問題
次の 1 〜 5 の文は,公共測量において数値地形図を編集する場合の表示の原則について述べたものである。明らかに間違っているものはどれか。次の 1 〜 5 の中から選べ。
答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
数値地形図の表示原則に関する問題です。正答(間違っているもの)は 3 です。
3 が誤り:数値地形図(地形図)では,地物の形状は「正射投影(真上から垂直に見下ろした正投影)」で表示します。「上方からの中心投影」(=ピンホールカメラのように1点から放射状に投影)では,写真のように外側に倒れる歪みが生じます。地形図では中心投影ではなく正射投影(正射図法)を使います。
1・2・4・5 は正しい記述です。特に 5 の「水平位置の転位は原則として行わない」は,地形図の基本原則で重要な知識です。
【数値地形図の表示原則の整理】
3 が誤りの根拠(正射投影 vs 中心投影)
地形図の地物表示:正射投影(Orthographic Projection)
- 地物を真上から無限遠から均等に投影したもの(平行投影)
- 位置:地物の真上の水平位置(水平投影位置)を表示
- 建物の屋根・形状は,真上から見た水平断面形状(フットプリント)で表示
- 変位なし(建物の高さによる外側への倒れ込みなし)
中心投影(Central Projection)との違い:
- 中心投影 = カメラ(レンズの1点)から放射状に投影 → 中心から離れた地物が外側に変位(写真と同じ)
- 地形図の表示 = 正射投影 → 位置の歪みなし
→ 「上方からの中心投影」という表現は誤り。正しくは「正射投影(正投影)」。
1 が正しい理由(現存・永続性)
表示対象の選定基準(公共測量作業規程準則):
- 現存性:測量作業時に実際に存在するもの(工事中・仮設は原則除く)
- 永続性:将来も継続して存在が見込まれるもの(仮囲い・臨時看板は除く)
2 が正しい理由(地図情報レベルに応じた正確・詳細な表示)
地図情報レベルに応じて,地物の取得基準・表示の詳細度が規定される。例えば,レベル 2500 では建物は外形線で表示するが,レベル 500 では窓・柱も表示対象となる。
4 が正しい理由(記号のない地物の表示)
測量作業規程準則の地物表示規定に定めのない地物も,社会的重要性がある場合は注記(名称・種類)で表示できる。例:特殊な施設,希少な地形名称など。
5 が正しい理由(水平位置の転位禁止)
地形図では地物の「正しい水平位置」を最優先とし,表示の都合(線幅の重なり等)による位置ずらし(転位)は原則行わない。ただし,道路幅員が図上表示幅(最小線幅 0.2 mm)を下回る場合など,例外的に概念的表示を行う場合がある。
【数値地形図の表示原則と GIS データモデルの深層理解】
正射投影と中心投影の数学的差異
正射投影(地形図): P_map = (X, Y)(地物の水平座標をそのまま使用)
中心投影(写真): P_photo = f × (X−X₀, Y−Y₀) / (H−Z)(H:飛行高度,Z:地物高さ,f:焦点距離)
地物高さ Z > 0 の場合,中心投影では P_photo が P_map より外側に変位(放射状変位)。地形図はこの変位を除去し,水平位置のみを正しく表現する。
数値地形図のデータモデル(地物分類・表示方式)
公共測量作業規程準則・地物取得基準:
① 点データ(Point): 街灯・電柱・独立樹等(位置のみ表示)
② 線データ(LineString): 道路縁・河川縁・等高線等(線形状を表示)
③ 面データ(Polygon): 建物・水部・植生域等(面形状を表示)
各地物の「正射投影」表示方法:
- 建物: 外壁の水平投影形状(屋根の平面形状ではなく,外壁の平面形状)
- 高架橋: 上層構造物を実線,下層路面を破線で表示(透過的に表現)
- 地下構造物: 破線または凡例で表示
転位(Displacement)の例外適用条件
原則: 転位禁止(選択肢 5)
例外(限定的に許容される場合):
- 線記号の最小表示幅(0.2 mm)を下回る狭い道路:中心線位置は維持しつつ,道路縁を概念的に描く
- 密集した等高線が重なる急崖:省略または崖記号で代替
- 地下施設(上下構造が重複):上層優先・下層を転位または省略
ただし,座標データ(位置情報)は正確な水平位置を維持し,表示上の線幅調整のみ許容される。
GIS データ品質との整合
数値地形図の座標データ(正射投影位置)は,GIS 分析(重畳解析・バッファ計算・面積算出)の基礎データとして使われる。位置精度の規格(地図情報レベル 2,500 での水平 ±0.70 m)を維持することが GIS 活用精度の保証となる。測量士補の上位業務では,地形図データの品質評価・精度管理が実務上の核心的役割を担う。
出典と作り方
本問は国土地理院が公表した過去問題を出典明記の上で引用しています(コンテンツ利用規約PDL1.0で出典明記による複製・商用利用を許諾・GREEN判定)。 根拠・出典:出典: 令和6年度 測量士補試験 問23(国土地理院)/国土地理院コンテンツ利用規約・PDL1.0に基づき利用 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)や国土地理院公式(https://www.gsi.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-19)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)。測量法・作業規程の準則・計算式根拠に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

