宅建の用途地域を、都市計画法8条・9条と建築基準法48条・別表第二の条文で整理します。13種類の目的、「建てられるものの列挙」と「建ててはならないものの列挙」の見分け方、店舗の面積制限、2つの地域にまたがる敷地、特別用途地区・特定用途制限地域・風致地区との違いまで確認できます。
目次
結論:宅建の用途地域は、都市計画法8条1項1号に列挙された13種類で、どの用途の建物を建てられるかは建築基準法48条と別表第二で決まります。試験の第一の山は、別表第二の読み方です。第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域は「建てられるものの列挙」(これ以外は建てられない)、それ以外の地域は「建ててはならないものの列挙」(これ以外は建てられる)になっています。さらに、特別用途地区・特定用途制限地域・風致地区は、用途地域とは別の地域地区で、規制の決め方(条例)も違います。
この記事は、e-Gov 法令検索で読んだ都市計画法(7条・8条・9条・13条・58条)と建築基準法(48条〜50条・91条・別表第二)の条文だけをもとに、用途地域と、用途地域を補う地域地区を整理したものです。都市計画全体の流れは宅建の都市計画法と開発許可、法令上の制限の数字は宅建の法令上の制限の数字の表、容積率・建蔽率の計算は宅建の建ぺい率・容積率、斜線制限と日影規制は宅建の斜線制限と日影規制にあります。ここでは、用途地域そのものと、建てられる建物の見分け方に絞ります。
用途地域13種類の全体像(都市計画法8条1項1号・9条)
用途地域は、都市計画法8条1項1号が、次の13種類を列挙しています(「用途地域」と総称)。それぞれの目的は、9条1項〜13項に1つずつ書かれています。
| 用途地域 | 目的(都市計画法9条の書き方を要約) | 項 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する | 1項 |
| 第二種低層住居専用地域 | 主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する | 2項 |
| 第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護する | 3項 |
| 第二種中高層住居専用地域 | 主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護する | 4項 |
| 第一種住居地域 | 住居の環境を保護する | 5項 |
| 第二種住居地域 | 主として住居の環境を保護する | 6項 |
| 準住居地域 | 道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護する | 7項 |
| 田園住居地域 | 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護する | 8項 |
| 近隣商業地域 | 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進する | 9項 |
| 商業地域 | 主として商業その他の業務の利便を増進する | 10項 |
| 準工業地域 | 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進する | 11項 |
| 工業地域 | 主として工業の利便を増進する | 12項 |
| 工業専用地域 | 工業の利便を増進する | 13項 |
住居系の第一種と第二種は、9条の書き方で「主として」が付くかどうかが違います。住居系が8種類(低層2・中高層2・住居2・準住居・田園住居)、商業系が2種類(近隣商業・商業)、工業系が3種類(準工業・工業・工業専用)という分け方は、当サイトの整理です。
用途地域は、市街化区域には少なくとも定め、市街化調整区域には原則として定めないものとされています(都市計画法13条1項7号)。
別表第二の読み方:「建てられるもの」の列挙か、「建ててはならないもの」の列挙か
どの用途地域で何を建てられるかは、建築基準法48条が、別表第二の項ごとに決めています。この条文の形が、地域によって2つに分かれていることが、宅建の用途地域で最初に押さえる点です。
| 用途地域 | 別表第二の項 | 条文の形 | 48条 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | (い) | 掲げる建築物以外は建築してはならない(建てられるものの列挙) | 1項 |
| 第二種低層住居専用地域 | (ろ) | 同上 | 2項 |
