問題
Aさん(45 歳,男性)は,1 年前,交通事故で頭部外傷を負った。四肢に障害は残らなかったが,高次脳機能障害(higher brain dysfunction)と診断された。 次の記述のうち,Aさんの障害特性を理解した支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」問題97
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは4「社会的行動障害によってすぐに怒りだすことがあるため,感情が落ち着くように場面や話題を変える」です。
高次脳機能障害のある人は、感情のコントロールが難しくなり、すぐに怒りだしてしまうことがあります。そんなときは、その場の空気や話題を変えて、気持ちが落ち着くように働きかけることが適切な対応です。
たとえるなら、感情が高ぶってしまったときは、無理に説得しようとせず、いったん話題を変えてクールダウンを促すイメージです。
👉 覚え方:社会的行動障害への対応=話題や場面を変えて感情を落ち着かせる。
ほかの選択肢:1記憶障害で同じ質問を繰り返す人に「一度だけ答える」のは不適切(繰り返し丁寧に答えるのが望ましい)/2注意障害でミスが多い人にその都度強く注意するのは不適切(叱責は逆効果になりやすい)/3遂行機能障害で指示なしに作業できない人に「自分の判断でやるよう促す」のは特性に合わない対応(具体的な手順の提示が必要)/5病識低下でできないことを認めない人にできないことを直接指摘するのは不適切(自尊心を傷つけ抵抗を招きやすい)。
なぜこれが正解か
正解は4。高次脳機能障害の症状の一つである社会的行動障害は、感情や行動のコントロールが困難になり、些細なことで急に怒りだす(易怒性)等の症状を伴うことがある。このような場面では、その場で説得や注意をするのではなく、話題や場面を切り替えることで感情の沈静化を図る対応が適切である。
各選択肢の解説
- 1 記憶障害により同じ質問を繰り返す人に対し「一度だけ質問に答える」という対応は、記憶が保持できないという障害特性への理解を欠いており、その都度、初めて聞かれたときと同じように丁寧に答えることが望ましい。
- 2 注意障害によるミスに対し、その都度強く注意する対応は、本人の自尊心を傷つけ、かえって不安や混乱を強めるリスクがあり、原因(注意の持続困難)を踏まえた環境調整(作業を単純化する等)が優先される。
- 3 遂行機能障害により指示がないと作業できない人に対し、「自分の判断でやるように促す」対応は、遂行機能障害の特性(計画立案・実行の困難)に反しており、具体的で構造化された指示を提供する方が適切である。
- 5 病識低下(自分の障害・できないことを認識できない)がある人に対し、直接できないことを指摘する対応は、本人の心理的な抵抗や混乱を招きやすく、できることに焦点を当てた関わりが望ましい。
覚え方・ひっかけ注意
高次脳機能障害の各症状(記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害・病識低下)に対する不適切な対応(叱責、直接的な指摘、自主性への丸投げ)はいずれも誤答パターンとして頻出。「障害特性を理解し、それに合わせた配慮ある対応」を一貫して選ぶ視点が重要。
理論的背景
高次脳機能障害における社会的行動障害は、前頭葉、特に眼窩前頭皮質や前部帯状回の損傷により、感情や欲求のコントロール(抑制機能)が低下することで生じるとされ、易怒性(些細な刺激で怒りが爆発する)、脱抑制(衝動的な言動)、意欲・発動性の低下、固執性(同じ行動へのこだわり)等、多様な現れ方をする。対応の基本原則は、本人を責めたり説得しようとしたりするのではなく、感情が高ぶるきっかけとなった刺激(話題、状況)から距離を置く、環境を調整する(刺激の少ない静かな場所へ移動する等)、感情が落ち着いてから改めて関わる、といった「刺激のコントロールと場面転換」にある。
試験での位置づけ
高次脳機能障害の各症状への具体的な対応方法は障害の理解領域の頻出テーマ。第37回 問52(遂行機能障害の定義)とあわせて、症状の「定義」を問う出題と、「対応方法」を問う出題の両方に備えて、各症状の特徴と適切な関わり方をセットで学習しておくことが重要。
選択肢の発展補足
高次脳機能障害は「見えない障害」と呼ばれ、外見からは障害があることがわかりにくいため、周囲から「わがまま」「性格が変わった」と誤解されやすく、本人・家族ともに深い苦悩を抱えることが多い。高次脳機能障害支援普及事業(都道府県の支援拠点機関の整備)を通じた、専門的な評価・リハビリテーション・家族支援の充実が重要な政策課題となっている。
上位資格・発展
リハビリテーション医学・臨床心理学の分野では、社会的行動障害への行動療法的アプローチ(望ましくない行動の前兆を捉え、事前に環境調整を行う「先行子操作」等)がより専門的に扱われる。介護福祉士としては、本人の障害特性を家族・多職種と共有し、一貫した対応方針のもとで関わることが実践的に重要である。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第38回介護福祉士国家試験(令和7年度)」の問題97です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

