電気工事士の就職先や職種を、電気工事士法・電気工事業法・電気技術者試験センターの公式情報で整理。免状が必要な作業、電気工事業者や設備の持ち主のもとで働くときの決まり、電気主任技術者との違い、応募前に法令で確かめられる点がわかります。
目次
結論:電気工事士の免状が法律で求められるのは、電気工事の「作業に従事する」人です(電気工事士法3条)。住宅や店舗など低圧で受電する場所の工事は第二種、高圧で受電するビルや工場(最大電力500kW未満の需要設備)の工事は第一種の免状が必要です。条文は雇用先を電気工事業者に限る書き方になっていないため(当サイトの条文の読み)、「就職先」は工事を請け負う事業者だけでなく、設備を持つ側の事業所まで広がります。この記事は法令と公式情報で確認できる範囲だけを整理し、年収・求人数・個別の会社は扱いません。
合格ナビが収録する第二種電気工事士の問題382問(公式326問と当サイトの自作56問)のうち、電気工事士法の従事できる作業・できない作業を問う問題は13問、電気工事業法・主任電気工事士を問う問題は0問です(2026-10-04 集計)。試験で問われるのは「作業に必要な免状」までで、仕事の探し方に関わる電気工事業法の決まりは、この記事で補います。
条文は e-Gov 法令検索で確認(2026-10-04 時点の現行条文):電気工事士法・電気工事士法施行規則・電気工事業の業務の適正化に関する法律。
電気工事士の免状が関わる仕事の種類(一覧表)
| 仕事の種類 | 必要な資格 | 根拠 |
|---|---|---|
| 一般住宅・小規模な店舗など(一般用電気工作物等)の電気工事の作業 | 第一種または第二種の電気工事士 | 電気工事士法3条2項 |
| 高圧で受電するビル・工場など(自家用電気工作物、最大電力500kW未満の需要設備)の電気工事の作業 | 第一種電気工事士(簡易電気工事=電圧600V以下で使用する部分の工事(電線路を除く)は認定電気工事従事者でも可) | 法3条1項・4項 |
| 自家用電気工作物のネオン工事・非常用予備発電装置工事 | 特種電気工事資格者 | 法3条3項 |
| 電気工事の作業を管理する(一般用電気工事の営業所の主任電気工事士) | 第一種、または第二種免状の交付後に電気工事の実務経験3年以上の第二種 | 電気工事業法19条1項 |
| 電気工事業を営む(事業者になる) | 免状とは別に、登録または通知 | 電気工事業法3条・17条の2 |
| 電気設備の保守・管理(電気主任技術者の業務) | 電気工事士ではなく、電気主任技術者の資格が中心 | センター資格概要のよくある質問 |
職業名や会社の種類は法律には書かれていません。上の表は「どの作業に、どの資格が、どの条文で求められるか」を示したものです。作業の範囲の詳しい条文表は電気工事士2種で何ができる?、電圧と工事範囲の関係は第二種電工の工事範囲にまとめています。
就職先は電気工事業者に限られない:条文が求めているのは「作業に従事する人」
電気工事士法3条は、「第一種電気工事士免状の交付を受けている者…でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事…の作業…に従事してはならない。」(1項)、「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者…でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業…に従事してはならない。」(2項)と定めています。主語は作業に従事する人で、その人がどんな組織に雇われているかは条文の要件として書かれていません(当サイトの条文の読み)。
一方、電気工事業法は、電気工事を請け負って事業にする側を対象にしています。「電気工事業」とは「電気工事を行なう事業をいう」(同法2条2項)で、営む人は登録(3条1項)、自家用電気工事だけを営む人は事業開始の10日前までの通知(17条の2第1項)が必要です。
| 見る法律 | 規制の対象 | 求めること |
|---|---|---|
| 電気工事士法 | 電気工事の作業に従事する人 | 作業の範囲に応じた免状・認定証 |
| 電気工事業法 | 電気工事を事業として行う者 | 登録または通知、営業所ごとの主任電気工事士、作業者の資格の確認 など |
つまり免状は「どこで働くか」ではなく「何の作業をするか」に結びついた資格です。電気工事士の免状を使う場面を探すときは、働く場所の名前ではなく、その仕事に電気工事の作業が含まれるかを見ます。
