宅建士

宅建の斜線制限道路斜線・隣地斜線・北側斜線と日影規制の違いを条文で整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

宅建の斜線制限を、建築基準法56条・56条の2と別表第三・別表第四の条文で整理します。道路斜線・隣地斜線・北側斜線がかかる用途地域、勾配と立ち上がりの数値、後退による緩和、日影規制との関係を、当サイトの計算例つきで確認できます。

目次
  1. 斜線制限3種類の早見表(建築基準法56条1項)
  2. 道路斜線制限:前面道路の反対側の境界線から測る(56条1項1号・別表第三)
  3. 隣地斜線制限:隣地境界線から測り、20mまたは31mから立ち上げる(56条1項2号)
  4. 北側斜線制限:真北方向の水平距離で測る(56条1項3号)
  5. 日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限):56条の2・別表第四
  6. 斜線制限と日影規制の関係:用途地域別の整理
  7. 試験での問われ方(出題の型)
  8. 間違えやすいポイント
  9. 令和8年度試験の法令基準日と、改正への対応
  10. まとめ
結論:宅建の斜線制限は、建築基準法56条1項が定める「建築物の各部分の高さ」の3つの制限です。①道路斜線制限(前面道路の反対側の境界線から測る・1号)、②隣地斜線制限(隣地境界線から測る・2号)、③北側斜線制限(真北方向に測る・3号)。道路斜線は全ての用途地域と用途地域の指定のない区域、隣地斜線は低層住居専用地域・田園住居地域以外、北側斜線は低層住居専用地域・田園住居地域と、中高層住居専用地域(日影規制の条例で別表第四の二の項の号が指定されている区域を除く)だけにかかります。日影規制(56条の2)は、斜線制限とは別の規定で、条例で指定された区域の中高層建築物などが、冬至日に敷地の外へ落とす日影の時間を制限します。

この記事は、e-Gov 法令検索で読んだ建築基準法(56条・56条の2・別表第三・別表第四・55条・91条)と建築基準法施行令(135条の5・135条の6)の条文だけをもとに、斜線制限と日影規制を整理したものです。建ぺい率・容積率は宅建の建ぺい率・容積率、用途地域は宅建の用途地域、法令上の制限全体の数字は宅建の法令上の制限の数字の表にあります。ここでは、高さの制限に絞ります。

斜線制限3種類の早見表(建築基準法56条1項)

項目道路斜線制限(1号)隣地斜線制限(2号)北側斜線制限(3号)
測り始める線前面道路の反対側の境界線隣地境界線前面道路の反対側の境界線または隣地境界線から、真北方向
かかる用途地域別表第三(い)欄に掲げる全ての用途地域と、用途地域の指定のない区域低層住居専用地域・田園住居地域以外の用途地域と、用途地域の指定のない区域第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域(日影規制の条例で別表第四の二の項の号が指定されている区域を除く)
勾配の数値1.25(低層・中高層・住居・準住居・田園住居の各地域)または1.5(近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用)。用途地域の指定のない区域は特定行政庁が定める。別表第三の四の項・備考三と56条3項に1.5とする例外がある1.25または2.51.25
高さの立ち上がりなし(距離に勾配を掛けたもの)20m(数値1.25の地域)または31m(数値2.5の地域)を加える5m(低層住居専用地域・田園住居地域)または10m(中高層住居専用地域)を加える
規制のかかる範囲反対側の境界線から別表第三(は)欄の距離(20m〜50m)以内範囲の限定なし。ただし高さの限度は常に20m(31m)以上になるので、実際に問題になるのは20m(31m)を超える部分範囲の限定なし(真北方向の距離で計算)
斜線制限の勾配と立ち上がりの数値:道路斜線は別表第三(に)欄の1.25または1.5、隣地斜線は56条1項2号の1.25(20m)または2.5(31m)、北側斜線は56条1項3号の1.25に5m(低層住居専用地域・田園住居地域)または10m(中高層住居専用地域)を加えたもの。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 建築基準法56条・別表第三。

