宅建試験に合格したあとの宅建士登録を、宅建業法18条・19条と施行規則13条の15・13条の16・14条の3、国土交通省・機構の案内で整理。登録できる人、申請先(合格した都道府県)、実務経験の証明、必要書類、手数料の標準額を、東京都・大阪府の公表例つきで確認できます。
目次
結論:宅建試験に合格しただけでは宅地建物取引士にはなれず、合格した都道府県の知事に登録を申請して、資格登録簿に載る必要があります(宅建業法18条1項・19条1項)。登録できるのは、試験に合格し、2年以上の実務経験があるか、登録実務講習を修了するなどして同等以上の能力があると認められ、欠格事由に当たらない人です。申請先は合格した都道府県で、必要書類は施行規則14条の3と各都道府県の案内、手数料は各都道府県が定め(標準額は政令が示す)、実務経験の証明の細かい扱いは都道府県ごとに違います。
この記事は、宅建業法(e-Gov法令検索)と同法施行規則(e-Gov法令検索)の2026-04-01施行の現行条文、地方公共団体の手数料の標準に関する政令、試験を実施する一般財団法人 不動産適正取引推進機構(以下「機構」)の登録手続の案内、国土交通省の宅地建物取引士の登録についてと、例として東京都・大阪府の公表ページをもとに、登録の手順を整理したものです。合格後の全体の流れは宅建の合格後の流れに、欠格事由の中身は宅建業の免許と宅建士登録の欠格事由にあるので、ここでは申請書類を実際にそろえるところに絞ります。登録が済んだあとの宅建士証の交付申請と法定講習は宅建士証の交付申請で扱います。本サイトは機構・国土交通省・各都道府県とは関係がありません。
登録は合格とは別の手続き
宅建業法18条1項は、試験に合格した者が、その試験を行った都道府県知事の登録を受けることができると定めています。19条1項は、登録を受けようとする人が登録申請書を知事に提出することを定め、同条2項は、知事が申請書の提出を受けたときは「遅滞なく、登録をしなければならない」としています。
登録は「受けることができる」手続きで、合格者に申請を義務づける規定ではありません。東京都の案内にも、取引士として業務に従事する予定のない方は登録の必要がなく、「登録しなくても、試験の合格は有効です」と書かれています(2026-10-12 時点)。宅建士として働く予定が決まった時点で進める手続き、という位置づけです。
手続きの順番は、合格→登録(この記事)→宅建士証の交付です。登録が完了すると都道府県から通知が届き、宅建士証が必要な人はその後に交付申請をします(東京都の案内)。
登録できる人:試験合格・実務経験・欠格事由なし
宅建業法18条1項の要件を表にします。
| 要件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 試験に合格している | 宅地建物取引士資格試験の合格者 | 18条1項 |
| 実務経験または同等以上の能力 | 宅地・建物の取引に関する実務経験が2年以上、または国土交通大臣が同等以上の能力を認めた人 | 18条1項・施行規則13条の15 |
| 欠格事由に当たらない | 18条1項ただし書の1号から12号のいずれにも当たらない | 18条1項ただし書 |
同等以上の能力を認められる人は、施行規則13条の16が次の3つを挙げています。
- 登録実務講習(国土交通大臣の登録を受けた実務についての講習)を修了した人(1号)
- 国、地方公共団体、またはその出資で設立された法人で、宅地・建物の取得・処分の業務に通算2年以上従事した人(2号)
- 国土交通大臣が上の2つと同等以上の能力があると認めた人(3号)
機構の案内も、この3つ(実務経験2年以上、登録実務講習の修了、国・地方公共団体等での2年以上の従事)のどれか一つに当たることを、欠格要件に該当しないことと併せて求めています。
欠格事由は、18条1項ただし書に1号から12号まであり、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(2号)、拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(6号)、暴力団員等(8号)などが含まれます。号ごとの中身と5年の数え方は欠格事由の記事で整理しています。
申請先:合格した都道府県
登録を受ける都道府県は、試験に合格した都道府県です。18条1項が「当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる」と定めていて、機構も、受験した試験地の都道府県の登録窓口で手続きをするよう案内しています。大阪府の案内にも、登録は合格後、その試験を受けた都道府県でしか行えないと書かれています。