電気工事士の免状の有効期限:電気技術者試験センターは「一度取得すれば基本的に有効期限はなく、更新の必要もありません。」と案内している。最終確認日:2026-10-04。出典:電気技術者試験センター 電気工事士の資格概要。
電気工事業者のもとで働くときに、条文が定めていること
電気工事業者のもとで電気工事の作業をする人に関わる決まりは、次の条文にあります。応募や入社の前に知っておくと、自分の作業がどの資格に結びついているかを説明しやすくなります。
- 作業者の資格:登録電気工事業者は、第一種または第二種の電気工事士でない人を一般用電気工事の作業(省令で定める軽微な作業を除く)に従事させてはなりません。自家用電気工事は第一種でない人を従事させられず、特殊電気工事は特種電気工事資格者でない人を従事させられません(電気工事業法21条1項〜3項)
- 認定電気工事従事者:電気工事業者は、認定電気工事従事者を簡易電気工事(電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事。電線路に係るものを除く。施行規則2条の3)の作業に従事させることができます(同法21条4項)
- 主任電気工事士:登録電気工事業者は、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、第一種電気工事士、または第二種免状の交付を受けた後に電気工事に関し3年以上の実務経験を有する第二種電気工事士を主任電気工事士として置きます(同法19条1項)。主任電気工事士は一般用電気工事の作業の管理の職務を誠実に行う義務があり(20条1項)、作業に従事する人は、その職務を行うために必要があると認めてする主任電気工事士の指示に従う義務があります(20条2項)
- 他の事業者への再委託:電気工事業者は、請け負った電気工事を、その工事に係る電気工事業を営む電気工事業者でない人に請け負わせてはなりません(同法22条)
登録の申請や開業の手続そのものは、電気工事士で独立・開業するには|電気工事業の登録・主任電気工事士・一人親方の制度で整理しています。
登録電気工事業者の登録の有効期間:5年(有効期間の満了後に引き続き営む場合は更新の登録)。最終確認日:2026-10-04。出典:e-Gov 法令検索 電気工事業の業務の適正化に関する法律 3条。
この論点の問題を解く:
設備を持つ側・建設業者のもとで働くとき
条文は雇用先を限定する書き方になっていないので(当サイトの条文の読み)、電気工事の作業をする人は、設備を持つ側の事業所に勤めていても免状が必要です。たとえば自家用電気工作物(高圧で受電するビルや工場など)の電気工事の作業は、勤務先が電気工事業者かどうかにかかわらず、第一種電気工事士の免状が要る作業です(電気工事士法3条1項)。
建設業者については、電気工事業法34条に特例があります。建設業法2条3項の建設業者には、電気工事業法の登録に関する規定などは適用されず(34条1項)、電気工事業を営む建設業者は登録電気工事業者とみなされ(同条2項)、自家用電気工事だけを営む建設業者は通知電気工事業者とみなされます(同条3項)。開始したときは、経済産業大臣または都道府県知事への届出または通知が必要です(同条4項・5項)。建設業者のもとで働く場合も、作業に従事する人の免状が必要なことは変わりません。
電気工事士と電気主任技術者は仕事の中心が違う
電気に関わる国家資格として、電気工事士のほかに電気主任技術者(電験)があります。電気技術者試験センターの資格概要には、よくあるご質問として次の説明があります。
「電気工事士は「工事・施工」、電気主任技術者は「保守・管理」が主な業務です。」
出典:電気技術者試験センター 電気工事士の資格概要。電気工事士は、電気工事士法で電気工事の作業に従事する人の資格として定められています(3条)。電気主任技術者の試験は電験三種の試験案内から確認できます。
高卒・未経験・年齢は、受験の条件になりますか
電気技術者試験センターの令和8年度下期の受験案内には、「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」とあります。学歴・年齢・実務経験のいずれも、第二種電気工事士の受験の条件ではありません。資格概要のよくあるご質問にも、電気系の仕事が未経験でも「受験資格に実務経験は不要で、誰でも受験可能です。」と書かれています。
