宅建に合格した後の流れを、宅建業法の条文の順に整理。登録の要件(実務経験2年または登録実務講習)、宅建士証の交付と合格から1年の分かれ目、放置した場合、宅地建物取引士の正式名称・読み方と履歴書の書き方を、段階別の表で確認できます。
目次
結論:宅建試験に合格した後の流れは、①合格(宅地建物取引士資格試験)→②都道府県知事の登録(宅建業法18条1項)→③宅地建物取引士証の交付(22条の2)の3段階です。登録には2年以上の実務経験か、実務経験がない人は登録実務講習の修了などが必要です。宅建業法上の「宅地建物取引士」は宅建士証の交付を受けた人を指すので(2条4号)、合格しただけの段階では宅建士を名乗れません。
合格ナビの宅建の論点別問題360問(宅建業法140問)のうち、小分類「宅建士の登録」は10問です(登録の要件・欠格・宅建士証・変更の登録・届出・消除など。2026-10-02 集計)。これは当サイトの問題データの内訳で、本試験の出題数ではありません。
条文の出典は e-Gov 法令検索です(宅地建物取引業法・同法施行規則。2026-10-02 時点の現行条文・2026-04-01 施行の版)。
合格から宅建士証までの流れ(一覧表)
| 段階 | 条文 | 何をするか | この段階で名乗れるもの |
|---|---|---|---|
| ① 合格 | 16条1項 | 都道府県知事が行う宅地建物取引士資格試験に合格 | 宅地建物取引士資格試験 合格 |
| ② 登録 | 18条1項・19条・施行規則13条の15・13条の16 | 実務経験2年以上または登録実務講習の修了などを満たし、試験を行った都道府県知事に登録申請書を提出 | 宅地建物取引士資格登録 |
| ③ 宅建士証の交付 | 22条の2・施行規則14条の10 | 登録をしている都道府県知事に交付を申請。合格から1年を超えると知事指定の講習(申請前6月以内)の受講が必要 | 宅地建物取引士(2条4号) |
| ④ 5年ごとの更新 | 22条の2第3項・22条の3 | 有効期間は5年。更新の申請にも知事指定の講習の受講が必要 | 宅地建物取引士 |
不動産適正取引推進機構(RETIO)の案内によると、合格者には合格証書とともに「宅地建物取引士資格登録等の手続について」が同封され、登録は受験した試験地の都道府県の窓口で行います。必要書類や手数料は都道府県ごとに案内されているので、同ページから合格した都道府県のページを開いて確認してください。
宅建士にしかできない仕事(重要事項の説明・35条書面と37条書面への記名)は、③まで終えた人が行います。仕事の中身は宅建で何ができる?宅建士の独占業務で条文ごとに整理しています。
宅建に合格したら最初にやること:合格発表から宅建士証まで
合格したあとの順番を、時系列で並べます。
| 順番 | やること | 確認できること |
|---|---|---|
| ① 合格発表 | RETIOのホームページで合格者の受験番号などを確認 | RETIOは、合格発表を原則として11月下旬に行うとしています(令和8年度は11月25日(水)) |
| ② 合格証書の受け取り | 簡易書留で届く合格証書と、同封の「宅地建物取引士資格登録等の手続について」を確認 | 合格者には、RETIOから簡易書留郵便で合格証書等が発送されます(RETIO 宅建試験のFAQ) |
| ③ 登録 | 受験した試験地の都道府県の窓口で登録手続 | 登録の要件は2年以上の実務経験か登録実務講習の修了など(18条1項) |
| ④ 宅建士証の交付 | 登録をしている都道府県知事に交付を申請 | 合格から1年以内なら知事指定の講習は不要(22条の2第2項ただし書) |
宅建試験の合格発表の時期:原則として11月下旬。令和8年度は11月25日(水)。最終確認日:2026-10-12。出典:RETIO 宅建試験の概要・RETIO 令和8年度 宅建試験のスケジュール。
③と④は、宅建士として働く予定があるかどうかで、いつ進めるかが変わります。働く予定が決まっていない人は、下の「取ったけど」の章で状況別に確認できます。
合格証書とは:宅建士証・登録との違い
「宅建合格証」と呼ばれるものは、実際には複数あります。発行する人も、証明する内容も違います。
| 名前 | 誰が発行するか | 何を証明するか | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 合格証書 | RETIO(簡易書留で発送)。施行規則11条1項は、試験を行った都道府県知事が合格証書を交付すると定めている | 試験に合格したこと | 登録の手続き(登録簿には「試験の合格年月日及び合格証書番号」が載る・施行規則14条の2の2第1項2号) |
