精神保健福祉士

精神保健福祉士 第28回 問題27|精神保健福祉の原理

問題

精神保健福祉士 | 第28回(令和7年度) | 令和8年1月31日(土)・2月1日(日)実施・精神保健福祉の原理

次の事例を読んで,問題25 から問題27 までについて答えなさい。

〔事 例〕

相談支援事業所に勤務するA精神保健福祉士は,「障害者総合支援法」に基づき市に設置されている協議会の委員を務めている。A精神保健福祉士は,協議会が主催する精神保健福祉ボランティア講座の講師を担った。精神障害に関する講義の後に行ったグループワークで,ある参加者から,知人が「精神障害者は危険なので病院に閉じ込めておくべきだ」と強く語っていたこと,その考えは誤りであると否定したが,うまく納得してもらえなかったエピソードが紹介された。(問題25)A精神保健福祉士は,このエピソードの背景にある課題の解決に向けた取組が必要と考え,協議会で問題提起した。そこで,A精神保健福祉士は,この課題解決の取組を検討する議論に精神障害の当事者も加わり意見を反映させることが重要であると考え,当事者を委員に加えることを提案し,了承された。(問題26)次の協議会で,提起した課題が議論された。新たに参加した当事者委員から「病気になる前はストレスフルな状況が続いても無理をしていたが,自分が精神疾患になるとは思っていなかった」と語られた。また,病気になって周囲から差別を受けたり,精神疾患を理由に恋人との結婚を周囲から反対されたりしたこと,そのうち,障害者の仲間以外との関わりがほとんど無くなったことなど,生活での苦労の経験が語られた。一方で,A精神保健福祉士がそれらの経験の中で得たことを質問すると,近所に病気や苦労を理解してくれる人がいて救われたことや,新たな生き方に価値を見いだせるようになったことが当事者委員から語られた。 A精神保健福祉士は,当事者委員が語った苦労の背景にある課題の改善に向けて,精神障害者の人生の価値を共有できるような市民向けの講座を行うことを提案した。 協議会では他にも活発な意見が出され,講座の計画が作成された。(問題27)(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

次のうち,この場面で協議会が計画を作成する際に,根拠にしたものとして,適切なものを1 つ選びなさい。

【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題27(精神保健福祉の原理)

※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。

※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。

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答え合わせ

正解は 2
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自信の3択

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解説

※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。

※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。

正解は 2

協議会は、精神障害者の人生の価値を市民と共有できるような講座の計画を作りました。その根拠になるのが「こころのバリアフリー宣言」です。

こころのバリアフリー宣言は、厚生労働省の検討会がまとめたもので、精神疾患を「自分の問題」として考え、正しく理解し、偏見をなくしていくための国民向けの指針です。事例で語られた「自分が精神疾患になるとは思っていなかった」という当事者の言葉とも重なります。

ほかの選択肢は、セルフヘルプ・グループの効果、職場のメンタルヘルス対策の指針、日本の精神医療への国際的な勧告、障害福祉サービスでの意思決定支援の指針で、市民の理解を深める講座の根拠としては合いません。

なぜ正解か

正解は 2。こころのバリアフリー宣言は、精神疾患を正しく理解し、精神障害者への偏見をなくして共に生きる社会をつくるための国民向けの指針として、厚生労働省の検討会でまとめられた。精神疾患を自分の問題として考え、正しく理解することを呼びかけており、市民向けの理解促進講座の根拠にふさわしい。

ほかの選択肢

  • 1:ヘルパー・セラピー原則は、人を援助することで援助する側がいちばん援助を受けるという、セルフヘルプ・グループの効果を説明する原則(リースマンが提唱)。
  • 3:労働者の心の健康の保持増進のための指針は、事業場のメンタルヘルス対策(4つのケアなど)を示した指針で、対象は職場である。
  • 4:クラーク勧告は、WHOから派遣されたクラーク(Clark, D.)が日本の精神医療について、長期入院の多さなどを指摘し地域ケアへの転換を勧めた報告。
  • 5:障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインは、障害福祉サービスの利用場面での本人の意思決定を支援する手順を示したもの。

正解の根拠

正解は 2。こころのバリアフリー宣言は、厚生労働省の「心の健康問題の正しい理解のための普及啓発検討会」の報告書(2004年3月)でまとめられた、「精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針」である。同年9月の「精神保健医療福祉の改革ビジョン」(厚生労働省精神保健福祉対策本部)は、この宣言が国民的な運動となるよう広く呼びかけることを重点施策に掲げ、宣言の本文を別紙に収めている。宣言は8項目で、第1「精神疾患を自分の問題として考えていますか(関心)」に始まり、予防・気づき・自己と周囲の認識・肯定・受容と続き、第7「出会いは理解の第一歩(出会い)」、第8「互いに支えあう社会づくり(参画)」で結ばれる。

事例とのつながりは明確である。当事者委員は「自分が精神疾患になるとは思っていなかった」と語り、差別や結婚への反対、仲間以外との関わりの喪失を経験した一方で、理解してくれる近所の人に救われ、新たな生き方に価値を見いだしたと語った。A精神保健福祉士はこれを受けて「精神障害者の人生の価値を共有できるような市民向けの講座」を提案した。宣言の第1(関心)・第7(出会い)・第8(参画)の考え方と、講座の目的が重なっている。

誤りの肢の掘り下げ

  • 1 ヘルパー・セラピー原則:リースマン(Riessman, F.)が示したセルフヘルプ・グループの原理。仲間を助ける役割を担うことで、援助者自身の自尊感情や回復が促される。市民向け講座の計画の根拠ではない。
  • 3 労働者の心の健康の保持増進のための指針:労働安全衛生法に基づく事業場向けの指針で、セルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケアの「4つのケア」が中心。対象が職場に限られる。
  • 4 クラーク勧告:日本の精神科病院での長期入院の多さや、地域ケアの不足を指摘し、改善を勧告したもの。精神医療の体制に向けた国際的な提言であり、市民の理解促進講座の直接の根拠ではない。
  • 5 意思決定支援ガイドライン:障害福祉サービスの利用者の意思決定を支援する際の考え方と手順(意思決定支援責任者の配置、意思決定支援会議など)を示す。協議会が市民向け講座を計画する根拠ではない。

関連論点

  • 普及啓発の取組では、知識の提供に加えて当事者との直接の出会い(接触)がスティグマの軽減に効果的とされる。当事者委員の語りを講座に生かす発想はこれに沿う。
  • 障害者総合支援法の協議会(第89条の3)は、地域の支援体制の課題を共有し、体制整備について協議する場である。事例のように、啓発講座などの地域づくりの取組を企画することもその役割に含まれる。
この問題の根拠
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第28回精神保健福祉士国家試験(令和7年度)」専門科目 問題27(精神保健福祉の原理)です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ。原文にふりがなが付いている語は、ふりがなも付けています)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。

解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。精神保健福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。

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