電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度下期 理論 問12|電磁気・回路理論

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,真空中における電子の運動に関する記述である。 図のように,x軸上の負の向きに大きさが一定の電界E[V/m]が存在しているとき,x軸上に電荷が-e[C](eは電荷の絶対値),質量m₀[kg]の1個の電子を置いた場合を考える。x軸の正方向の電子の加速度をa[m/s²]とし,また,この電子に加わる力の正方向をx軸の正方向にとったとき,電子の運動方程式は m₀a= (ア) ……① となる。①式から電子は等加速度運動をすることがわかる。したがって,電子の初速度を零としたとき,x軸の正方向に向かう電子の速度v[m/s]は時間t[s]の (イ) 関数となる。また,電子の走行距離x_dis[m]は時間t[s]の (ウ) 関数で表される。さらに,電子の運動エネルギーは時間t[s]の (エ) で増加することがわかる。 ただし,電子の速度v[m/s]はその質量の変化が無視できる範囲とする。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (図:電界Eはx軸の負の向き,電子の速度vはx軸の正の向き)

問題の図(出典: 令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問12/電気技術者試験センター)

図の出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問12

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正解は 5
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解説

一様な電界の中に置いた電子が,どのように加速されるかを問う問題です(令和5年度下期 問12)。

電荷qが電界Eから受ける力はqEです。電子の電荷は-eで,電界はx軸の負の向きなので,力は(-e)×(-E)=eEとなり,x軸の正の向きに働きます。よって(ア)はeEです。

力が一定なので等加速度運動となり,速度v=atは時間の一次関数,距離x=(1/2)at²は二次関数です。運動エネルギー(1/2)m₀v²はv²に比例するので,時間の2乗で増えます。正答は(5)です。

【(ア) 運動方程式】

電界Eの中の電荷qが受ける力は F=qE です。x軸の正方向を正とすると,電界は-E,電子の電荷は-e なので

F=(-e)×(-E)=eE

電子は電界と逆向き,つまりx軸の正方向に力を受けます。運動方程式は m₀a=eE →(ア) eE

【(イ) 速度】

a=eE/m₀ は一定です。初速度0なので

v=at=(eE/m₀)t

vはtに比例する一次関数です。→(イ) 一次

【(ウ) 走行距離】

x_dis=(1/2)at²=(eE/(2m₀))t²

tの二次関数です。→(ウ) 二次

【(エ) 運動エネルギー】

W=(1/2)m₀v²=(1/2)m₀(eE/m₀)²t²=(eE)²t²/(2m₀)

運動エネルギーは時間tの2乗に比例して増加します。→(エ) 2乗

【誤りの選択肢】

(1)は(エ)を1乗としていますが,運動エネルギーはvの2乗に比例し,vがtに比例するのでtの2乗です。(2)(4)は(ア)に1/2を付け,(イ)(ウ)を入れ替えています。1/2が付くのは距離の式で,力ではありません。(3)のeE²は単位が合わず,力になりません。

正答は(5)です。

【力の向きの考え方】

電界の向きは「正の電荷が力を受ける向き」と定義されています。電子は負の電荷なので,電界と逆向きに力を受けます。本問では電界がx軸の負の向きなので,電子はx軸の正の向きに加速されます。図で速度vが正の向きに描かれているのはこのためです。

符号付きで書くと F=qE=(-e)(-E)=+eE,大きさだけで考えると「大きさeE,向きは電界と逆」です。どちらの考え方でも(ア)はeEになります。

【等加速度運動の三つの式】

初速度0の等加速度運動では

v=at,x=(1/2)at²,v²=2ax

が成り立ちます。三つ目の式に a=eE/m₀ を入れると (1/2)m₀v²=eEx となり,「電界がした仕事eExがそのまま運動エネルギーになる」というエネルギー保存の形になります。電界Eの中を距離xだけ進むことは電位差V=Exの区間を通ることなので,(1/2)m₀v²=eV とも書けます。

【「時間の何乗か」と「距離の何乗か」】

運動エネルギーは,時間に対しては2乗((eE)²t²/(2m₀))で増えますが,距離に対しては1乗(eEx)で増えます。(1)の「1乗」は,この二つを取り違えた誤りとして用意されたものです。問われているのが時間tなのか,距離xなのかを必ず確認します。

【ただし書の意味】

「質量の変化が無視できる範囲」とあるのは,速度が光速に近づくと相対論的効果で質量が増えたように振る舞い,v=atが成り立たなくなるためです。この条件のもとで,ニュートンの運動方程式がそのまま使えます。

【関連する出題パターン】

・電位差Vで加速した電子の速度 v=√(2eV/m₀) を求める問題

・電界に垂直に入射した電子が放物線を描く偏向の問題(電界方向は等加速度,垂直方向は等速)

・磁界中の電子の円運動(半径 r=m₀v/(eB))と組み合わせた問題

どれも「力→加速度→速度・距離・エネルギー」の順にたどれば解けます。

この問題の根拠出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。