| 合格証明書 | RETIO(昭和62年度以前の合格者は合格した都道府県) | 合格証書を紛失したときの代わり。都道府県での宅建士登録に使える | 合格証書をなくしたとき |
| 宅建士の登録 | 試験を行った都道府県知事(18条1項) | 登録簿に載っていること | 宅建士証の交付の前提 |
| 宅建士証 | 登録をしている都道府県知事(22条の2第1項) | 宅地建物取引士であること(2条4号) | 重要事項の説明などの場面での提示(35条4項・22条の4) |
合格証書は、合格したことの証明で、宅建士であることの証明ではありません。宅建士として名乗り、35条・37条の事務を行うには、登録と宅建士証の交付が必要です。
合格証書をなくしたとき
RETIOは、合格証書の再発行は行わず、代わりに「合格証明書」を発行するとしています。合格証明書は、都道府県での宅建士登録に使うことができ、本人からの申請でないと発行されません。昭和63年度(1988年度)以降の合格者は、RETIO試験部へ書面(郵送)で申請します。昭和62年度(1987年度)以前の合格者は、各都道府県が直接試験を実施していたため、合格した都道府県の宅地建物取引業法主管課に問い合わせます。
合格証明書の発行:発行手数料は無料。返信用封筒に簡易書留用の460円分の切手(普通郵便110円+簡易書留料350円)を貼付。申請書に不備がない場合、原則として到着した日から7営業日以内に発送。最終確認日:2026-10-04。出典:RETIO 宅建試験合格証書を紛失した場合。
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宅建を取ったけど、どうするか:状況別の確認
「取ったけど登録していない」「不動産の仕事をしていない」「実務経験がない」といった状況で、法令とRETIOの案内から確認できることを整理します。どれが得かではなく、条文と案内に何が書かれているかです。
| 状況 | 確認できること | 次に確認する先 |
|---|---|---|
| 不動産業で働く予定がない | 登録も宅建士証の交付も、条文は「受けることができる」「申請することができる」。申請を義務づける条文はない(18条1項・22条の2第1項) | 使い道は宅建で何ができる? |
| 実務経験がない | 登録実務講習を修了すると、登録の要件を満たせる(施行規則13条の16第1号)。講習は合格者だけが受けられる(RETIO) | 国土交通省の実施機関一覧 |
| 合格から1年を過ぎた | 宅建士証の交付には、申請前6か月以内の知事指定の講習が必要(22条の2第2項) | 合格した都道府県の窓口 |
| 登録まで済ませて、宅建士証はまだ | 登録と宅建士証の交付は別の手続き。宅建士は宅建士証の交付を受けた人(2条4号)で、交付を受けていない登録者が宅建士としてすべき事務を行い、情状が特に重いときは登録が消除される(68条の2第2項3号) | 登録した都道府県知事 |
| 合格証書をなくした | 再発行はなく、合格証明書を申請する(RETIO) | 上の「合格証書をなくしたとき」 |
| 別の都道府県で働くことになった | 登録は試験を行った都道府県知事に受ける。働く先の県への登録の移転は、申請できる(19条の2) | 登録をしている都道府県の窓口 |
不動産業以外の仕事で宅建の知識を使いたいだけなら、法令上、登録や宅建士証は必要ありません。逆に、重要事項の説明や35条書面・37条書面への記名は宅建士が行う事務なので、その仕事に就くなら宅建士証が要ります。取る価値の判断材料は宅建を持っているとできることにまとめています。
登録の要件:「2年以上の実務経験」とは
宅建業法18条1項は、登録を受けられる人を「試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたもの」と定めています。期間は施行規則13条の15で「二年」です。
| 登録の要件 | 根拠 | 内容 |
|---|---|---|
| (1) 実務経験 | 18条1項・規則13条の15 | 宅地・建物の取引に関する実務の経験が2年以上 |
| (2) 登録実務講習の修了 | 規則13条の16第1号 | 国土交通大臣の登録を受けた実務についての講習を修了 |
| (3) 公的機関での業務 | 規則13条の16第2号 | 国・地方公共団体またはその出資で設立された法人で、宅地・建物の取得・処分の業務に通算2年以上従事 |
| (4) その他 | 規則13条の16第3号 | 国土交通大臣が(2)(3)と同等以上と認めた者 |
RETIO の案内では、(1)を「宅地建物取引業の実務(一般管理部門は除く。)の経験が2年以上ある者」と説明しています。また「実務経験又は登録実務講習修了の有効期限は、都道府県によって異なる場合があります」とされているので、何年前の経験・修了を使えるかは、合格した都道府県の宅建業法の主管課に確認します。
