電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 理論 問14|交流回路

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

図のように,線間電圧200Vの対称三相交流電源から三相平衡負荷に供給する電力を二電力計法で測定する。2台の電力計W₁及びW₂を正しく接続したところ,電力計W₂の指針が逆振れを起こした。電力計W₂の電圧端子の極性を反転して接続した後,2台の電力計の指示値は,電力計W₁が490W,電力計W₂が25Wであった。このときの対称三相交流電源が三相平衡負荷に供給する電力の値[W]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,三相交流電源の相回転はa,b,cの順とし,電力計の電力損失は無視できるものとする。 (図:電力計W₁の電流コイルはa線,W₂の電流コイルはb線に入り,各電力計の電圧コイルはそれぞれの線とc線の間に接続されている。線間電圧はいずれも200V。)

問題の図(出典: 令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問14/電気技術者試験センター)

図の出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問14

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正解は 3
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解説

二電力計法で,一方の電力計が逆振れしたときの三相電力を求める問題です(令和5年度上期 問14)。

二電力計法では,三相電力は2台の電力計の指示の和 P=W₁+W₂ です。ただし,逆振れした電力計は本来マイナスの値を示しているので,電圧端子の極性を反転して読んだ値にはマイナスを付けて足します。

P=490+(-25)=465W

25Wをそのまま足して515Wとするのは誤りです。一方の電力計が負の値を示すのは,負荷の力率が0.5より低いときに起こる現象で,測定の失敗ではありません。

正答は(3)です。

【二電力計法の原理】

三相3線式では,1本の線(本問ではc線)を共通にして,残りの2本の線の電流と,c線との間の線間電圧で電力を測ります。このとき

P=W₁+W₂

が,負荷の力率にかかわらず成り立ちます。

【逆振れの意味】

正しく接続したのにW₂が逆振れしたのは,W₂の測る電力が負であることを示しています。電圧端子の極性を反転すると指針は正の向きに振れますが,読みの25Wは本来 -25W です。

【計算】

P=W₁+W₂=490+(-25)=465[W]

【誤りの選択肢】

(5)の515Wは,25Wをそのまま足した値(490+25)です。逆振れを直すために極性を反転した電力計の値は,符号を戻して扱う必要があります。(4)の490WはW₁だけ,(1)の25WはW₂だけの値です。

【力率についての補足】

二電力計法の一方が負になるのは,負荷の力率が0.5より小さい(力率角が60°より大きい)場合です。本問の値で計算すると,

tanφ=√3(W₁-W₂)/(W₁+W₂)=√3×515/465≒1.92

となり,φ≒62.5°,力率は約0.46です。

正答は(3)です。

【なぜ一方の電力計が負になるのか】

平衡三相負荷の相電流と相電圧の位相差(力率角)をφ,線間電圧をV,線電流をIとすると,二つの電力計の指示は

VIcos(30°-φ) と VIcos(30°+φ)

になります(どちらがどちらになるかは,電力計を入れた線と相回転,遅れ・進みで決まります)。二つの和は

VI{cos(30°-φ)+cos(30°+φ)}=2VIcos30°cosφ=√3VIcosφ

となり,三相電力そのものです。

一方,φ>60°になると 30°+φ>90° となり,VIcos(30°+φ) は負になります。これが逆振れの原因で,負荷の力率が0.5を下回ると起こります。

【力率と電流の求め方】

差は VI{cos(30°-φ)-cos(30°+φ)}=2VIsin30°sinφ=VIsinφ なので

VIsinφ=490-(-25)=515

√3VIcosφ=465

の二式から tanφ=√3×515/465≒1.918,φ≒62.5°,cosφ≒0.462 です。

さらに VI=515/sinφ≒515/0.887≒581V·A,線間電圧200Vより線電流 I≒2.9A と求められます。

【測定上の注意】

逆振れした電力計は,電圧端子か電流端子のどちらか一方の極性を入れ替えて正の向きに振らせ,読んだ値を負として扱います。本問はこの手順をそのまま文章にしたもので,「極性を反転した」という記述が「値を負として扱う」ことの合図になっています。

【選択肢の作り】

選択肢は,W₁だけ(490),W₂だけ(25),符号を考えずに足した値(515),正しい和(465)と,指示値の組合せで作られています。258は約515の半分の値です。「逆振れ」「極性を反転」という語句を読み落とすと515を選んでしまうので,この二つの語句が出たら値を負で扱うと決めておきます。

【関連する出題パターン】

・2台の電力計の指示が等しい → 力率1(φ=0°)

・一方の指示が0 → 力率0.5(φ=60°)

・一方が負 → 力率0.5未満

・二電力計の指示から力率や無効電力(Q=√3(W₁-W₂)の大きさ)を求める問題

指示値の比から力率の範囲がすぐ分かるように,この対応を覚えておくと便利です。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。