問題
Cさん(26 歳,男性)は,仕事上のささいなミスを上司に注意されてから,職場の雰囲気が変わったように感じ,漠然とした不安を抱くようになった。通勤の時の風景もいつもと違って見え,何か不吉なことが起きるのではないかと怖くなって外に出ることができなくなった。自室にひきこもってさかんに,「怖い」と訴えるため,心配した両親に連れられて精神科を受診した。 次のうち,Cさんの精神症状として,正しいものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題6(精神疾患とその治療)
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 2
Cさんは、はっきりした理由がないのに「職場の雰囲気が変わった」「景色がいつもと違って見える」「何か不吉なことが起きそうだ」と感じ、漠然とした強い不安におびえています。このように、周りの世界全体が何か不気味に変わってしまったように感じられる体験を妄想気分といいます。
妄想気分は統合失調症の初期によくみられ、まだ「誰が・何を」という具体的な内容が固まっていないのが特徴です。関係妄想や罪業妄想は内容がはっきりした妄想、抑うつ気分はうつ状態の気分の落ち込み、広場恐怖は逃げにくい場所を怖がる症状で、Cさんの体験とは異なります。
なぜ正解か
正解は 2。妄想気分は、周囲の世界が何となく変わってしまった、何か恐ろしいことが起こりそうだ、と感じられる不気味な緊張感である。「職場の雰囲気が変わった」「通勤の風景がいつもと違って見える」「何か不吉なことが起きるのではないか」というCさんの訴えはその典型で、具体的な内容をもつ妄想が形づくられる前段階にみられることが多い。
ほかの選択肢
- 1:誤り。関係妄想は「周りの人の話や行動が自分に関係している」と確信するもの(例:人々が自分の噂をしている)。Cさんの不安はまだ特定の対象に結びついていない。
- 3:誤り。罪業妄想は「自分は取り返しのつかない罪を犯した」と確信する微小妄想で、うつ病でみられる。
- 4:誤り。抑うつ気分は気分の落ち込み・悲しさ。Cさんの中心は落ち込みではなく、不気味さを伴う恐怖・不安である。
- 5:誤り。広場恐怖は、すぐに逃げられない・助けが得られない場所を恐れて避けるもの。Cさんが外出できないのは、世界全体が不気味に変わったという体験からで、特定の場所への恐怖ではない。
正解の位置づけ
正解は 2。精神病理学では、心理的に了解できる経緯から生じたのではない妄想を一次妄想(真正妄想)と呼び、次の3つが統合失調症の診断上重視されてきた。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 妄想気分 | 周囲が不気味に変化した、何かが起こるという漠然とした感じ | Cさんの訴え |
| 妄想知覚 | 実際の知覚に、理由なく特別な意味が結びつく | 「カラスが鳴いたのは自分が狙われている合図だ」 |
| 妄想着想 | 突然ある考えがひらめき、そのまま確信になる | 「自分は選ばれた人間だと突然わかった」 |
これに対し、気分や状況から心理的に理解できる経緯で生じる妄想様の考え(例:うつ状態での罪業妄想)は二次妄想(妄想様観念)として区別される。
誤りの肢の掘り下げ
- 1 関係妄想:妄想気分が進むと、漠然とした不気味さが「周りの人が自分のことを話している」「テレビが自分に向けて話している」という関係妄想や注察妄想、被害妄想に具体化していくことがある。本事例は、その手前の段階として読むのが自然。
- 3 罪業妄想:うつ病の微小妄想(罪業・貧困・心気)の一つ。抑うつ気分と自責感が背景にある。
- 4 抑うつ気分:Cさんにも不安・ひきこもりはあるが、悲哀感や興味の喪失が中心ではない。統合失調症の初期に抑うつ的に見えることはあるため、「何が中心の体験か」で判断する。
- 5 広場恐怖:外出できないという結果だけを見ると似ているが、恐れの対象と理由が違う。広場恐怖は「発作が起きたら逃げられない」といった予期に基づく回避である。
関連論点
- 前駆期・初期の気づき:統合失調症では、明らかな幻覚・妄想が出る前に、不眠、集中困難、ささいな刺激への過敏さ、ひきこもりなどがみられることが多い。早期の受診・治療が経過に影響するとされ、本事例のように家族が異変に気づいて受診につなげることは重要である。
- 自明性の喪失:当たり前に感じていた世界が当たり前に感じられなくなる体験として、統合失調症の初期体験が語られることがある。
支援の視点
妄想気分の段階では、本人は説明できない恐怖の中にいる。否定や説得ではなく「怖いのですね」と苦しさを受け止め、安心できる環境と受診の継続を支えることが関わりの基本になる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第26回精神保健福祉士国家試験(令和5年度)」専門科目 問題6(精神疾患とその治療)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
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