登録の要件を満たしても、18条1項各号の欠格事由(破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、拘禁刑以上の刑の執行を終わるなどしてから5年を経過しない者、暴力団員等など)に当たる人は登録を受けられません。登録申請書が提出されると、都道府県知事は「遅滞なく、登録をしなければならない」とされています(19条2項)。
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実務経験なしなら登録実務講習
実務経験が2年に満たない人は、登録実務講習を修了すると(2)の要件を満たせます。RETIO は、登録実務講習を「宅地建物取引業法第18条1項及び同法施行規則第13条の16の規定に基づく法定の講習」と説明し、「試験に合格していない方は受講することができません」としています。つまり、合格発表の後に受ける講習です。
講習を行う機関は国土交通大臣の登録を受けた機関で、国土交通省が一覧を公開しています。国土交通省「宅地建物取引士の登録について」は、日程や料金などの実施状況は「機関によって異なります」としているので、各機関に確認してください。
登録実務講習の実施機関:国土交通大臣の登録を受けた機関の一覧が国土交通省のページに掲載されている(ページの表示は「令和7年12月4日現在」)。最終確認日:2026-10-02。出典:国土交通省 登録実務講習実施機関一覧。
試験の一部(5問)が免除される「登録講習」は、受験前に受ける別の講習です(5問免除の根拠は宅建業法16条3項)。名前が似ているので混同しないようにしてください(5問免除は宅建の5問免除で解説しています)。
宅建士証の交付:合格から1年が分かれ目
登録を受けた人は、登録をしている都道府県知事に宅建士証の交付を申請できます(22条の2第1項)。交付を受けるには、知事が指定する講習で「交付の申請前六月以内に行われるもの」を受講しなければなりません(同条2項本文)。
ただし、同項ただし書により「試験に合格した日から一年以内に宅地建物取引士証の交付を受けようとする者」は、この講習が要りません。交付申請書にも「試験に合格した後一年を経過しているか否かの別」を書く欄があります(施行規則14条の10第1項4号)。合格から1年以内に登録と宅建士証の交付まで進めるかどうかで、講習の要否が変わります。
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 申請先 | 登録をしている都道府県知事 | 22条の2第1項 |
| 知事指定の講習 | 申請前6月以内のものを受講。合格から1年以内の交付なら不要 | 22条の2第2項 |
| 有効期間 | 5年 | 22条の2第3項 |
| 更新 | 申請により更新。講習の受講が必要 | 22条の3 |
| 提示 | 取引の関係者から請求があったとき | 22条の4 |
| 返納 | 登録が消除されたとき・宅建士証が効力を失ったときは速やかに | 22条の2第6項 |
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合格後に放置するとどうなるか・登録しなくてもいいか
登録も宅建士証の交付も、宅建業法の書き方は「受けることができる」「申請することができる」で、合格者に申請を義務づける条文はありません。また、宅建業法が合格の決定を取り消せると定めているのは、不正の手段によって試験を受けた場合(17条1項)で、登録をしないことは取消しの理由に挙げられていません。
放置したときに変わるのは、次の2点です。
- ① 合格から1年を過ぎてから宅建士証の交付を受けるときは、知事指定の講習の受講が必要になる(22条の2第2項)
- ② 登録に使う実務経験・登録実務講習の修了について、都道府県が有効期限を設けている場合がある(RETIO の案内)
逆に、宅建業者の事務所で重要事項の説明などをするには宅建士証が必要です。転職や配置の予定があるなら、合格から1年以内に③まで進めると講習の分だけ手続きが少なくなります。
登録の後に必要になる手続き(変更・移転・届出)
| 手続き | いつ | 条文 |
|---|---|---|
| 変更の登録 | 登録を受けている事項(氏名・住所など)に変更があったとき、遅滞なく | 20条・18条2項 |
| 登録の移転 | 他の都道府県の宅建業者の事務所で働く、または働こうとするとき(申請は任意) | 19条の2 |
| 死亡等の届出 | 死亡(相続人が、知った日から)・欠格事由に該当したときなど、30日以内 | 21条 |
| 登録の消除の申請 | 本人が登録をやめたいとき | 22条1号 |