| 第一種中高層住居専用地域 | (は) | 同上 | 3項 |
| 第二種中高層住居専用地域 | (に) | 掲げる建築物は建築してはならない(建ててはならないものの列挙) | 4項 |
| 第一種住居地域 | (ほ) | 同上 | 5項 |
| 第二種住居地域 | (へ) | 同上 | 6項 |
| 準住居地域 | (と) | 同上 | 7項 |
| 田園住居地域 | (ち) | 掲げる建築物以外は建築してはならない(建てられるものの列挙) | 8項 |
| 近隣商業地域 | (り) | 建ててはならないものの列挙 | 9項 |
| 商業地域 | (ぬ) | 同上 | 10項 |
| 準工業地域 | (る) | 同上 | 11項 |
| 工業地域 | (を) | 同上 | 12項 |
| 工業専用地域 | (わ) | 同上 | 13項 |
| 用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く) | (か) | 同上 | 14項 |
建築基準法48条の条文の形:1項〜3項と8項は、別表第二(い)(ろ)(は)(ち)項に掲げる建築物以外の建築物を建築してはならないと定める。4項〜7項と9項〜14項は、別表第二の各項に掲げる建築物を建築してはならないと定める。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 建築基準法48条。
別表第二の項は、前の項を引用して積み上がる形で書かれています。たとえば、第二種低層住居専用地域の(ろ)項は「(い)項第一号から第九号までに掲げるもの」に店舗・飲食店(床面積150㎡以内・3階以上の部分を除く)などを足したもので、第一種中高層住居専用地域の(は)項は、同じ(い)項の1号〜9号に、大学・病院・店舗(500㎡以内)などを足したものです。第二種中高層住居専用地域の(に)項は、(ほ)(へ)(と)(り)の各項の一部を引いて、建ててはならないものを並べています。
48条には、いずれの項にもただし書があり、特定行政庁が、その地域の環境を害するおそれがないと認め、または公益上やむを得ないと認めて許可した場合は、この限りではないとされています。この許可(特例許可)をするときは、あらかじめ、利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取をし、建築審査会の同意を得なければなりません(15項)。意見の聴取をするときは、期日の3日前までに、建築の計画と期日・場所を公告します(17項)。特例許可を受けた建築物の増築・改築・移転(政令で定める場合に限る)について特例許可をする場合は意見聴取と同意が、日常生活に必要な政令で定める建築物で一定の措置が講じられたものについて1項〜7項のただし書の特例許可をする場合は同意が、それぞれ不要です(16項)。
主な用途の可否の早見表(別表第二の読み取り)
次の表は、別表第二の本文から、代表的な用途について13の用途地域のうち「建てられない地域」を当サイトが読み取って並べたものです。ここに載せていない用途地域では、その用途は別表第二の本文上は禁止されていません。別表第二の各号には「政令で定めるもの」「政令で定めるものを除く」という形で政令で定める例外があり、48条ただし書の特例許可もあります。また、特別用途地区の条例(建築基準法49条)で制限が加わることもあります。
| 用途 | 建てられない用途地域 | 根拠(別表第二) |
|---|---|---|
| 住宅・共同住宅・寄宿舎・下宿 | 工業専用地域だけ | (わ)項2号・3号 |
| 老人ホーム・福祉ホーム | 工業専用地域だけ | (わ)項4号 |
| 病院 | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域((い)(ろ)(ち)項に病院が掲げられていない)、工業地域、工業専用地域 | (を)項6号、(わ)項1号 |
| 大学・高等専門学校・専修学校等 | 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域((い)項4号が除いている)、工業地域、工業専用地域 | (い)項4号、(を)項5号、(わ)項1号 |
| 小学校・中学校・高等学校など | 工業地域、工業専用地域((を)項5号の「学校」からは幼保連携型認定こども園が除かれている) | (を)項5号、(わ)項1号 |
| 図書館など | 工業専用地域だけ((い)項4号に「図書館その他これらに類するもの」がある) | (い)項4号、(わ)項6号 |
| ホテル・旅館 | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域、工業地域、工業専用地域。第一種住居地域は、(は)項以外の用途の部分が3,000㎡超のものが不可 | (に)項4号、(ほ)項4号、(を)項2号 |
