問題
次式に示す電圧e[V]及び電流i[A]による電力の値[kW]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 e=100sinωt+50sin(3ωt-π/6)[V] i=20sin(ωt-π/6)+10√3sin(3ωt+π/6)[A]
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自信の3択
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解説
基本波と第3調波を含むひずみ波の電圧・電流から,電力(有効電力)を求める問題です(令和5年度下期 問9)。
ひずみ波の電力は,同じ周波数の成分どうしの電力を足し合わせて求めます。周波数が違う成分どうしは平均すると0になり,電力になりません。
基本波:(100×20/2)×cos(π/6)≒866W
第3調波:(50×10√3/2)×cos(π/3)≒216.5W
合計は約1083W=1.08kWです。正答は(2)です。
【考え方】
各成分の式は最大値で書かれているので,実効値は最大値の1/√2です。同じ周波数の電圧と電流の組ごとに P=VIcosθ を求めて合計します。
【基本波(ω)】
電圧の最大値100V,電流の最大値20A,位相差は 0-(-π/6)=π/6(電流が遅れ)
P₁=(100/√2)×(20/√2)×cos(π/6)=1000×(√3/2)≒866.0[W]
【第3調波(3ω)】
電圧の最大値50V,電流の最大値10√3≒17.32A
位相差は (-π/6)-(+π/6)=-π/3 なので cos(π/3)=0.5
P₃=(50/√2)×(10√3/√2)×0.5=250√3×0.5≒216.5[W]
【合計】
P=P₁+P₃≒866.0+216.5=1082.5[W]≒1.08[kW]
【注意点】
・最大値どうしを掛けたときは2で割ります(実効値=最大値/√2 を二つ掛けるため)。
・電圧の基本波と電流の第3調波のように,周波数が違う組合せは電力に寄与しません。
・第3調波を忘れると約0.87kWとなり,どの選択肢にも合いません。
正答は(2)です。
【なぜ異なる周波数の成分は電力にならないか】
瞬時電力 p=ei を1周期で平均したものが電力です。eとiを展開すると,sinmωt×sinnωt の形の項が現れます。
sinA×sinB=(1/2){cos(A-B)-cos(A+B)}
m≠n のとき,cos((m-n)ωt+…)もcos((m+n)ωt+…)も1周期の平均が0になるので,電力に残りません。m=nのときだけ cos(A-B) が一定値(位相差の余弦)となり,平均電力 (VₘIₘ/2)cosθ が残ります。これが「同じ周波数どうしの電力の和」になる理由です。
【位相差の取り方】
位相差は「電圧の位相-電流の位相」で求めます。
・基本波:0-(-π/6)=π/6(電流が遅れ,誘導性)
・第3調波:(-π/6)-(π/6)=-π/3(電流が進み,容量性)
cosは偶関数なので符号によらず cos(π/3)=0.5 です。基本波は誘導性,第3調波は容量性のように,周波数ごとに負荷の性質が違って見えるのは,リアクタンスが周波数に比例(コイル)または反比例(コンデンサ)するためです。
【実効値の計算と力率】
同じ考え方で,ひずみ波の実効値は各成分の実効値の2乗和の平方根です。
電圧:V=√((100/√2)²+(50/√2)²)=√(5000+1250)≒79.1V
電流:I=√((20/√2)²+(10√3/√2)²)=√(200+150)≒18.7A
皮相電力 VI≒1479V·A なので,総合力率は 1082.5/1479≒0.73 になります。この「実効値」「総合力率」を問う形も,ひずみ波の典型的な出題です。
【よくある誤り】
・最大値の積のまま2で割らずに計算すると,電力が2倍の約2.17kWとなる
・位相差を,電圧と電流の位相の和で取ってしまう
・第3調波の電流10√3を10と読み違える
選択肢の数値は互いに近いので,各成分を一つずつ確実に計算することが大切です。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

