電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度下期 理論 問3|電磁気学(磁気回路)

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,強磁性体の応用に関する記述である。 磁界中に強磁性体を置くと,周囲の磁束は,磁束が (ア) 強磁性体の (イ) を通るようになる。このとき,強磁性体を中空にしておくと,中空の部分には外部の磁界の影響がほとんど及ばない。このように,強磁性体でまわりを囲んで,磁界の影響が及ばないようにすることを (ウ) という。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

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答え合わせ

正解は 4
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

強磁性体を使った磁気遮へいの仕組みを問う問題です(令和5年度下期 問3)。

鉄などの強磁性体は透磁率が空気よりはるかに大きく,磁束が通りやすい物質です((ア) 通りやすい)。そのため,磁界の中に置くと周囲の磁束が強磁性体に引き寄せられ,その内部を通ります((イ) 内部)。

強磁性体を中空の箱や管にすると,磁束は壁の中を回り込んで通り,中空部分にはほとんど入りません。これを磁気遮へいといいます((ウ))。正答は(4)です。

【(ア) 磁束の通りやすさ】

強磁性体(鉄,ニッケル,コバルトなど)の比透磁率は1よりはるかに大きく,磁気抵抗が小さい物質です。磁束は磁気抵抗の小さい経路を選んで通るので,強磁性体は「磁束が通りやすい」物質です。→通りやすい

【(イ) 磁束の通り道】

磁界中に強磁性体を置くと,周囲の磁束は強磁性体の中に集まり,その内部を通ります。→内部

【(ウ) 遮へいの名称】

強磁性体を中空にすると,外から来た磁束は磁気抵抗の小さい壁の中を通って回り込み,中空部分にはほとんど入りません。このように強磁性体で囲んで磁界の影響を防ぐことを磁気遮へいといいます。→磁気遮へい

【誤りの語句】

・「通りにくい」「外部」:強磁性体の性質を逆にとらえた語句です。磁束が通りにくいのは空気や非磁性体のほうです。

・静電遮へい:導体で囲んで外部の電界の影響を防ぐことで,電界に対する遮へいです。本問は磁界についての記述なので当てはまりません。

正答は(4)です。

【磁気回路として考える】

磁束の通り道は電気回路にたとえることができ,磁気抵抗は Rₘ=l/(μS)(l:磁路の長さ,μ:透磁率,S:断面積)で表されます。強磁性体は透磁率μが空気の数百倍から数千倍以上にもなるため,同じ長さ・断面積なら磁気抵抗は非常に小さくなります。並列の電気回路で電流が抵抗の小さい側に多く流れるのと同じように,磁束は強磁性体の側に集まります。

【中空部分に磁束が入らない理由】

中空の強磁性体の箱では,外からの磁束にとって「壁の中を回り込む経路」と「中空部分(空気)を横切る経路」が並列になっています。壁の経路の磁気抵抗が空気の経路よりはるかに小さいので,磁束のほとんどは壁を通り,中空部分を通る磁束はわずかになります。完全にゼロにはならないので,壁を厚くしたり,透磁率の高い材料を使ったり,箱を二重にしたりして遮へいの効果を高めます。

【静電遮へいとの違い】

・静電遮へい:導体(金属)で囲むと,導体内部の電界は0になるので,内部は外部の電界の影響を受けません。導体であれば材料は問いません。

・磁気遮へい:強磁性体で囲み,磁束を壁の中に通して内部への磁束を減らします。磁気に対する「導体」に当たるものがないため,静電遮へいのように完全には遮へいできません。

選択肢(3)(5)の「静電遮へい」は,この二つの遮へいを取り違えたときに選んでしまう語句です。

【応用例】

磁気遮へいは,磁界の影響を受けやすい計測器や,外部の磁界を嫌う機器を囲うのに使われます。逆に,変圧器の鉄心のように「磁束を鉄に集めて決まった経路に通す」という使い方も,強磁性体の磁束が通りやすい性質を利用したものです。

【関連する出題パターン】

・強磁性体・常磁性体・反磁性体の比透磁率の大小

・ヒステリシスループ(保磁力・残留磁気)と永久磁石・電磁石の材料の選び方

・磁気回路のオームの法則 Φ=NI/Rₘ を使った計算

「強磁性体=透磁率大=磁気抵抗小=磁束が集まる」という一続きの関係で整理しておくと,語句問題にも計算問題にも対応できます。

この問題の根拠出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。