宅建士の登録先は、働く場所ではなく合格した場所で決まります。のちに他の都道府県の宅建業者の事務所で働くときは、登録の移転の申請ができます(19条の2)。移転の手続きは宅建の合格後の流れで整理しています。
二以上の都道府県で試験に合格した人は、その中から一つの都道府県の登録だけを受けられます(施行規則14条)。
各都道府県の窓口・様式・書類は、機構の宅地建物取引士資格登録等の手続についてのページから、各都道府県のページへ進めます。
実務経験の証明:何が2年に数えられるか
登録の要件のうち、書類の扱いが都道府県ごとに細かく分かれているのが実務経験の証明です。法令と都道府県の案内を分けて整理します。
法令が決めているのは次の部分です。
- 期間は2年(施行規則13条の15)
- 申請書には、実務経験を有する者であることを証する書面(または能力を有すると認められた者であることを証する書面)を添付する(施行規則14条の3第3項2号)
- 資格登録簿には、実務経験の期間と内容、従事していた宅建業者の商号または名称と免許証番号が載る(施行規則14条の2の2第1項3号)
数え方の細部は、都道府県の案内に書かれています。
| 項目 | 東京都の案内 | 大阪府の案内 |
|---|---|---|
| 何を数えるか | 免許を受けた宅建業者としての業務、または宅建業者の従事者としての顧客への説明、物件の調査等、具体の取引に関する業務 | 「実務経験とは、顧客への説明、物件の調査等、具体の取引に関する業務しか認められません」 |
| 数えないもの | 受付、秘書、総務、人事、経理、財務等の一般管理業務、単に補助的な事務。他の仕事を兼務している期間や昼間部の学生である期間 | 総務等の顧客と直接の接触がない部門の期間 |
| 証明の材料 | 実務経験証明書(様式第五号の二)と、実務経験先が保管する従業者名簿のコピー(証明期間に対応するもの・事務所ごと)。必要に応じて業務内容証明書など | 実務経験証明書(様式第5号の2)と、実務経験証明書に関する注意事項。証明者の職・氏名と連絡先も記入してもらう |
| 誰が証明するか | 実務経験先の宅建業者 | 勤務先(または勤務していた)会社等。自分で作ったものは有効な証明書として扱わない |
実務経験・登録実務講習修了の有効期間:東京都・大阪府はいずれも、実務経験は登録申請前10年以内に2年以上あること、登録実務講習の修了は修了日から10年間有効としている(東京都は修了年月日から数え、交付年月日ではないと明記)。機構は、実務経験または登録実務講習修了の有効期限は都道府県によって異なる場合があるとしている。最終確認日:2026-10-12。出典:東京都住宅政策本部 登録申請 実務経験、登録実務講習・東京都住宅政策本部 登録申請 登録のできる方・大阪府 登録要件・不動産適正取引推進機構 宅地建物取引士資格登録等の手続について。
宅建業法と施行規則には、何年前の経験まで使えるかの記載がありません(2026-10-12 時点)。東京都・大阪府の例は10年以内ですが、機構は都道府県によって異なる場合があるとしているため、合格した都道府県の宅建業法の主管課で確認します。
実務経験先が廃業している場合、または申請者が宅建業者の代表者である場合の証明の扱いも、都道府県の案内に分かれて載っています(大阪府は、他の宅建業者または宅地建物取引業保証協会に証明してもらう扱いを案内)。該当する人は、書類を作る前に窓口へ問い合わせます。
必要書類:施行規則14条の3と、東京都・大阪府の例
法令が定める必要書類は、施行規則14条の3に書かれています。
| 書類 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| 登録申請書 | 14条の3第1項 | 氏名、生年月日、住所と、登録簿の登載事項(本籍または国籍、性別、合格年月日と合格証書番号、実務経験の期間と内容など)を記載 |
| 写真 | 14条の3第2項 | 申請書に貼付 |
| 未成年者の場合の書面 | 14条の3第3項1号 | 18条1項1号に該当しないことを証する書面 |
| 実務経験等を証する書面 | 14条の3第3項2号 | 実務経験を有する者であること、または能力を有すると認められた者であることを証する書面 |
| 市町村の長の証明書 | 14条の3第3項3号 | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨 |
| 誓約書 | 14条の3第3項4号 | 18条1項3号から12号に該当しない旨を誓約する書面 |