| マージャン屋・ぱちんこ屋・射的場・勝馬投票券発売所・場外車券売場など | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、工業専用地域。第二種住居地域・準住居地域・工業地域は、遊技場・勝馬投票券発売所・場外車券売場などの用途の部分が10,000㎡超のものが不可 | (に)項1号、(ほ)項2号、(へ)項6号、(と)項6号、(を)項7号、(わ)項8号 |
| カラオケボックスなど | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域。遊技場など((へ)項6号・(と)項6号・(を)項7号)に当たる場合は、第二種住居地域・準住居地域・工業地域・工業専用地域で10,000㎡超が不可 | (に)項1号、(ほ)項3号 |
| 劇場・映画館・演芸場・観覧場 | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域・第一種住居地域((に)項1号・(ほ)項1号が(へ)項3号を引用)、第二種住居地域、工業地域、工業専用地域。準住居地域は客席の部分の床面積の合計が200㎡以上のものが不可 | (へ)項3号、(と)項5号、(を)項4号 |
| キャバレー・料理店など | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、工業地域、工業専用地域。商業地域・準工業地域には、この用途を禁じる定めがない | (り)項2号、(を)項3号 |
| 個室付浴場業に係る公衆浴場など | 用途地域の中では商業地域だけが建てられる | (り)項3号、(る)項3号、(を)項1号 |
| 倉庫業を営む倉庫 | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域(掲げられていない)、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域 | (へ)項5号 |
| 原動機を使用する工場(作業場の床面積) | 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域は工場が掲げられていない。第二種中高層住居専用地域は工場(政令で定めるものを除く)が不可。作業場50㎡超は第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域で不可(準住居地域は作業場150㎡以下の自動車修理工場を除く)。作業場150㎡超は近隣商業地域・商業地域で不可(日刊新聞の印刷所、作業場300㎡以下の自動車修理工場を除く)。面積が小さくても、(と)項3号・(ぬ)項3号などに掲げる事業を営む工場は別に禁止される | (に)項2号、(ほ)項1号、(へ)項2号、(と)項2号、(り)項1号、(ぬ)項2号 |
この表で、住居系の「第一種中高層住居専用地域・田園住居地域」が「掲げられていない」と書いたのは、(は)項・(ち)項が建てられるものの列挙で、その用途が載っていないからです。第二種中高層住居専用地域以降は、禁止の項に載っているかどうかで判断します。
マージャン屋・ぱちんこ屋などが建てられない地域:別表第二(ほ)項2号に掲げられているため第一種住居地域で建築不可。第二種住居地域・準住居地域・工業地域では、(へ)項6号・(と)項6号・(を)項7号が、遊技場・勝馬投票券発売所・場外車券売場などの用途の部分が10,000平方メートルを超えるものを掲げる。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 建築基準法別表第二。
店舗・飲食店の面積と階数の段階
店舗・飲食店(政令で定めるもの)は、用途地域が住居系から商業系へ進むにつれて、床面積の制限がゆるくなります。条文に面積と階数が書かれている地域をまとめます。
| 用途地域 | 店舗・飲食店等の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 店舗・飲食店そのものは掲げられていない。住宅で店舗等を兼ねるもののうち政令で定めるものだけ | (い)項2号 |
| 第二種低層住居専用地域 | 床面積の合計150㎡以内(3階以上の部分を除く) | (ろ)項2号 |
| 田園住居地域 | 農産物の販売を主たる目的とする店舗等は500㎡以内、それ以外の店舗等は150㎡以内(いずれも3階以上の部分を除く) | (ち)項4号・5号 |