3つとも、建築物の各部分の高さが、条文の式で出た数値以下でなければならない、という形で書かれています(56条1項)。

道路斜線制限:前面道路の反対側の境界線から測る(56条1項1号・別表第三)

道路斜線制限は、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が、別表第三(は)欄の距離以下の範囲内で、建築物の各部分の高さを、反対側の境界線までの水平距離に(に)欄の数値を掛けたもの以下に抑えるものです。距離(適用距離)と勾配は、用途地域と、都市計画で定められた容積率によって決まります。

別表第三の項用途地域容積率の限度適用距離勾配
一第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域20/10以下20m1.25
一同上20/10超30/10以下25m1.25
一同上30/10超40/10以下30m1.25
一同上40/10超35m1.25
二近隣商業地域・商業地域40/10以下20m1.5
二同上40/10超60/10以下25m1.5
二同上60/10超80/10以下30m1.5
二同上80/10超100/10以下35m1.5
二同上100/10超110/10以下40m1.5
二同上110/10超120/10以下45m1.5
二同上120/10超50m1.5
三準工業地域、工業地域、工業専用地域20/10以下20m1.5
三同上20/10超30/10以下25m1.5
三同上30/10超40/10以下30m1.5
三同上40/10超35m1.5
五用途地域の指定のない区域20/10以下20m1.25または1.5(特定行政庁が定める)
五同上20/10超30/10以下25m同上
五同上30/10超30m同上

四の項は、第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・準工業地域内で定められた高層住居誘導地区内の建築物で、住宅の用途の部分が延べ面積の3分の2以上のものです。適用距離は35m、勾配は1.5です。

別表第三の備考三には、第一種・第二種中高層住居専用地域(容積率の限度が40/10以上とされている地域に限る)と、第一種・第二種住居地域・準住居地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域では、適用距離が1段短くなり(25mは20m、30mは25m、35mは30m)、勾配が1.5になると書かれています。

前面道路の幅員が12m以上のとき(56条3項)

第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域で、前面道路の幅員が12m以上の建築物は、反対側の境界線からの水平距離が「前面道路の幅員×1.25」以上の区域内では、勾配が1.25から1.5になります(56条3項)。

後退による緩和(56条2項)

建築物を前面道路の境界線から後退させたときは、前面道路の反対側の境界線の位置が、建築物の後退距離(建築物から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のもの)に相当する距離だけ外側にあるものとして、道路斜線を適用します(56条2項)。

計算で確認:道路斜線の高さの限度(当サイトの設例)

第一種住居地域、都市計画の容積率30/10、前面道路の幅員6m、特定行政庁の指定区域ではない場合です。別表第三の一の項の「20/10超30/10以下」に当たり、適用距離25m、勾配1.25です。

  • ① 後退なし、建築物の一部が道路境界線から4mの位置にある場合:反対側の境界線までの水平距離は 6m+4m=10m。10mは25m以内なので道路斜線がかかり、高さの限度は 10m×1.25=12.5m
  • ② 検算:10m×1.25=10m+10m×0.25=10m+2.5m=12.5m。一致する
  • ③ 建築物全体を道路境界線から2m後退させ、同じ部分(道路境界線から4m)の高さの限度を求める場合:反対側の境界線が2m外側にあるものとして、水平距離は 10m+2m=12m。高さの限度は 12m×1.25=15m。後退しない場合の12.5mより2.5m高い
  • ④ 検算:後退した距離2m×1.25=2.5m、12.5m+2.5m=15m。一致する
  • ⑤ 反対側の境界線から26m(後退なし)の部分:適用距離25mを超えているので、道路斜線制限は適用されない

隣地斜線制限:隣地境界線から測り、20mまたは31mから立ち上げる(56条1項2号)

