問題
Aさん(82 歳,女性)は,介護老人保健施設に入所している。朝,眠そうな様子であったため,介護福祉職がどうしたのかと尋ねると,Aさんは,「夜,足や背中がかゆくてあまり眠れなかった」と話した。看護師と共に足や背中を観察すると,皮膚が乾燥していて,引っ掻いたような傷があった。そのほかに皮膚の異常はみられなかった。Aさんは寒さに弱く,今は冬なので常に電気毛布を使用している。昨日は入浴日であった。 次のうち,Aさんに生じている可能性がある疾患として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題80
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは4「老人性皮膚掻痒症」です。
Aさんは電気毛布を使い、昨日は入浴もしていて、皮膚が乾燥してかゆみが出ています。乾燥した皮膚は年齢とともにかゆみを感じやすくなり、これを「老人性皮膚掻痒症」といいます。
たとえるなら、肌のうるおいが減ってカサカサになると、かゆみを感じやすくなるという、高齢者によくみられる肌トラブルです。
👉 覚え方:皮膚の乾燥+かゆみ+高齢者=老人性皮膚掻痒症を疑う。
ほかの選択肢:1角化型疥癬は特有の厚い角質・発疹等の所見が通常みられるが今回は記載なし/2帯状疱疹は神経に沿った水疱・発疹が特徴だが今回は記載なし/3褥瘡は圧迫部位にできる皮膚損傷で今回のような全身の乾燥性のかゆみとは異なる/5閉塞性動脈硬化症は下肢の血流障害による症状(間欠性跛行等)でかゆみとは異なる。
なぜこれが正解か
正解は4。老人性皮膚掻痒症は、加齢に伴う皮脂分泌の低下・皮膚の乾燥(ドライスキン)を背景に生じるかゆみを主症状とする疾患で、冬季の乾燥した環境や、電気毛布の使用、熱い風呂への入浴等でさらに皮膚の乾燥が助長されることで悪化しやすい。Aさんの状況(皮膚の乾燥、電気毛布の常用、前日の入浴、他に皮膚の異常所見がない)は、この老人性皮膚掻痒症に合致する。
各選択肢の解説
- 1 角化型疥癬(ノルウェー疥癬)は、免疫機能の低下した高齢者等にみられ、通常は角質の著しい肥厚や特徴的な発疹を伴うが、事例文にはそうした特異的な皮膚所見の記載がない。
- 2 帯状疱疹は神経の走行に沿って帯状に水疱を伴う発疹が生じるのが特徴だが、事例文には水疱等の記載がない。
- 3 褥瘡は持続的な圧迫を受ける部位(仙骨部等)に生じる皮膚・組織の損傷であり、Aさんの症状(足や背中全体の乾燥・掻き傷)とは病態が異なる。
- 5 閉塞性動脈硬化症は下肢の血流障害により間欠性跛行や冷感等を生じる疾患であり、皮膚のかゆみを主症状とするものではない。
覚え方・ひっかけ注意
「冬季」「乾燥」「電気毛布」「入浴」「かゆみ」というキーワードが揃ったら老人性皮膚掻痒症を第一に想起する。疥癬や帯状疱疹等の感染性・特異的な皮膚疾患は、特徴的な皮疹(水疱、著しい角質肥厚等)の記載の有無で鑑別する。
理論的背景
老人性皮膚掻痒症は、加齢に伴う皮脂腺・汗腺機能の低下、表皮のターンオーバーの遅延、角質層の保湿機能低下(セラミド等の細胞間脂質の減少)を背景に、皮膚の乾燥(老人性乾皮症)が進行し、これが神経終末を刺激してかゆみを引き起こす疾患である。特に冬季の低湿度環境、過度な入浴(熱い湯、長時間の入浴、ナイロンタオルでのゴシゴシ洗い)、電気毛布・暖房器具の使用による皮膚の過度な乾燥が増悪因子となる。搔破(かきむしること)により皮膚のバリア機能がさらに損なわれ、湿疹化・感染のリスクも高まるため、悪循環を断つケアが重要となる。
試験での位置づけ
高齢者の皮膚トラブル(老人性皮膚掻痒症、疥癬、褥瘡、スキン-テア等)の鑑別は、発達と老化の理解領域・生活支援技術領域を横断する頻出テーマ。事例文の情報(症状の性質、誘因となる生活状況、随伴する皮膚所見の有無)から適切な疾患を推論する力が求められる。
選択肢の発展補足
老人性皮膚掻痒症への対応としては、保湿剤(ローション・クリーム)によるスキンケア、入浴時の湯温を低めに設定する、強く擦らない洗浄方法の採用、室内の適切な加湿、電気毛布の使用時間の調整等が有効とされる。第38回 問67(表皮の角質層のバリア機能)の知識ともあわせて理解すると、皮膚トラブルの予防的ケアの理論的根拠が深まる。
上位資格・発展
皮膚科学・老年医学の分野では、老人性乾皮症の重症度評価や、保湿剤の種類ごとの特性(ワセリン等の油脂性基剤、尿素製剤、ヘパリン類似物質製剤等)の使い分けがより専門的に扱われる。介護福祉士としては、日常の入浴・清潔保持ケアを通じて皮膚の状態を観察し、乾燥・かゆみの早期発見と保湿ケアの実践につなげる視点が重要である。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題80です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