| 第一種中高層住居専用地域 | 床面積の合計500㎡以内(3階以上の部分を除く) | (は)項5号 |
| 第二種中高層住居専用地域 | 「(は)項に掲げる建築物以外」の用途に供する部分が1,500㎡超、または3階以上の部分にあるものは建築不可(政令で定めるものを除く) | (に)項7号・8号 |
| 第一種住居地域 | (は)項以外の用途の部分が3,000㎡超は建築不可(政令で定めるものを除く) | (ほ)項4号 |
| 第二種住居地域・準住居地域 | 店舗・飲食店・展示場・遊技場等(政令で定めるもの)は床面積10,000㎡超は建築不可 | (へ)項6号、(と)項6号 |
| 近隣商業地域・商業地域・準工業地域 | 店舗の面積による制限は、(り)(ぬ)(る)項に掲げられていない | (り)(ぬ)(る)項 |
| 工業地域 | 店舗・飲食店・展示場・遊技場等は床面積10,000㎡超は建築不可 | (を)項7号 |
| 工業専用地域 | 物品販売業を営む店舗・飲食店は建築不可 | (わ)項5号 |
| 用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く) | 店舗・飲食店等は10,000㎡超は建築不可 | (か)項 |
(に)項7号・8号の「(は)項に掲げる建築物以外」とは、第一種中高層住居専用地域に建築できる建築物以外、という意味です。数字は、500㎡→1,500㎡→3,000㎡→10,000㎡と、地域が進むにつれて段階が上がっていきます。
計算で確認:店舗の面積と階数(当サイトの設例)
- 設例A:第二種低層住居専用地域で、1階に飲食店(政令で定める飲食店に当たるものとし、床面積120㎡)がある2階建て。120㎡は(ろ)項2号の150㎡以内で、3階以上の部分でもないので、条文上は建築できる。
- 設例B:第一種中高層住居専用地域で、1階に店舗(床面積480㎡)と、2階に店舗(床面積60㎡)がある建物。店舗等に供する部分の床面積の合計は 480㎡+60㎡=540㎡で、(は)項5号の500㎡以内を超えるため建築できない。検算:500㎡との差は 540㎡−500㎡=40㎡で、2階の店舗を60㎡から20㎡に減らせば 480+20=500㎡となり、500㎡以内に収まる。
- 設例C:第一種住居地域で、事務所と店舗を合わせて(は)項以外の用途の部分が 2,800㎡の建物。3,000㎡以下なので、(ほ)項4号では建築不可とならない(他の禁止に当たらない前提)。
敷地が2つの用途地域にまたがるときの考え方(建築基準法91条)
1つの敷地が2つ以上の用途地域にまたがる場合、建物の用途の制限はどの地域のものを使うかが、整理しておきたい論点です。建築基準法91条は、その建築物またはその敷地の全部について、敷地の過半の属する区域・地域・地区内の建築物に関するこの法律の規定または命令の規定を適用すると定めています。
| 項目 | 敷地が複数の地域にまたがる場合の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 建築物の用途の制限(別表第二) | 敷地の過半の属する地域のルールを敷地全部に適用する | 91条 |
| 容積率・建蔽率 | 過半の考え方ではなく、各地域の限度に、その地域にある敷地の割合を掛けて合計する(加重平均) | 52条7項・53条2項(91条のかっこ書が除外) |
| 道路斜線・隣地斜線・北側斜線、日影規制 | 91条の適用から除かれ、それぞれの規定が定める。隣地斜線・北側斜線は56条5項が「建築物」を「建築物の部分」と読み替え、道路斜線は別表第三の備考が同様に定め、日影規制は56条の2第5項が政令に委ねている | 56条5項、別表第三備考、56条の2第5項 |
| 防火地域・準防火地域、高度地区 | 91条のかっこ書で、過半の考え方の対象の地域・地区から除かれている | 91条(かっこ書) |
計算で確認:過半の判定(当サイトの設例)
- 敷地600㎡のうち、350㎡が第一種住居地域、250㎡が商業地域。第一種住居地域の割合は 350÷600=約58.3%で、半分を超えているので、用途の制限は第一種住居地域のものが敷地全部に適用される。商業地域の250㎡の部分に建てる場合でも、その建物には第一種住居地域のルール(たとえばマージャン屋・ぱちんこ屋は不可)がかかる。
- 検算:250÷600=約41.7%で、58.3%+41.7%=100%。過半は第一種住居地域で変わらない。
用途地域を補う地域地区:特別用途地区・特定用途制限地域・風致地区
用途地域のほかに、似た名前で紛らわしい地域地区が3つあります。いずれも都市計画法8条1項に列挙された地域地区で、規制の決め方が違います。
| 地域地区 | 都市計画法の条文 | 定める場所・目的 | 建築の制限の決め方 |
