問題
図のコレクタ接地増幅回路に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (図:npnトランジスタのベースに交流信号源とバイアス用の直流電源が直列に接続され,コレクタは直流電源に直結,エミッタと接地の間に抵抗が接続されている。出力はエミッタの抵抗の両端から取り出す。)
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答え合わせ
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- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
コレクタ接地増幅回路(エミッタホロワ)の性質を問う問題です(令和5年度上期 問13)。
この回路では,出力をエミッタの抵抗から取り出すので,出力電圧は入力電圧からベース-エミッタ間の電圧を引いた分になり,ほぼ入力と同じ大きさで変化します。電圧増幅度は約1です。
入力インピーダンスが大きく,出力インピーダンスが小さいので,回路と回路の間に入れる緩衝増幅器(バッファ)に使われます。
出力の全部が入力側に戻る強い負帰還がかかっているので,ひずみは小さくなります。「ひずみが大きい」とする(5)が誤りで,正答は(5)です。
【回路の見方】
コレクタは直流電源に直結されているので,交流的にはコレクタが接地(共通端子)になっています。入力はベース-コレクタ間,出力はエミッタ-コレクタ間(エミッタ抵抗Rₑの両端)です。
【各選択肢】
(1) 出力電圧は vₒ=vᵢ-v_BE で,v_BE の変化は小さいので vₒ≒vᵢ。電圧増幅度は約1です。正しい。
(2) エミッタ抵抗Rₑに流れる電流はベース電流の約(1+h_fe)倍なので,入力側から見るとRₑが約(1+h_fe)倍に見えます。入力インピーダンスは h_ie+(1+h_fe)Rₑ と大きくなります。正しい。
(3) 逆に出力側から見ると,信号源側の抵抗が約1/(1+h_fe)倍に見えるので,出力インピーダンスは小さくなります。正しい。
(4) 入力インピーダンスが大きく信号源に負担をかけず,出力インピーダンスが小さく負荷を変えても出力電圧が変わりにくいので,緩衝増幅器(バッファ)として使われます。正しい。
(5) 出力電圧がそのまま入力側の電圧から差し引かれる,帰還率1の電圧負帰還がかかっています。負帰還はひずみを小さくするので,「ひずみが大きい」は誤り。
正答は(5)です。
【負帰還としてのエミッタホロワ】
ベース-エミッタ間の電圧は v_BE=vᵢ-vₒ です。出力vₒが大きくなりすぎると v_BE が小さくなって電流が減り,vₒを下げる向きに働きます。これは出力の全部(帰還率β=1)を入力から差し引く負帰還そのものです。
負帰還をかけた増幅度は A/(1+Aβ) で,トランジスタ自体の増幅度Aが大きいほど 1/β=1 に近づきます。電圧増幅度が「約1」になるのはこのためです。負帰還には,ひずみや雑音を1/(1+Aβ)に減らし,周波数特性を広げる効果があるので,エミッタホロワはひずみの小さい回路です。
【三つの接地方式の比較】
・エミッタ接地:電圧増幅度・電流増幅度とも大きい。入力インピーダンスは中程度。出力電圧は入力と逆位相
・ベース接地:電流増幅度は約1,電圧増幅度は大きい。入力インピーダンスが小さい
・コレクタ接地:電圧増幅度は約1,電流増幅度は大きい。入力インピーダンスが大きく,出力インピーダンスが小さい。出力は入力と同位相
この表の「約1」が電圧なのか電流なのかを取り違えないことが,この分野の問題の最大のポイントです。
【緩衝増幅器としての役割】
信号源の内部インピーダンスが大きいと,直接負荷をつないだときに電圧が大きく下がります。間にエミッタホロワを入れると,信号源からは大きな入力インピーダンスに見えて電流をほとんど取られず,負荷には小さな出力インピーダンスから電圧を供給できます。電圧は増幅しなくても,電流(電力)を増幅して「つなぎ役」を果たします。
【誤りの記述の作り方】
(5)は,「増幅度が1しかない=性能が悪い回路」という印象から「ひずみが大きい」と思わせる記述です。実際には,増幅度を負帰還で1まで下げる代わりに,ひずみの少なさとインピーダンス変換の性能を得ている回路です。
【関連する出題パターン】
・エミッタ接地とコレクタ接地の入出力の位相関係
・h定数を使ったエミッタホロワの入力インピーダンスの計算
・負帰還増幅回路の増幅度 A/(1+Aβ) の計算
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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