問題
トータルステーションを用いた縮尺 1/1,000 の地形図作成において,ある道路上に設置された標高 40.8 m の基準点 A から,同じ道路上の点 B の観測を行ったところ,高低角 6°,斜距離 50 m の結果が得られた。 このとき,地形図上において,点 A,点 B を結ぶ道路とこれを横断する標高 45 m の等高線との交点は,点 A から何 cm の地点か。最も近いものを次の 1 〜 5 の中から選べ。 ただし,点 A と点 B を結ぶ道路は,傾斜が一定でまっすぐな道路であるとする。 なお,関数の値が必要な場合は,巻末の関数表を使用すること。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
等高線と道路の交点を求める計算問題です。正答は 3「4.0 cm」です。
Step1: 点Bの標高を求める
- 水平距離 = 斜距離 × cos(高低角) = 50 × cos6° = 50 × 0.9945 = 49.73 m
- 高低差 = 斜距離 × sin(高低角) = 50 × sin6° = 50 × 0.1045 = 5.23 m
- 点B標高 = 40.8 + 5.23 = 46.03 m
Step2: A〜B間で標高45mになる地点のAからの水平距離を求める
傾斜一定なので標高は水平距離に比例して変化します。
- A〜B の標高差 = 46.03 − 40.8 = 5.23 m
- A〜45m の標高差 = 45.0 − 40.8 = 4.2 m
- Aから45m地点までの水平距離 = 49.73 × (4.2 / 5.23) = 49.73 × 0.803 = 39.9 m
Step3: 地形図上の距離に換算
縮尺 1/1,000 → 地形図上距離 = 39.9 m ÷ 1,000 × 100 cm/m = 3.99 cm ≒ 4.0 cm
【等高線と道路交点の計算手順】
Step1: 点Bの水平距離と標高の計算
水平距離 d_AB:
d_AB = D × cos α = 50 × cos6°
= 50 × 0.9945 = 49.73 m
点Bの標高 H_B:
H_B = H_A + D × sin α = 40.8 + 50 × sin6°
= 40.8 + 50 × 0.1045 = 40.8 + 5.23 = 46.03 m
(巻末関数表: sin6° = 0.1045,cos6° = 0.9945)
Step2: 等高線(標高45m)交点のAからの水平距離
傾斜一定の道路では,標高変化は水平距離に比例する(線形内挿):
d_A45 / d_AB = (H_45 − H_A) / (H_B − H_A)
d_A45 = d_AB × (H_45 − H_A) / (H_B − H_A)
= 49.73 × (45.0 − 40.8) / (46.03 − 40.8)
= 49.73 × 4.2 / 5.23
= 49.73 × 0.8030
= 39.94 m
Step3: 縮尺変換(地形図上の距離)
縮尺 1/1,000 → 1m の現地距離 = 地形図上 1 mm
地形図上距離 = 39.94 m ÷ 1,000 × 1,000 mm/m = 39.94 mm ≒ 4.0 cm
→ 選択肢 3「4.0 cm」が正答
誤り選択肢の分析
- 選択肢 1(3.0 cm): 縮尺変換ミス(÷10,000 等)の可能性
- 選択肢 2(3.5 cm): sin・cos の使い方を誤った場合
- 選択肢 5(5.0 cm): AB全距離を地形図換算した場合(49.73÷1000≒5.0 cm)
【等高線位置計算の精密手法と地形図作成への応用】
計算の精密化(球差・気差補正)
本問は平面計算の基礎だが,精密な地形測量では斜距離から水平距離を求める際に気差・球差補正が加わる:
水平距離 d = D × cos α × (1 − (k−1)×D×cosα / 2R)
(k:屈折係数 ≒ 0.14,R:地球半径 6.37×10⁶ m,D:斜距離)
斜距離 50 m では補正量 ≒ 10⁻⁸ オーダーで無視可能。
傾斜一定の仮定と実際の地形
本問では「傾斜一定」としているが,実際の道路は縦断勾配が区間ごとに異なる。等高線位置を精密に求めるには:
① 各測点(T.P.)の標高を水準測量で決定
② 測点間を線形内挿して等高線交点を算出
③ 測点間隔が大きい場合は中間点の標高を追加測定
縮尺と地図精度の関係
縮尺 1/1,000 の地形図における位置精度の標準(公共測量作業規程準則):
- 水平位置精度: ±0.70 m(標準偏差 = 0.70 m = 0.7 mm 図上)
- 標高精度: ±0.25 m(主曲線等高距 1.0 m の場合)
本問の交点位置 39.94 m の不確かさ:主に点Bの観測誤差(高低角±1″,斜距離±2mm)に起因し,位置誤差は数 cm オーダー。縮尺 1/1,000 では図上 0.05 mm 未満の誤差として吸収される。
UAV・SfM による等高線生成との比較
近年の地形図作成では,TS 観測に代えて UAV 写真測量(SfM)が普及。SfM では全地形の 3D 点群を一括取得し,等高線を自動生成するため,本問のような「点 A〜点 B 間の線形内挿」は不要になりつつある。ただし,建物・樹木内部(地面)の取得困難,精度管理の複雑さ(地上基準点の配置設計)など,TS 観測との使い分けが重要な実務判断となる。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問15(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

