精神保健福祉士

精神保健福祉士 第26回 問題8|精神疾患とその治療

問題

精神保健福祉士 | 第26回(令和5年度) | 令和6年2月3日(土)・4日(日)実施・精神疾患とその治療

Dさん(38 歳,男性)は,不眠を主訴に精神科クリニックを受診した。医師が不眠の理由を尋ねると,「常に誰かに後を付けられている。道を行く全ての人が,自分のことを話している。自分を狙っている組織がある」と訴えた。診察の結果,Dさんは,統合失調症と診断され,薬物療法を含む治療が開始された。その後来院した時,Dさんは精神科クリニックのE精神保健福祉士に,「組織の人がそこに来ている気がする。どう思いますか」と心配そうに確認を求めてきた。 次の記述のうち,E精神保健福祉士から,Dさんに対する声かけとして,適切なものを2 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題8(精神疾患とその治療)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

※この問題は2つ選ぶ形式です。2つとも選ぶと答え合わせになり、正答の全部を選んだときだけ正解として扱います。

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答え合わせ

正解は 2・3
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 2 と 3

Dさんは「組織に狙われている」という妄想があり、不安になってE精神保健福祉士に確認を求めています。妄想は本人にとって事実として感じられているので、否定しても説得しても考えは変わらず、「わかってもらえない」と信頼関係が崩れやすくなります。

そこで大切なのは、

  • 2:妄想の内容には賛成も反対もせず、「おつらいですね」と不安やつらさに共感すること
  • 3:心配を主治医に伝えるよう促し、治療につなげること

です。1と5は妄想を真っ向から否定する対応、4は妄想の内容を詳しく聞き出して深めてしまう対応で、いずれも適切ではありません。

なぜ正解か

正解は 2 と 3。妄想への関わりの基本は、①妄想の内容を否定も肯定もしない、②内容ではなく、それに伴う不安・恐怖・苦しさに焦点を当てて共感する、③症状の変化を治療チーム(主治医)と共有し治療につなぐ、の3点である。2は②、3は③にあたる。Dさんは治療開始後も不安を抱えており、その心配を主治医に伝えることは、薬物療法の効果や副作用の評価にも役立つ。

ほかの選択肢

  • 1:不適切。「間違っています」と指摘しても、妄想は訂正できない確信であるため考えは変わらない。否定されたと感じて相談をやめてしまうおそれがある。
  • 4:不適切。組織について詳しく説明を求めると、妄想の内容に関心を向けて話を広げることになり、妄想を強めたり、支援者が妄想を認めていると受け取られたりしやすい。
  • 5:不適切。理由を論理的に説明して説得しても、妄想は論理で訂正できない。議論になると対立が生じ、信頼関係を損なう。

正解の根拠

正解は 2 と 3。妄想とは、誤った内容を確信し、根拠を示されても訂正できない考えをいう。訂正できないことが定義に含まれている以上、支援者が言葉で正すことは原理的に難しく、関わりの焦点は「内容」から「本人の体験している苦しさ」へ移す必要がある。

関わりの原則(肢との対応)

原則適切不適切
否定も肯定もしない—1・5(否定・説得)
内容ではなく感情に焦点2(つらさへの共感)4(内容の掘り下げ)
治療チームと共有3(主治医へつなぐ)—

「どう思いますか」と問われたときは、「私には(組織の人は)見えていないのですが、Dさんがとても怖い思いをしているのは伝わってきます」のように、事実の受け止めは保留しつつ、気持ちには寄り添う答え方が一般的とされる。うそをついて同調することも避ける。

誤りの肢の掘り下げ

  • 1・5 否定・論理的説明:妄想は本人の世界の一部になっており、否定は「自分の苦しみを分かってもらえない」体験として受け取られやすい。精神保健福祉士との関係が切れると、受診や服薬の継続にも影響しかねない。
  • 4 説明を求める:アセスメントとして内容を把握することがまったく不要というわけではないが、不安が高まっている場面で内容を詳しく語らせると、妄想に注意が集中し、恐怖をあおることになる。問題文は「声かけ」として適切なものを問うており、場面に合った関わりかどうかで判断する。

関連論点

  • 病識と治療継続:統合失調症では病識が乏しいことが多く、治療中断は再発の大きな要因とされる。主治医への情報共有は、本人の自己決定を尊重しつつ、本人の同意を得て行う姿勢が望ましい(3の「伝えてみませんか」という提案の形はこの点でも適切)。
  • 幻聴への対応:幻聴についても同じく、「聞こえない」と否定せず、聞こえていることの苦しさに焦点を当て、対処法(気をそらす活動、服薬、相談)を一緒に考える。
  • 安心できる環境:不安が強いときは刺激を減らし、短く分かりやすい言葉で関わる。

支援の視点

精神保健福祉士はクリニックで、医師とは違う立場から生活や不安を聞き取る役割を担う。Dさんが「この人には話せる」と感じられる関係を保つことが、症状が悪化したときの早期発見や生活支援の土台になる。

この問題の根拠出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題8(精神疾患とその治療)。解説は合格ナビが独自に作成したものです。
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出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題8(精神疾患とその治療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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