精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題2|精神疾患とその治療

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神疾患とその治療

アルコール依存症の治療に関する次の記述のうち,正しいものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題2(精神疾患とその治療)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 4

抗酒剤(抗酒薬)は、飲んだあとにお酒を口にすると、頭痛・吐き気・嘔吐・顔のほてりなどの強い不快な反応が起こる薬です。「飲むとつらい目にあう」ことで飲酒をとどめる、断酒の補助として使われます。

ほかの選択肢を見ると、離脱症状の治療などには向精神薬が使われるので「禁忌」は誤りです。本人の問題を家族が肩代わりすると、かえって飲酒が続きやすくなります。匿名を原則に掲げているのはAA(アルコホーリクス・アノニマス)で、断酒会は匿名を原則とする会ではありません。日本で生まれた断酒会は、本人だけでなく家族も例会に参加して体験を語るのが特徴です。

なぜ正解か

正解は 4。抗酒剤は、服用中に飲酒すると頭痛・悪心・嘔吐・顔面紅潮・動悸などの不快な反応が起こるため、その反応を避けたいという動機づけで飲酒を抑止する。断酒の意思を支える補助的な薬で、本人の同意と治療関係が前提になる。

ほかの選択肢

  • 1:誤り。アルコール離脱(手のふるえ・不眠・せん妄など)の治療ではベンゾジアゼピン系薬などが使われ、飲酒量を減らす薬や断酒補助薬もある。向精神薬が一律に禁忌ということはない。
  • 2:誤り。家族が借金の肩代わりや職場への言い訳を引き受けることは、本人が問題に直面する機会を奪い、飲酒を続けさせてしまう(イネーブリング)。家族は自分の対応を見直し、家族自身も支援を受けることが勧められる。
  • 3:誤り。匿名を原則に掲げる自助グループはAA。日本で生まれた断酒会は匿名を原則とする会ではなく、家族も例会に参加して体験を語るのが特徴。
  • 5:誤り。ウェルニッケ脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏による急性の脳障害で、速やかなビタミンB1の補充が必要。断酒だけで改善するものではなく、治療が遅れるとコルサコフ症候群(記憶障害・作話)が残ることがある。

正解の位置づけ

正解は 4。アルコール依存症の治療は、①身体合併症と離脱症状の治療、②断酒(または減酒)を続けるための心理社会的治療、③自助グループ・家族支援による継続支援、の組み合わせで行われる。抗酒剤は②を支える薬物療法の一つで、飲酒すると不快な反応が起こることを利用して飲酒を思いとどまらせる。薬だけで依存が治るわけではなく、本人が断酒を選び、それを支える治療関係と生活支援が前提になる。

誤りの肢の論点

  • 1 向精神薬の禁忌:離脱せん妄や離脱けいれんの予防・治療には鎮静系の向精神薬が使われる。うつ病や不安症の併存があれば、その治療薬も検討される。「依存症だから向精神薬は一切使わない」という考え方は誤り。一方で、睡眠薬・抗不安薬そのものへの依存(処方薬依存)には注意が必要、というのが正確な理解である。
  • 2 家族の肩代わり:アルコール依存症支援の基本は、本人が飲酒の結果に向き合えるようにすること。家族が後始末を引き受け続ける関係をイネーブリング、本人の問題に巻き込まれて自分の生活を見失う状態を共依存と呼ぶ。家族向けには、家族教室や家族の自助グループ、本人との関わり方を学ぶプログラムが用意されている。
  • 3 断酒会とAA:
断酒会AA
発祥日本米国
匿名性匿名を原則とする会ではない匿名を原則とする
家族家族も例会に参加し体験を語るオープン・ミーティングは誰でも参加でき、クローズドは本人のみ。家族向けにはアラノンがある

断酒会は「例会」、AAは「ミーティング」と呼び、どちらも自分の体験を語り合うことを中心にしている。

  • 5 ウェルニッケ脳症:大量飲酒に伴う低栄養でビタミンB1が欠乏して起こり、意識障害・眼球運動障害・失調性歩行が三徴とされる。治療はビタミンB1の速やかな補充で、断酒は再発予防として大切だが、それ自体が治療になるわけではない。慢性化するとコルサコフ症候群(記銘力障害・見当識障害・作話)に移行し、回復が難しいことがある。

関連して出る論点

  • アルコール依存症の治療目標として、断酒が基本だが、すぐに断酒に踏み出せない人には飲酒量を減らす「減酒」から関わる考え方も広がっている。
  • アルコール健康障害対策基本法は、アルコール健康障害の発生・進行・再発の防止と、本人・家族への支援を国と自治体の責務として位置づける法律。依存症支援では、精神保健福祉センターや保健所の相談、専門医療機関、自助グループをつなぐことが精神保健福祉士の役割になる。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題2(精神疾患とその治療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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