問題
事例を読んで,成年後見の開始がAさんに及ぼす影響に関する次の記述のうち,最も適切なものを1 つ選びなさい。 〔事 例〕 Aさん(30 歳)は,交通事故の被害に起因する高次脳機能障害で判断力が著しく低下し生活が困難となったので,親族のBさんが成年後見開始の審判の申立てをすることとなった。Aさんは,この審判によって自分にどのような影響が及ぶのかを心配している。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」問題42
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
正解は 5
以前は、成年被後見人になると選挙権を失ったり、公務員や会社の役員になれなかったりする「欠格条項」が多くありました。しかし、選挙権は公職選挙法の改正で回復し、公務員・社会福祉法人の理事・株式会社の役員なども、その後の法改正で「成年被後見人であること」を理由に一律に排除する規定が見直されました。今では、1〜4のように「当然に」失うことはありません。だから5が適切です。
👉 覚え方:「後見開始=権利を一律に奪うものではない」。今は個別に能力を判断する仕組みです。
正解は 5
根拠:成年後見の開始に伴う権利制限(欠格条項)は、近年大きく見直されています。
- 1 選挙権:公職選挙法の改正で成年被後見人の選挙権・被選挙権が回復。不適切。
- 2 公務員:「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、国家公務員法・地方公務員法の欠格条項から成年被後見人等が削除された。不適切。
- 3 社会福祉法人の理事:同じ一括整備で、社会福祉法の役員の欠格事由から成年被後見人が削除され、心身の故障により職務を適正に執行できない者として個別に判断する規定に改められた。不適切。
- 4 株式会社の役員:会社法の改正で取締役の欠格事由から成年被後見人等が削除された(成年被後見人が就任するには後見人が本人の同意を得て就任承諾する等の手続)。不適切。
- 5 適切。
欠格条項の見直しの趣旨は、成年被後見人であることだけで一律に排除せず、個別に能力を審査することにあります。
正解は 5
制度改正の流れ
成年後見制度は、本人保護のために行為能力を制限する一方で、多くの法律が「成年被後見人であること」を資格・職業・地位の欠格事由として定めていました。これが本人の社会参加を妨げ、制度の利用をためらわせる要因になっていると指摘されてきました。成年後見制度の利用の促進に関する法律(2016年)は、成年被後見人等の人権が尊重され、不当に差別されないよう、権利制限に係る制度の見直しを基本方針の一つに掲げました。
主な見直し
- 選挙権(選択肢1):成年被後見人の選挙権を一律に制限する公職選挙法の規定について、違憲とする地裁判決が出たのを受けた法改正で選挙権・被選挙権が回復しました。
- 一括整備法(選択肢2・3):「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により、国家公務員法・地方公務員法、社会福祉法、各種士業法など多数の法律から成年被後見人等を欠格とする規定が削除されました。代わりに「心身の故障により業務を適正に行うことができない者」などとして個別に審査する規定(個別審査規定)が整備されました。
- 会社法(選択肢4):会社法の改正により、取締役・監査役の欠格事由から成年被後見人・被保佐人が削除されました。成年被後見人が取締役に就任するには、成年後見人が本人の同意を得たうえで、本人に代わって就任の承諾をすることとされています。
誤りの肢の共通点
選択肢1〜4はいずれも「当然に」という言葉がポイントです。現在の制度では、後見開始の審判によって自動的に資格や地位を失うことはありません。この「当然に」を見抜けるかどうかが問われています。
関連論点
- 欠格条項の削除は「誰でも就任できる」という意味ではなく、心身の状態を個別に審査する仕組みに置き換わったという意味である。
- 婚姻・離婚・遺言などの身分行為は、成年被後見人も意思能力があれば単独でできる(民法第738条、第973条等)。成年後見人の同意は不要。
- 日用品の購入その他日常生活に関する行為は、成年被後見人でも取り消せない(民法第9条ただし書)。
- 後見人には、医療行為への同意権や、本人の身体を拘束する権限はない点も、事例問題で頻出です。
解き方
「後見開始=権利の一律喪失」という古い理解の選択肢は、近年の欠格条項の見直しで誤りになっていると考えると、本問を確実に判断できます。
- 社会福祉法e-Govで原文を読む
- 会社法e-Govで原文を読む
- 民法第738条・第9条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第37回社会福祉士国家試験(令和6年度)」の問題42です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。社会福祉に関する法令・制度は改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