隣地斜線制限は、建築物の各部分の高さを、その部分から隣地境界線までの水平距離に一定の数値を掛け、20mまたは31mを加えたもの以下にする制限です。

区分(56条1項2号)用途地域数値加える高さ
イ第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域(ハを除く)1.2520m
ロ近隣商業地域、準工業地域(ハを除く)、商業地域、工業地域、工業専用地域2.531m
ハ高層住居誘導地区内の建築物で、住宅の用途の部分が延べ面積の3分の2以上のもの2.531m
ニ用途地域の指定のない区域1.25または2.5(特定行政庁が区域を区分して定める)20mまたは31m

式の最後に20m(31m)を加えるので、高さの限度は常に20m(31m)以上になります。そのため、高さが20m(31m)以下の部分は、実質的にこの制限にかかりません。

また、条文には、次の特例があります。

  • イの数値は、52条1項2号により容積率の限度が30/10以下とされている第一種・第二種中高層住居専用地域以外の地域のうち、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物では、1.25ではなく2.5になります(このとき、加える高さも31mです)
  • 2号のかっこ書は、ロ・ハに掲げる建築物で、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内にあるものを、この号でいう「数値が2.5とされている建築物」から除いています

隣地斜線にも、後退の緩和があります。数値1.25の建築物で高さ20mを超える部分を有するもの、数値2.5の建築物で高さ31mを超える部分を有するものは、その20m(31m)を超える部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を、水平距離に加えて計算します(56条1項2号)。

計算で確認:隣地斜線の高さの限度(当サイトの設例)

第一種住居地域(イ・数値1.25・20m)で、高さ20mを超える部分が隣地境界線から最小5m離れている建築物の場合です。

  • ① 隣地境界線から8mの位置にある部分の高さの限度:(8m+5m)×1.25+20m=16.25m+20m=36.25m
  • ② 検算:13m×1.25=12.5m+3.75m=16.25m(13mを10mと3mに分けて計算)。16.25m+20m=36.25mで一致する
  • 商業地域(ロ・数値2.5・31m)で、高さ31mを超える部分が隣地境界線から最小5m離れている建築物の場合、隣地境界線から8mの位置にある部分の高さの限度は、(8m+5m)×2.5+31m=32.5m+31m=63.5m。検算:13m×2.5=13m×2+13m×0.5=26m+6.5m=32.5m、32.5m+31m=63.5mで一致する

北側斜線制限:真北方向の水平距離で測る(56条1項3号)

北側斜線制限は、第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域(日影規制の条例で別表第四の二の項の(一)(二)(三)の号が指定されているものを除く)で、前面道路の反対側の境界線または隣地境界線までの真北方向の水平距離に1.25を掛け、低層住居専用地域・田園住居地域では5m、中高層住居専用地域では10mを加えたもの以下にする制限です。

用途地域高さの限度備考
第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域真北方向の水平距離×1.25+5m日影規制との関係による除外はない
第一種・第二種中高層住居専用地域真北方向の水平距離×1.25+10m日影規制の条例で別表第四の二の項の(一)(二)(三)が指定されている区域は除く

低層住居専用地域・田園住居地域には、建築物の高さの限度(10mまたは12m・55条1項)もあります。10mと定められた区域で、一定の空地と敷地面積を備え特定行政庁が認めた建築物は、12mまで認められます(55条2項)。

計算で確認:北側斜線の高さの限度(当サイトの設例)

  • 第一種低層住居専用地域で、北側の隣地境界線から真北方向に4m離れた部分:4m×1.25+5m=5m+5m=10m
  • 第一種中高層住居専用地域(日影規制の指定がない区域)で、同じ条件の部分:4m×1.25+10m=5m+10m=15m
  • 検算:低層住居専用地域の式と中高層住居専用地域の式の差は、立ち上がりの差の 10m−5m=5m。10m+5m=15mで一致する

日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限):56条の2・別表第四

日影規制は、斜線制限と考え方が違います。建築物の高さそのものではなく、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあっては、午前9時から午後3時まで)の間に、平均地盤面から一定の高さの水平面の、敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲に、条例で指定された時間以上の日影を生じさせてはならない、という制限です(56条の2第1項)。

