(土地所有者情報含む場合)・不正競争防止法(営業秘密)にも関わりうる。
d の誤りの深掘り(測量のための土地立入りと財産権制限の限界)
測量法第15条は「測量のためにやむを得ない必要がある場合に限り,他人の土地に立ち入ることができる」と規定する(公用制限)。しかし,土地立入り権が認められても,樹木等の工作物・動産を損壊・除去する権限はない。
伐採が認められる例外:測量法第16条は「障害となる植物等の伐除」を認めているが,「必要最小限の範囲」かつ「あらかじめ土地の占有者に通知」が条件。所有者の承諾なき無断伐採は同条違反。
民事上の責任:民法第709条の不法行為による損害賠償責任,刑事上の器物損壊罪(刑法第261条)の問題も生じうる。
測量現場の情報セキュリティ(b の適切対応の背景)
公共測量標準作業規程(国土地理院告示)では,測量成果・個人情報を含むデータの管理について規定している。USBメモリ等の可搬媒体の管理は特に厳格であり,紛失・盗難時の報告義務・再発防止措置の実施は法令上の義務ではなく作業規程・契約上の義務として規定される。近年はクラウドストレージ・暗号化デバイスの利用が推奨されている。
上位資格(測量士)への接続
測量士試験では,測量法違反の罰則(法第50〜56条),賠償責任,保険加入の必要性,下請け・再委託時の責任の所在,公共測量の成果公表義務(法第40条)など,より高度な法的論点が問われる。また,測量業者登録(法第55条以降)・技術者配置義務・帳簿保存義務等の業者としての法的責任も重要範囲となる。
- 測量法第15条・第33条・第16条・第14条e-Govで原文を読む
- 民法第709条e-Govで原文を読む
- 個人情報の保護に関する法律e-Govで原文を読む
- 刑法第261条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問2(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