|---|---|---|---|
| 特別用途地区 | 8条1項2号、9条14項 | 用途地域内の一定の地区で、その地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため、用途地域の指定を補完して定める | 地方公共団体の条例(建築基準法49条1項)。国土交通大臣の承認を得て、条例で48条1項〜13項の制限を緩和することもできる(同2項) |
| 特定用途制限地域 | 8条1項2号の2、9条15項 | 用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内で、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める | 都市計画に即し、政令で定める基準に従った地方公共団体の条例(建築基準法49条の2) |
| 風致地区 | 8条1項7号、9条22項 | 都市の風致を維持するため定める | 建築物の建築・宅地の造成・木竹の伐採などを、政令で定める基準に従った地方公共団体の条例で規制する(都市計画法58条1項) |
特別用途地区は用途地域の中に重ねて指定し、用途地域の規定を補う(厳しくも、緩くもできる)ものです。特定用途制限地域は、用途地域が決まっていない区域に指定するもので、用途地域と重ならない点が違いです。風致地区は、建物の建築のほか、宅地の造成や木竹の伐採も条例の規制の対象になります。
用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・風致地区は、準都市計画区域にも定めることができます(都市計画法8条2項。ほかに高度地区、景観地区など)。準都市計画区域に定められる地域地区の全体は、宅建の都市計画法と開発許可の表で扱っています。また、建築基準法50条は、用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域などの内での建築物の敷地・構造・建築設備に関する制限で、その地域・地区の指定の目的のために必要なものを、地方公共団体の条例で定めると規定しています。
この論点の問題を解く
用途地域の問題は、法令上の制限の科目にあります。
試験での問われ方(出題の型)
問題文は載せず、出題の型を当サイトの言葉で整理します。
- ① 特定の用途の建築物が、特定の用途地域で建てられるかを問う型:ここで、別表第二が「建てられるものの列挙」か「建ててはならないものの列挙」かを取り違えないことが決め手になります
- ② 低層・中高層・住居系などの地域を比べ、建築できる最大の床面積や階数が「小さい順に並んでいるか」を問う型:店舗等の150㎡・500㎡・1,500㎡・3,000㎡・10,000㎡の並びが材料になります
- ③ 敷地が複数の地域にまたがるときの扱いを問う型:用途は過半、容積率・建蔽率は加重平均、というように、規定ごとに扱いが違う点を使い分けます
- ④ 用途地域・特別用途地区・特定用途制限地域・風致地区などの地域地区を、定義や条例の根拠で見分けさせる型
- ⑤ 市街化区域・市街化調整区域と用途地域の関係(市街化区域には少なくとも定め、市街化調整区域には原則として定めない)を、都市計画の区域区分と合わせて問う型
間違えやすいポイント
- 病院は、第一種中高層住居専用地域から建てられます((は)項3号)。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では建てられません((い)(ろ)(ち)項に掲げられていないため)。診療所は(い)項8号にあり、低層住居専用地域でも建てられます
- 「第二種低層住居専用地域には、店舗は建てられない」は誤り。(ろ)項2号に、床面積150㎡以内(3階以上の部分を除く)の店舗・飲食店等があります
- 田園住居地域は住居系ですが、(ち)項は建てられるものの列挙で、農産物の生産・集荷・処理・貯蔵に供するもの(政令で定めるものを除く)や、農業の生産資材の貯蔵に供するものが入っている点が、ほかの住居系と違います
- 工業地域は「工業のための地域」ですが、(を)項に学校(幼保連携型認定こども園を除く)・病院・ホテル・旅館などが掲げられていて、これらは建てられません。一方、住宅・共同住宅は(を)項に掲げられておらず、工業地域でも建てられます。建てられないのは工業専用地域です
- 商業地域・近隣商業地域の「建ててはならないもの」には、劇場・店舗の面積の制限はありません。キャバレー・料理店は近隣商業地域で不可ですが、商業地域には禁止の定めがありません
- 91条の過半は用途の制限(別表第二)の話です。容積率・建蔽率の按分とは別のルールです