  • 対象区域:別表第四(い)欄の地域・区域の全部または一部で、地方公共団体の条例で指定する区域
  • 規制の内容(何時間まで):条例が、別表第四の(一)(二)(三)の号のうちから指定します(三の項には(三)がありません)
  • 測定する高さ:平均地盤面からの高さ。二の項・三の項では、条例が別表第四(は)欄の高さ(4mまたは6.5m)を指定します。四の項では、条例がイまたはロのどちらを適用するかを指定します
別表第四の項地域・区域制限を受ける建築物測定面の高さ号10m以内の範囲10m超の範囲
一第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域軒の高さ7m超、または地階を除く階数が3以上1.5m(一)3時間2時間
一同上同上1.5m(二)4時間2.5時間
一同上同上1.5m(三)5時間3時間
二第一種・第二種中高層住居専用地域高さ10m超4mまたは6.5m(一)3時間2時間
二同上同上4mまたは6.5m(二)4時間2.5時間
二同上同上4mまたは6.5m(三)5時間3時間
三第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域高さ10m超4mまたは6.5m(一)4時間2.5時間
三同上同上4mまたは6.5m(二)5時間3時間
四イ用途地域の指定のない区域軒の高さ7m超、または地階を除く階数が3以上1.5m(一)(二)(三)一の項と同じ一の項と同じ
四ロ用途地域の指定のない区域高さ10m超4m(一)(二)(三)一の項と同じ一の項と同じ

道の区域内(北海道)は、時間がそれぞれ短くなります。たとえば一の項(一)は、10m以内が2時間、10m超が1.5時間です。

日影規制の時間の数値:別表第四。低層住居専用地域・田園住居地域・用途地域の指定のない区域のイは、10m以内の範囲が(一)3時間・(二)4時間・(三)5時間、10m超が2時間・2.5時間・3時間。第一種住居地域などの三の項は、(一)4時間・2.5時間、(二)5時間・3時間。最終確認日:2026-10-07。出典:e-Gov 法令検索 建築基準法別表第四。

56条の2には、ほかに次の定めがあります。

  • 同一の敷地内に2つ以上の建築物がある場合は、1つの建築物とみなして適用する(2項)
  • 対象区域外にある高さ10mを超える建築物で、冬至日に対象区域内の土地に日影を生じさせるものは、対象区域内の建築物とみなして適用する(4項)
  • 特定行政庁が、土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は、日影規制の適用がない(1項ただし書)

計算で確認:日影時間の読み取り(当サイトの設例)

第二種中高層住居専用地域で、条例が(二)を指定している対象区域に、高さ12mの建築物を建てる場合です(測定面の高さは条例が指定した数値)。

  • 敷地境界線から水平距離7mの点:5mを超え10m以内の範囲なので、日影時間は4時間以内
  • 敷地境界線から水平距離12mの点:10mを超える範囲なので、日影時間は2.5時間以内
  • 検算:二の項(二)の10m以内は4時間、10m超は2.5時間。7mは10m以内(4時間)、12mは10mを超える(2.5時間)で一致する
  • 敷地境界線から水平距離3mの点は、5m以内なので、日影規制の測定の対象外(56条の2第1項「五メートルを超える範囲」)

斜線制限と日影規制の関係:用途地域別の整理

4つの規制がどの用途地域にかかるかを、条文から当サイトが整理した表です。

用途地域道路斜線隣地斜線北側斜線日影規制
第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域かかる(1.25)かからないかかる(+5m)別表第四一の項(条例で指定した区域)
第一種・第二種中高層住居専用地域かかる(1.25)かかる(イ・1.25・20m)かかる(+10m)。日影規制の指定区域は除く別表第四二の項(条例で指定した区域)
第一種・第二種住居地域、準住居地域かかる(1.25)かかる(イ)かからない別表第四三の項(条例で指定した区域)
近隣商業地域かかる(1.5)かかる(ロ・2.5・31m)かからない別表第四三の項(条例で指定した区域)
商業地域かかる(1.5)かかる(ロ)かからない別表第四に掲げられていない
準工業地域かかる(1.5)かかる(ロ)かからない別表第四三の項(条例で指定した区域)
工業地域・工業専用地域かかる(1.5)かかる(ロ)かからない別表第四に掲げられていない
用途地域の指定のない区域かかる(1.25または1.5)かかる(ニ)かからない別表第四四の項(条例で指定した区域)