第二種電気工事士試験の受験の条件:「受験に対して制限や条件はございません。どなたでも受験ができます。」(令和8年度下期受験案内)。最終確認日:2026-10-04。出典:電気技術者試験センター 令和8年度下期 受験案内(PDF)。
実務経験や年齢の扱いは次の記事で条文とセンターの資料から確認できます。
免状を持っていない間にできる作業
免状がない人が電気工事の現場に入る場合、電気工事士の作業を補助する作業は免状なしで従事できます(電気工事士法施行規則2条2項2号。一般用電気工作物等の作業のうち、電気工事士が従事する作業を補助する作業)。補助にとどまる作業の範囲は条文で決まっており、電線相互の接続など列挙された作業そのものは、免状がなければできません。
| 作業 | 免状がない人 | 根拠 |
|---|---|---|
| 電気工事士が従事する作業を補助する作業 | できる | 施行規則2条2項2号 |
| 電線相互の接続・配線器具の取付け・電線管の曲げなど(列挙された作業) | できない | 同条2項1号イ(1項1号イ〜ヌ・ヲを引用) |
| 露出型点滅器・露出型コンセントの取換え | できる(免状が要らない作業) | 同条1項1号ホの括弧書き(2項1号イで引用) |
何が補助で何が作業そのものかの境目は、免状がなくてもできる作業の表で条文ごとに確認できます。
応募前に、法令で確かめられること
求人の条件や給与は法令に書かれていませんが、応募先の事業者が電気工事業法の手続を踏んでいるかは、次の点で確かめられます。
- 登録・通知の有無:何人も、登録電気工事業者について、経済産業大臣または都道府県知事に対し、登録電気工事業者登録簿の謄本の交付または閲覧を請求できます(電気工事業法16条)。自家用電気工事だけを営む事業者は、登録ではなく通知をした通知電気工事業者です(17条の2)
- 標識の掲示:電気工事業者は、営業所と電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所に氏名または名称、登録番号などを記載した標識を掲げなければなりません(25条)。施工場所の標識で、請け負っている事業者を確認できます
- 作業者の資格の管理:電気工事業者は、資格のない人を電気工事の作業に従事させてはなりません(21条)。自分が担当する作業に必要な資格を、入社前に確認しておくと、入社後のずれを防げます
- 主任電気工事士の配置:一般用電気工事を行う営業所には、主任電気工事士を置く決まりがあります(19条1項)。第二種電気工事士が主任電気工事士になれるのは、免状の交付後に電気工事の実務経験が3年以上あるときです
事業者の手続が整っているかどうかは、会社の良し悪しの評価ではありません。法令上の手続を確認できる、という意味にとどまります。
試験の準備に進む
第二種電気工事士の試験は、学科(四肢択一)と技能の2段階です。合格後の免状交付の手続は第二種電気工事士の合格発表と免状申請、合格までの全体の流れは第二種電気工事士の試験内容で確認できます。
よくある質問
Q電気工事士の免状は、電気工事業者に雇われていないと使えませんか?
電気工事士法3条は、電気工事の作業に従事する人に免状を求める条文で、雇用先の種類を条件とする書き方になっていません(当サイトの条文の読み)。電気工事業者に雇われて働く場合も、設備の持ち主の側で自分たちの設備の電気工事をする場合も、作業に従事する人に免状が必要という点は同じです。事業として工事を請け負う側には、別に電気工事業法の登録または通知が求められます(同法3条・17条の2)。
Q電気工事士の免状に更新や有効期限はありますか?
電気技術者試験センターの資格概要には、「一度取得すれば基本的に有効期限はなく、更新の必要もありません。」とあります。更新が必要なのは、事業として工事を請け負う登録電気工事業者の登録のほうで、有効期間は5年です(電気工事業法3条2項)。
Q免状がない人は、電気工事の現場で何もできませんか?
電気工事士が行う作業を補助する作業は、免状がなくても従事できます(電気工事士法施行規則2条2項2号)。ただし、電線どうしの接続や電線管への電線の収納など、条文に列挙された作業そのものは免状がなければできません。補助にとどまる範囲は、電気工事士法の条文で確認してください。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月4日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