- 特別用途地区の制限は、条例で、国土交通大臣の承認を得れば緩和もできます。常に「厳しくするだけ」ではありません
令和8年度試験の法令基準日と、改正への対応
宅建試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構 宅建試験の概要)。この記事の条文は、2026年10月7日にe-Gov 法令検索で読んだ現行の条文です。別表第二の用途の例外は政令(建築基準法施行令)で定められ、特別用途地区などの条例の中身は地方公共団体ごとに異なります。次の年度の試験を受ける場合は、その年度の4月1日現在の条文を、e-Gov 法令検索の建築基準法・都市計画法で確認してください。
当サイトの宅建の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がついています。
まとめ
- 用途地域は13種類(都市計画法8条1項1号)。住居系8・商業系2・工業系3は当サイトの整理で、目的は9条1項〜13項に1つずつ書かれている
- 別表第二は、第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、田園住居地域が「建てられるものの列挙」で、その他は「建ててはならないものの列挙」
- 店舗等の面積の段階は、150㎡(第二種低層)→500㎡(第一種中高層)→1,500㎡(第二種中高層)→3,000㎡(第一種住居)→10,000㎡(第二種住居・準住居・工業)。近隣商業・商業・準工業には面積の制限が掲げられていない
- 敷地が複数の用途地域にまたがるときは、用途の制限は過半の属する地域のルール(建築基準法91条)。容積率・建蔽率は加重平均で、91条の対象から外れる
- 特別用途地区は条例で用途を補完(大臣の承認で緩和も可)、特定用途制限地域は用途地域のない区域(市街化調整区域を除く)に定める、風致地区は都市の風致の維持のため条例で規制する
本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構とは関係ありません。掲載している問題は、機構が公表する出題範囲を参照して合格ナビが作成した論点別問題です。条文は e-Gov 法令検索の建築基準法・都市計画法を2026年10月7日に読んだものです。計算例の数値は当サイトの設例で、実在の土地の数値ではありません。試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構)。
よくある質問
Q敷地が2つの用途地域にまたがっているとき、建物の用途はどちらの地域のルールで判断しますか?
敷地の過半(面積が半分を超えるほう)が属する地域の規定が、建築物と敷地の全部に適用されます(建築基準法91条)。たとえば敷地の6割が第一種住居地域、4割が商業地域なら、建物の用途の制限は第一種住居地域のものを、敷地全体に当てはめます。ただし、この過半の考え方は、容積率(52条)・建蔽率(53条)・斜線制限と日影規制(54条〜56条の2)には使えません。91条のかっこ書が、これらの規定を除いているためです。
Q特別用途地区は、用途地域の制限を厳しくするだけの制度ですか?
厳しくする方向だけではありません。特別用途地区内の建築制限は、48条1項〜13項の用途地域の制限に加えて、地方公共団体の条例で定められます(建築基準法49条1項)。さらに、地区の指定の目的のために必要と認める場合には、国土交通大臣の承認を得て、条例で48条1項〜13項の制限を緩和することもできます(同2項)。
Q風致地区の建築の規制は、法律と条例のどちらで決まりますか?
都市計画法58条1項が、風致地区内の建築物の建築・宅地の造成・木竹の伐採その他の行為を、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するために必要な規制をすることができるとしています。建築基準法の別表第二のような全国共通の用途の表があるわけではなく、具体的な規制は各地方公共団体の条例が定めます。
Q特定用途制限地域は、市街化調整区域にも定められますか?
定められません。都市計画法9条15項は、特定用途制限地域を「用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において」定める地域としています。特定用途制限地域内の建築物の用途の制限は、その特定用途制限地域に関する都市計画に即し、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定められます(建築基準法49条の2)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

