問題
図のように,透磁率 μ₀ [H/m] の真空中に,無限に長い直線状導体 A と 1 辺 a [m] の正方形のループ状導体 B が距離 d [m] を隔てて置かれている。A と B は xz 平面上にあり,A は z 軸と平行,B の各辺は x 軸又は z 軸と平行である。A,B には直流電流 I_A [A],I_B [A] が,それぞれ図示する方向に流れている。このとき,B に加わる電磁力として,正しいものを次のうちから一つ選べ。 なお,xyz 座標の定義は,破線の枠内の図で示したとおりとする。
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
図では A の電流は下向き(−z),B の左辺の電流は上向き(+z)です。B を一周すると,右辺は下向き,上辺と下辺は横向きに流れます。
平行な電流は「同じ向きなら引き合い,逆向きなら反発」します。
・左辺(A から d):A と逆向き → 反発で +x 向き,大きさ μ₀I_A I_B a/(2πd)
・右辺(A から a + d):A と同じ向き → 吸引で −x 向き,大きさ μ₀I_A I_B a/(2π(a + d))
・上辺と下辺:同じ大きさで逆向きなので打ち消し合う
A に近い左辺の力の方が大きいので,合力は +x 向き,大きさは μ₀I_A I_B a²/(2πd(a + d)) です。正答は(2)です。
【A がつくる磁界】
A から距離 x の点の磁束密度は B = μ₀I_A/(2πx) [T] です。A の電流は −z 向きなので,右ねじの法則より A の右側(x > 0)では磁界は −y 向き(紙面の手前向き)です。
【各辺に働く力 F = I_B × (辺の長さ) × B】
・左辺(x = d,電流 +z):F₁ = μ₀I_A I_B a/(2πd),向きは +x
・右辺(x = d + a,電流 −z):F₂ = μ₀I_A I_B a/(2π(d + a)),向きは −x
・上辺(電流 +x)と下辺(電流 −x):同じ位置の磁界を通るので,力は −z と +z で大きさが等しく打ち消し合う
【合力】
F = F₁ − F₂ = (μ₀I_A I_B a/2π) × {1/d − 1/(a + d)} = μ₀I_A I_B a²/(2πd(a + d)) [N],+x 向き
正答は(2)です。
【誤りの選択肢】
(1) 磁界が一様なら合力は 0 ですが,A の磁界は距離に反比例するので左右の辺の力が釣り合いません。
(3) 大きさは正しいが向きが逆です。左辺は A と逆向きの電流なので反発(+x)します。
(4)(5) の a(a + 2d) は,F₁ と F₂ を「足して」しまった値(a{1/d + 1/(a + d)} = a(a + 2d)/(d(a + d)))です。
【フレミングの左手則による向きの確認】
座標は x が右,z が上,y が紙面の奥向き(⊗)です。A の右側の磁界 B は −y(手前向き)。
・左辺:電流 +z,F ∝ ẑ × (−ŷ) = +x̂(右向き)
・右辺:電流 −z,F ∝ (−ẑ) × (−ŷ) = −x̂(左向き)
・上辺:電流 +x,F ∝ x̂ × (−ŷ) = −ẑ/下辺:電流 −x,F ∝ (−x̂) × (−ŷ) = +ẑ
上辺と下辺は x = d〜d + a の同じ範囲を通るので,力の積分値 (μ₀I_A I_B/2π) ln{(d + a)/d} が等しく,完全に打ち消し合います。
【磁束(エネルギー)から見る方法】
A の磁界が B を貫く磁束は
Φ = ∫(d→d+a) μ₀I_A a/(2πx) dx = (μ₀I_A a/2π) ln{(d + a)/d}
B の電流は図で時計回り(ループ内部に +y 向きの磁界をつくる)なので,A の磁束(−y 向き)とは打ち消し合う向きです。ループには,この打ち消し合う磁束を減らす向き,つまり A から遠ざかる向き(+x)に力が働きます。
大きさは F = I_B |dΦ/dd| = I_B × (μ₀I_A a/2π) × {1/d − 1/(d + a)} = μ₀I_A I_B a²/(2πd(a + d)) で,各辺の力を足した結果と一致します。
【数値例】
a = d = 0.1 m,I_A = I_B = 10 A のとき
F = 4π × 10⁻⁷ × 10 × 10 × 0.01/(2π × 0.1 × 0.2) = 1.0 × 10⁻⁵ N(+x 向き)
誤って足し合わせた (4) の式では a(a + 2d) = 0.03 となり 3.0 × 10⁻⁵ N と 3 倍の値になります。
【d ≫ a の近似】
F ≈ μ₀I_A I_B a²/(2πd²) となり,距離の 2 乗に反比例します。ループが小さいとき,ループは「磁気モーメント m = I_B a²」として振る舞い,力は磁界の強さではなく磁界の変化の割合(dB/dx)に比例するためです。一様な磁界の中では,ループに回転力は働いても,全体を動かす力は働きません。
【解き方の要点】
平行電流間の力 F = μ₀I₁I₂l/(2πr) の向き(同方向で吸引・逆方向で反発)を各辺に当てはめ,近い辺と遠い辺の差を取ることが本問の核心です。足し算か引き算かは,二つの辺の電流の向きが逆であることから判断します。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