このほか、知事が必要と認める書類を提出させることができます(14条の3第5項)。書類の様式(別記様式第五号・第五号の二・第六号)も施行規則で定められています。
登録申請書に貼る写真:申請前6月以内に撮影した、無帽、正面、上三分身、無背景の、縦3センチメートル、横2.4センチメートルの写真。最終確認日:2026-10-12。出典:e-Gov法令検索 宅地建物取引業法施行規則 14条の3第2項。
東京都と大阪府が公表している提出書類は、法令の書面を実際の証明書に置き換えた形です。2つを並べると、都道府県ごとに細部が違うことが分かります。
| 項目 | 東京都 | 大阪府 |
|---|---|---|
| 申請書・誓約書 | 登録申請書(様式第五号)、誓約書(様式第六号) | 登録申請書(様式第5号)、誓約書(様式第6号) |
| 市町村の証明 | 身分証明書(本籍地の市区町村で発行。破産者に該当しない旨などの証明。発行から3か月以内) | 市町村の長の発行する証明書(本籍地の市区町村。発行から3か月以内) |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局が発行。発行から3か月以内 | 法務局が発行。発行から3か月以内 |
| 住民票 | 本人の分(本籍・続柄の記載は不要、マイナンバーの記載がないもの) | 住民票抄本(マイナンバーの記載がないもの) |
| 合格証書 | 原本(提示用)とコピー(提出用) | 原本とコピー(原本は提示のみ) |
| 実務資格を証する書面 | 実務経験証明書と従業者名簿のコピー/登録実務講習の修了証/国・地方公共団体等の証明書 | 実務経験証明書/登録実務講習修了証/国・地方公共団体等の証明書 |
| 従業者証明書 | 現在、宅建業者に勤務し従事している方は原本とコピー | 宅建業者に従事している方のみ。原本とコピー |
登録申請で書類に付く期限:東京都・大阪府はいずれも、身分証明書等・登記されていないことの証明書・住民票について、発行日から3か月以内のものを求めている。東京都の「登記されていないことの証明書」は電子的な証明書では受け付けられず、紙の証明書をデータ化して添付する扱い。最終確認日:2026-10-12。出典:東京都住宅政策本部 登録申請 提出書類と持参するもの・大阪府 宅地建物取引士の新規登録申請について。
書類の名前、部数、写真の枚数、コピーの要否、郵送時の追加書類は、都道府県と申請方法で変わります。上の表は2つの都道府県の例で、すべての都道府県に当てはまるものではありません。申請する都道府県のページで、持参・郵送・電子申請のうち自分の方法の項目を確認してください。
費用:登録手数料
登録にかかる手数料の金額は、宅建業法や施行令には書かれていません。宅建業法施行令の手数料の規定は国土交通大臣の免許の更新に関するもの(法3条6項の手数料)で、宅建士の登録手数料の記載は施行令にはありません(2026-10-12 時点)。
宅建士の登録の手数料は、地方自治法228条1項に基づく地方公共団体の手数料の標準に関する政令が、標準事務として金額を示しています。実際の手数料は各都道府県が条例で定めるものなので、納付額は合格した都道府県の案内で確認します。
宅建士登録の手数料の標準額:資格登録簿への登録は37,000円(地方公共団体の手数料の標準に関する政令に示された標準額。実際の手数料は各都道府県が条例で定める)。東京都・大阪府の公表ページも37,000円。東京都は現金で持参(収入証紙ではない)、大阪府は府の手数料納付窓口で納付し、納付用連絡票を添付する。最終確認日:2026-10-12。出典:e-Gov法令検索 地方公共団体の手数料の標準に関する政令・東京都住宅政策本部 登録申請 提出書類と持参するもの・大阪府 宅地建物取引士の新規登録申請について。
登録の手数料と、宅建士証の交付手数料は別です。東京都の案内も、証交付申請については登録手数料とは別に交付手数料の納付が必要だとしています。交付手数料と法定講習の費用は宅建士証の交付申請で扱います。登録実務講習の受講料は、講習機関ごとに違います。国土交通省も、登録実務講習の日程、料金といった実施状況は機関によって異なるとしています。
申請から登録通知まで
登録の決定までの日数:東京都は登録の決定に30日程度(土、日、祝日を含む)、補正があるとさらに日数がかかる場合があるとし、合格発表の直後から6月頃まで窓口が大変込み合うとしている。大阪府は、申請書を受付してから登録が完了するまでの審査期間は通常約5週間としている。最終確認日:2026-10-12。出典:東京都住宅政策本部 宅地建物取引士資格登録申請・大阪府 宅地建物取引士の新規登録申請について。
