測量士補

測量士補 地形測量 問9出典: 令和6年度 問16

問題

測量士補 | 地形測量 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-19

次の 1 〜 5 の文は,公共測量における数値地形モデル(以下「DTM」という。)について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。 ただし,DTM とは,等間隔の格子の代表点の標高を表したデータとする。

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答え合わせ

正解は 1
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

数値地形モデル(DTM)に関する問題です。正答(間違っているもの)は 1 です。

1 が誤り:本問の定義では DTM は「等間隔の格子の代表点の標高を表したデータ」,つまり地表面のみの標高データです。樹木や建物の高さを含むのは DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)です。「地表面に加え,樹木や建物の形状を表した」という記述は DSM の説明であり,DTM の説明として誤りです。

2〜5 は正しい記述です。DTM は等間隔格子で地形を数値化したデータであり,格子間隔が小さいほど詳細な地形表現が可能で,正射変換・傾斜角計算・浸水シミュレーションなどに広く活用されています。

【DTM の定義・特性と応用の整理】

1 が誤りの根拠(DTM と DSM の区別)

本問の定義:DTM =「等間隔の格子の代表点の標高を表したデータ」= 地盤(地表面)の標高のみ。

モデルの種類と内容:

| モデル名 | 略称 | 内容 |

|---------|-----|------|

| Digital Terrain Model | DTM | 地表面(素地)の標高。建物・樹木を除去した裸地地形 |

| Digital Surface Model | DSM | 地表面 + 樹木・建物等の地物の最上面高さ |

| Digital Elevation Model | DEM | DTM と同義(広義では DSM を含む場合あり) |

「地表面に加え,樹木や建物などの形状を表した」= DSM の説明 → DTM の説明として誤り。

2 が正しい理由(格子間隔と表現精度)

DTM の格子間隔 d(m)が小さいほど,より細かい地形変化を表現できる。

  • 地図情報レベル 25,000 相当: d = 50 m 程度
  • 地図情報レベル 5,000 相当: d = 5〜10 m
  • 地図情報レベル 1,000 相当: d = 1 m
  • 高精度 LiDAR DTM: d = 0.5〜1 m(航空レーザー測量)

3 が正しい理由(正射変換への DTM 活用)

数値空中写真を正射投影画像(オルソ画像)に変換するには,地形の起伏による写真のひずみを補正する必要がある。このとき地形ひずみ補正に DTM を参照し,各画素の地盤高から投影ひずみを算出・補正する。

4 が正しい理由(傾斜角計算)

DTM から 2 地点 A(X_A, Y_A, H_A),B(X_B, Y_B, H_B)間の傾斜角 θ:

水平距離 d = √{(X_B−X_A)² + (Y_B−Y_A)²}

傾斜角 θ = arctan{(H_B−H_A) / d}

傾斜角計算は斜面崩壊リスク評価・道路縦断勾配設計など多用途に活用。

5 が正しい理由(浸水シミュレーション)

DTM の格子標高データを用いて,水面上昇シミュレーション(バスタブモデル)・流体力学モデル(SWE:浅水方程式)による浸水域・浸水深の計算が可能。近年の気候変動対応として防災 GIS での活用が進んでいる。

【DTM/DSM/DEM の技術体系と最新動向】

LiDAR による DTM 生成の原理

航空レーザー測量(LiDAR)では,地上に向けてレーザーパルスを照射し,反射波の往復時間から距離を算出(ToF:Time of Flight)。1 パルスに対して複数の反射(多重エコー)が得られる場合,最初のエコー(First Return)= 最上面(DSM 相当),最後のエコー(Last Return)= 地盤面(DTM 相当)として分離できる。

フィルタリング処理でDTM生成:

① 点群から建物・車両・高木を除去(グラウンド点フィルタリング: 傾斜角フィルタ・Progressive TIN Densification 等)

② 残った地盤点から TIN を生成

③ TIN から等間隔グリッドに内挿(IDW・Kriging・Spline 等)

DSM から DTM への変換(Canopy Height Model)

  • CHM(Canopy Height Model)= DSM − DTM:樹木・建物の高さのみを表すモデル
  • 都市計画での建物高さ把握,森林資源調査(樹高・バイオマス推定)に活用

正射変換(オルソ化)の詳細プロセス

① 数値空中写真の内部標定(カメラキャリブレーション)

② 外部標定(機体位置・姿勢:IMU/GNSS)

③ DTM を参照した各画素の3D位置計算

④ 正射投影への再サンプリング(バイリニア・バイキュービック補間)

⑤ 隣接写真との色調統一(モザイク処理)

精度要件(地図情報レベル 2,500 の場合):

水平位置 ±1.25 m(√2 × 標高精度 / tanθ,θ:最小立体交角)

浸水シミュレーションの種類と DTM 活用

① バスタブモデル:水面を静的に設定し,DTM より低い格子を浸水域と判定。高速・簡便。

② 2D 水理モデル(SWE 解):降雨・排水系統・破堤を動的シミュレーション。HEC-RAS 2D・iRIC 等のソフトウェアを使用。DTM の格子解像度が計算精度と計算時間に直結する。

③ 土砂・洪水複合モデル:斜面崩壊(DTM 傾斜角から判定)→ 土石流流路(DTM 流路解析)→ 浸水被害の一体シミュレーション。

測量士補→測量士への接続

測量士試験では,DTM の精度評価(RMSE・パーセンタイル誤差),点群処理アルゴリズムの設計,レーザースキャナの計測原理(位相差方式・ToF 方式),LiDAR データ取得仕様の設計(飛行高度・重複度・パルス密度の関係)などが問われる。

この問題の根拠出典: 令和6年度 測量士補試験 問16(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問16(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は国土地理院・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは国土地理院・国土交通省と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。