隣地斜線の列は2号の本文の区分で、イの数値を2.5とする特定行政庁の指定や、ロ・ハの建築物についての2号のかっこ書の定めは、前記の隣地斜線の節のとおりです。また、「日影規制」の列は、別表第四の(い)欄に掲げられた地域かどうかの整理です。実際に規制がかかるかどうかは、地方公共団体の条例で対象区域が指定されているかで決まります。

敷地が複数の地域にまたがる場合、斜線制限と日影規制には、91条の「敷地の過半」の考え方は使いません。91条が、52条・53条・54条から56条の2までと別表第三を除いているためです。隣地斜線・北側斜線は56条5項が「建築物」を「建築物の部分」と読み替え、道路斜線は別表第三の備考が同様に定め、日影規制は56条の2第5項が政令に委ねています。

建築物の敷地が2つ以上の道路に接する場合や、敷地と道路・隣地との高低差が著しい場合などの緩和は、政令で定められます(56条6項)。また、政令で定める基準に適合する建築物は、一定の位置で確保される採光・通風等と同程度以上のものが確保されるとして、斜線制限が適用されません(56条7項)。この基準は、建築基準法施行令135条の6以下が「天空率」(同令135条の5)を使って定めています。

この論点の問題を解く

斜線制限・日影規制の問題は、法令上の制限の科目にあります。

試験での問われ方(出題の型)

問題文は載せず、出題の型を当サイトの言葉で整理します。

  • ① 用途地域ごとに、3つの斜線制限がかかるかどうかを問う型:隣地斜線は低層住居専用地域・田園住居地域にはない、北側斜線は低層住居専用地域・田園住居地域・中高層住居専用地域以外にはない、という組み合わせを使います
  • ② 勾配と立ち上がりの数値の組み合わせを問う型:道路斜線は1.25と1.5、隣地斜線は1.25+20mと2.5+31m、北側斜線は1.25+5mと1.25+10m
  • ③ 後退による緩和の扱いを問う型:道路斜線(56条2項)と隣地斜線(56条1項2号)には、後退距離を加えて計算する書き方がある。北側斜線(3号)の条文には、そのような書き方がない
  • ④ 日影規制の対象建築物と測定の条件(軒の高さ7m超・地階を除く階数3以上、高さ10m超、冬至日の真太陽時による午前8時〜午後4時、敷地境界線から5m超、測定面の高さ1.5m・4m・6.5m)を問う型
  • ⑤ 日影規制と北側斜線制限の関係を問う型:中高層住居専用地域では、日影規制の指定区域に北側斜線がかからない

間違えやすいポイント

  • 北側斜線は、真北方向の水平距離で測ります。起点は、北側の隣地境界線だけでなく、北側に前面道路があるときはその反対側の境界線も含まれます(56条1項3号)
  • 道路斜線は適用距離(20m〜50m)の範囲内だけにかかります。範囲を超えた部分には、道路斜線はかかりません
  • 隣地斜線の数値は、住居系が1.25(20m)、商業系・工業系が2.5(31m)です。低層住居専用地域・田園住居地域にはかかりません
  • 北側斜線の立ち上がりは、低層住居専用地域・田園住居地域が5m、中高層住居専用地域が10mで、5mと10mを取り違えやすいところです
  • 日影規制は、条例で対象区域が指定されて初めてかかります。用途地域に別表第四の項があるだけで、自動的にかかるわけではありません
  • 日影規制の対象は、低層住居専用地域では「軒の高さ7m超または3階建て以上」、中高層住居専用地域などでは「高さ10m超」と、基準が違います
  • 商業地域・工業地域・工業専用地域は、別表第四の(い)欄に載っていないので、日影規制の対象区域にはなりません。ただし、対象区域の外から対象区域内に日影を落とす高さ10m超の建築物は、56条の2第4項で規制されます