登録の結果は、東京都・大阪府ともにはがきで通知されます。受け取ったら、記載された住所・氏名に誤りがないかを確認します(東京都の案内)。登録後に氏名や住所などの登録事項が変わったときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません(宅建業法20条)。
都道府県は、登録を受けようとする人が、実務経験等の要件を満たさない場合、18条1項各号の一に該当する場合、または他の都道府県知事の登録を現に受けている場合には、登録を拒否し、その理由を示して通知します(施行規則14条の4第2項)。
実務経験が足りない場合:登録実務講習
実務経験が2年に満たない人は、登録実務講習を修了すると、登録の要件のうち、同等以上の能力があると認められる人の要件を満たせます(施行規則13条の16第1号)。講習は試験に合格した人だけが受けられます。国土交通省は、登録実務講習の登録機関と日程・料金の問い合わせ先を登録実務講習実施機関一覧で公表しています。講習の内容・日程・修了試験の見方は宅建の登録実務講習とはで整理します。
なお、受験の前に受ける「登録講習」(5問免除の講習)とは別の講習です。違いは宅建の登録講習にあります。
まとめ:登録の前に確認すること
- 登録は合格とは別の手続きで、申請先は合格した都道府県(宅建業法18条1項)。二以上の都道府県で合格した場合は、いずれか一つ(施行規則14条)
- 登録の要件は、試験の合格、2年以上の実務経験または同等以上の能力(登録実務講習の修了など)、欠格事由に当たらないこと
- 実務経験は、具体の取引に関する業務が対象で、証明書は勤務先などが発行する。何年前の経験まで使えるかは都道府県で異なる場合がある
- 必要書類の枠組みは施行規則14条の3、実際の書類名・部数・出し方は都道府県の案内で決まる
- 手数料の標準額は37,000円で、実際の納付額と方法は合格した都道府県で確認する
- 登録が済んだら、宅建士として働く場合は宅建士証の交付申請へ進む
試験前の段階にいる人は、合格後の流れを宅建士になるには(流れと費用)で全体として確認できます。登録と宅建士証の関係は宅建の合格後の流れにまとめています。
当サイトの宅建の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がついています。
本サイトは一般財団法人 不動産適正取引推進機構・国土交通省・各都道府県とは関係ありません。登録の要件・必要書類・手数料・受付の方法は、合格した都道府県の公表ページと、機構・国土交通省の公式発表で確認してください。
よくある質問
Q二つ以上の都道府県で試験に合格した場合、どこで登録しますか?
施行規則14条は、二以上の都道府県において試験に合格した者は、その試験を行った都道府県知事のうち、いずれか一の都道府県知事の登録のみを受けることができると定めています。同時に複数の都道府県で登録することはできず、どの都道府県で登録するかは合格した都道府県の中から選びます。
Q宅建業者に勤めていなくても、宅建士の登録はできますか?
宅建業法18条1項が登録の要件に挙げているのは、試験の合格、国土交通省令で定める期間(施行規則13条の15で2年)以上の実務経験(または同等以上の能力)、欠格事由に当たらないことで、現在の勤務先は要件に入っていません。ただし必要書類の扱いは都道府県の案内で確認します。東京都は従業者証明書を「現在、宅地建物取引業者に勤務し、宅地建物取引業に従事している方」の書類としており、大阪府も従業者証明書は宅建業者に従事している方のみ必要としています(2026-10-12 時点)。
Q実務経験証明書は、自分で書いて提出してよいですか?
できません。大阪府の案内は、実務経験証明書は勤務先(または勤務していた)会社等が発行したものが必要で、「申請者自らが作成されたと思われる証明書については、有効な証明書として扱いません」としています。申請者が宅建業者の代表者である場合や、実務経験先が廃業している場合は、他の宅建業者などに証明してもらう扱いが案内されています。
Q登録の申請は、郵送やオンラインでもできますか?
都道府県によって違います。東京都は、持参する場合のほか、郵送・電子申請の場合の提出書類を別に案内しています。大阪府は、必要書類をそろえて本人または代理人が受付窓口へ持参するよう案内しています(2026-10-12 時点)。同じ書類でも出し方で必要なものが変わることがあるため、合格した都道府県のページで、自分の出し方の項目を確認します。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月12日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