登録の移転をすると、それまでの宅建士証は効力を失います(22条の2第4項)。移転の申請とともに交付を申請すると、前の宅建士証の残りの有効期間を有効期間とする宅建士証が交付されます(同条5項)。
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宅建の正式名称と読み方・「一級」はあるか
| 呼び方 | 正式な名称 | 根拠 |
|---|---|---|
| 宅建(資格の名前) | 宅地建物取引士(たくちたてものとりひきし) | 宅建業法2条4号 |
| 宅建試験 | 宅地建物取引士資格試験 | 宅建業法16条1項 |
| 平成26年度までの試験 | 宅地建物取引主任者資格試験 | RETIO の案内 |
| 宅建業者 | 宅地建物取引業者 | 宅建業法2条3号 |
宅建試験は16条1項の「宅地建物取引士資格試験」の1種類で、宅建業法と施行規則には、一級・二級のような級の区分はありません。「一級」が付くのは建築士など別の資格です。
試験は年度ごとの法令で出題されます。RETIO の宅建試験の概要には「出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです」とあり、令和8年度試験は2026年4月1日時点の法令が基準です。この記事の条文も同じ2026-04-01 施行の版にもとづきます。
履歴書の書き方:段階ごとに書ける名称が違う
法令は履歴書の書き方を定めていませんが、どの段階まで進んだかで名乗れる名称は変わります。宅建業法2条4号のとおり、「宅地建物取引士」は宅建士証の交付を受けた人です。次は段階に合わせた書き方の例です。
| 段階 | 履歴書の資格欄の例 | 注意 |
|---|---|---|
| 合格だけ | 宅地建物取引士資格試験 合格 | 合格しただけで「宅地建物取引士」と書くと、2条4号の定義と合わない |
| 登録済み・宅建士証なし | 宅地建物取引士資格試験 合格(○○県知事 登録) | 年月は合格・登録それぞれの年月 |
| 宅建士証の交付後 | 宅地建物取引士 登録(宅地建物取引士証 交付) | 有効期間(5年)が切れていないか確認 |
| 平成26年度以前の合格 | 宅地建物取引主任者資格試験 合格 | 当時の試験名。現在の名称で書くなら上の行に合わせる |
略称の「宅建」ではなく正式名称で書くと、採用側が段階を読み取れます。勤務先が宅建士証の有無を確認する場面(専任の宅建士の設置など)があるので、どこまで手続きを終えたかを正確に書くことが大切です。
まとめ
- 合格後の流れは、合格→都道府県知事の登録(18条)→宅建士証の交付(22条の2)
- 登録には2年以上の実務経験か、登録実務講習の修了など(規則13条の15・13条の16)
- 登録実務講習は合格者だけが受けられる。5問免除の「登録講習」とは別
- 合格から1年以内に宅建士証の交付を受けるなら、知事指定の講習は不要
- 登録・交付の申請は義務ではないが、放置すると講習が必要になり、実務経験等の有効期限は都道府県で異なる場合がある
- 正式名称は「宅地建物取引士」、試験は「宅地建物取引士資格試験」。級の区分はない
- 履歴書は、合格・登録・宅建士証のどの段階かに合わせて書く
当サイトの宅建の問題は、過去の出題論点をもとに作成した論点別問題です。各問に初級・標準・上級の3段階の解説がついています。
よくある質問
Q宅建士証の交付を受けずに、登録だけしておくことはできますか?
できます。宅建業法22条の2第1項は、登録を受けている者は宅建士証の交付を「申請することができる」と定めていて、登録と宅建士証の交付は別の手続きです。ただし、宅建士証の交付を受けていない人が宅建士としてすべき事務を行い、情状が特に重いときは、登録を消除しなければならないとされています(68条の2第2項3号)。
Q合格した都道府県とは別の都道府県で働く場合、どこで登録しますか?
登録先は試験を行った都道府県知事です(18条1項)。登録後に他の都道府県に所在する宅建業者の事務所で働く、または働こうとするときは、登録の移転を申請することができます(19条の2)。移転は義務ではなく、事務の禁止の処分を受けて期間が満了していないときは申請できません。
Q登録を受けた後に住所や氏名が変わったら、何をしますか?
宅建業法20条により、登録を受けている事項に変更があったときは、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。資格登録簿には氏名・生年月日・住所などが登載されます(18条2項)。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月12日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