令和8年度試験の法令基準日と、改正への対応

宅建試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構 宅建試験の概要)。この記事の条文は、2026年10月7日にe-Gov 法令検索で読んだ現行の条文です。次の年度の試験を受ける場合は、その年度の4月1日現在の条文を、e-Gov 法令検索の建築基準法で確認してください。

当サイトの宅建の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がついています。

まとめ

  • 斜線制限は3つ。道路斜線(反対側の境界線から測る・1.25または1.5)、隣地斜線(隣地境界線から測る・1.25+20mまたは2.5+31m)、北側斜線(真北方向・1.25+5mまたは+10m)
  • 道路斜線は全ての用途地域と用途地域の指定のない区域、隣地斜線は低層住居専用地域・田園住居地域以外、北側斜線は低層住居専用地域・田園住居地域と中高層住居専用地域(日影規制の条例で別表第四の二の項の号が指定されている区域を除く)にかかる
  • 道路斜線(56条2項)と隣地斜線(56条1項2号)には、後退距離を加えて計算する書き方がある。道路斜線は適用距離内だけにかかり、隣地斜線は立ち上がりが20m(31m)なので、実質的に問題になるのはそれを超える部分
  • 日影規制は56条の2・別表第四。条例で指定された区域で、冬至日の真太陽時による午前8時〜午後4時(道の区域内は午前9時〜午後3時)に、敷地境界線から5mを超える範囲の日影の時間を制限する
  • 中高層住居専用地域では、日影規制の条例で別表第四の二の項の号が指定されている区域に、北側斜線がかからない。商業地域・工業地域・工業専用地域は日影規制の(い)欄に載っていない
本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構とは関係ありません。掲載している問題は、機構が公表する出題範囲を参照して合格ナビが作成した論点別問題です。条文は e-Gov 法令検索の建築基準法を2026年10月7日に読んだものです。計算例の数値は当サイトの設例で、実在の土地の数値ではありません。試験の出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです(不動産適正取引推進機構)。

よくある質問

Q第一種低層住居専用地域に、隣地斜線制限はかかりますか?

かかりません。隣地斜線制限を定める建築基準法56条1項2号は、イからニまでに、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域、近隣商業地域・準工業地域・商業地域・工業地域・工業専用地域、高層住居誘導地区内の建築物、用途地域の指定のない区域を挙げていますが、低層住居専用地域と田園住居地域は挙げていません。その代わり、低層住居専用地域・田園住居地域では、建築物の高さの限度(55条)と北側斜線制限(56条1項3号)が働きます。

Q北側斜線制限と日影規制は、同じ地域で重ねてかかりますか?

第一種・第二種中高層住居専用地域では、日影規制の条例で別表第四の二の項の(一)(二)(三)のいずれかの号が指定されている場合、北側斜線制限の対象から外れます(56条1項3号のかっこ書)。つまり、中高層住居専用地域では、日影規制が指定されている区域には北側斜線がかからないという関係です。低層住居専用地域と田園住居地域には、このかっこ書がありません。

Q前面道路から建物を後退させると、道路斜線制限はどう変わりますか?

前面道路の反対側の境界線の位置が、建築物の後退距離(建築物から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のもの)に相当する距離だけ、外側にあるものとして計算します(56条2項)。たとえば2m後退すると、反対側の境界線が2m遠くにあるとみなされるので、同じ位置の部分でも高さの限度が高くなります。

Q商業地域には日影規制がありますか?

日影規制を定める56条の2第1項の対象は、別表第四の(い)欄に掲げられた地域です。この欄には、低層住居専用地域・田園住居地域、中高層住居専用地域、第一種住居地域・第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域、用途地域の指定のない区域が載っていて、商業地域・工業地域・工業専用地域は載っていません。ただし、対象区域の外にある高さ10mを超える建築物が、冬至日に対象区域内の土地に日影を生じさせる場合は、対象区域内の建築物とみなして規制されます(56条の2第4項)。

この資格の問題を解く宅建 科目別問題集
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

宅建の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針