問題
次のうち,不適切な養育を意味する用語として,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題12(精神保健の課題と支援)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 3
マルトリートメントは「不適切な養育」と訳される言葉で、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)、心理的虐待といった虐待だけでなく、子どもを傷つける大人の関わり全般を広く含む考え方です。「虐待とまではいえない」と見過ごされがちな関わりも、子どもの心と脳の発達に影響しうることに注目した言葉です。
ほかの選択肢の意味は次のとおりです。アタッチメントは子どもと養育者の情緒的な結び付き(愛着)、トラウマインフォームドケアはトラウマの影響を理解したうえでの支援、インプリンティングは生まれてすぐの時期の「刷り込み」、アロマザリングは母親以外の人が子育てに関わることです。
なぜ正解か
正解は 3。マルトリートメント(maltreatment)は、大人から子どもへの不適切な関わり・養育を広く指す概念で、日本語では「不適切な養育」と訳される。身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待を含むとともに、法的に虐待と認定される手前の、子どもの健全な発達を損なう関わりも含めて捉える点に特徴がある。
ほかの選択肢
- 1:アタッチメント(愛着)は、子どもが不安なときに特定の養育者に近づき、安心を得ようとする情緒的な結び付き。ボウルビィが理論化した。
- 2:トラウマインフォームドケアは、支援者がトラウマの影響を理解し、再びトラウマを与えないよう配慮して関わる支援の枠組み。
- 4:インプリンティング(刷り込み)は、ローレンツが鳥類で示した、生後早い時期に最初に見た動くものを親として追う学習。
- 5:アロマザリングは、母親以外の個体(父親、祖父母、きょうだい、地域の人など)が子育てに関わること。
正解の根拠と位置づけ
正解は 3。児童虐待の防止等に関する法律は、保護者がその監護する児童について行う身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待の4類型を「児童虐待」と定義している。これに対しマルトリートメントは、法的定義よりも広い臨床上・予防上の概念である。厳しすぎるしつけ、子どもの前での激しい夫婦げんか、暴言、過度な期待の押し付けなど、虐待と認定されにくい関わりであっても、繰り返されれば子どもの心身の発達に影響しうるという考え方に立つ。早い段階で親子を支援につなぐという予防の視点を重視するため、精神保健や母子保健の分野で用いられている。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 アタッチメント:乳幼児期に安定した愛着が形成されると、子どもは養育者を「安全基地」として外の世界を探索できる。マルトリートメントは愛着形成を損なう要因になり、関連してDSM-5-TRでは反応性アタッチメント症や脱抑制型対人交流症が挙げられている。不適切な養育そのものではなく、関係の性質を表す言葉である。
- 2 トラウマインフォームドケア:トラウマを治療する専門的な技法ではなく、すべての支援者がもつべき土台となる理解と姿勢のこと。マルトリートメントを受けた子どもや大人を支援する際の枠組みとして関連が深い。
- 4 インプリンティング:特定の時期(臨界期)にだけ成立し、一度成立すると修正されにくい学習として説明される。動物行動学の用語。
- 5 アロマザリング:人間の子育ては本来、母親だけでなく多くの人の関わりで支えられてきたという視点を示す。孤立した子育てがマルトリートメントのリスクを高めるという議論とつながる。
関連して出る論点
- 児童虐待の4類型と面前DV:児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力は、児童虐待防止法第2条第4号で心理的虐待に含まれる(子どもの目の前で行われる、いわゆる面前DVもこれに当たる)。
- 小児期の逆境体験(ACEs):虐待やネグレクト、家庭の機能不全など子ども時代の逆境体験が、成人後の心身の健康や行動に影響するという研究の流れも、マルトリートメントとあわせて理解しておく。
- 支援の場:児童相談所、市町村の子ども家庭相談の窓口、要保護児童対策地域協議会などが、虐待の通告・対応・見守りの中心となる。精神保健福祉士は、親自身の精神疾患や依存症への支援を通じて、子どもへの不適切な養育の予防に関わることがある。
- 児童虐待の防止等に関する法律第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題12(精神保健の課題と支援)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:合格ナビ運営事務局(運営者情報)・編集方針。

