問題
図のように,電圧E[V]の直流電源,スイッチS,R[Ω]の抵抗及び静電容量C[F]のコンデンサからなる回路がある。この回路において,スイッチSを1側に接続してコンデンサを十分に充電した後,時刻t=0sでスイッチSを1側から2側に切り換えた。2側に切り換えた以降の記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,自然対数の底は,2.718とする。 (図:1側では電源E-S-R-Cが直列につながり,2側ではR-Cだけの閉回路になる。電流iはSからRへ向かう向き,抵抗の電圧v_RはRのC側からS側へ向かう矢印,コンデンサの電圧v_Cは下から上へ向かう矢印で示されている。)
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答え合わせ
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- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
充電したコンデンサを抵抗Rで放電させるRC回路の問題です(令和5年度下期 問10)。
スイッチを2側にすると,電圧Eまで充電されたコンデンサがRを通して放電します。切り換えた瞬間のコンデンサの電圧はEのままなので,そのときの電流の大きさはE/Rです。この式にCは入っていないので,「t=0の電流はCの値に関係する」という(5)が誤りです。
時定数はτ=CR,電圧はv_C=Ee^(-t/CR) で減っていき,t=τでE/2.718≒0.368Eになります。正答は(5)です。
【放電の式】
2側に切り換えると,Eまで充電されたコンデンサとRだけの回路になります。
v_C=Ee^(-t/τ),τ=CR
放電電流は,図の矢印(SからRへ向かう向き)を正とすると,実際には逆向きに流れるので
i=-(E/R)e^(-t/τ)
【各選択肢】
(1) 時定数τ=CRはCに比例します。正しい。
(2) Rが大きいとτ=CRが大きくなり,v_Cはゆっくり減ります。正しい。
(3) t=τのとき v_C=Ee^(-1)=E/2.718≒0.368E。正しい。
(4) 放電電流はコンデンサの上側からRを通ってS側へ流れるので,Rの電位はC側が高く,S側が低くなります。v_Rは矢印の先(S側)がC側より高いときを正とする向き(v_Cの矢印と同じ決め方)なので,v_Rは負です。キルヒホッフの電圧則でも v_R=-v_C<0 となります。正しい。
(5) t=0ではv_C=Eなので,電流の大きさは E/R です。Cの値には関係しません。誤り。
【ポイント】
Cは「どれだけ長く電流が流れ続けるか」(時定数)には効きますが,切り換えた瞬間の電流は,そのときのコンデンサの電圧と抵抗だけで決まります。
正答は(5)です。
【微分方程式から確かめる】
2側の閉回路でキルヒホッフの電圧則を立てます。電流をコンデンサから流れ出る向きに i' とすると,i'=-C(dv_C/dt),v_C=Ri' より
CR(dv_C/dt)+v_C=0
初期値 v_C(0)=E のもとで解くと v_C=Ee^(-t/CR) です。i'=v_C/R=(E/R)e^(-t/CR) なので,t=0での大きさはE/Rで,Cは時定数の中にしか現れません。
【時定数の意味】
τ=CRは,最初の減り方のまま減り続けたときに0になるまでの時間です(t=0での接線がt=τで横軸と交わる)。実際には指数関数的に減るので,t=τで初期値の約36.8%,t=3τで約5%,t=5τで約0.7%になります。ただし書の「自然対数の底は2.718」は,このe^(-1)=1/2.718≒0.368を計算させるための条件です。
【Cが大きいとどう変わるか】
Cを2倍にしても,t=0の電流E/Rは同じですが,時定数が2倍になり電流が長く流れます。蓄えられた電荷Q=CEも2倍になるので,放電で流れる電荷の総量が増える,という関係になっています。同様に,抵抗で消費されるエネルギーの合計は,最初にコンデンサに蓄えられていた(1/2)CE²に等しく,Rの値によりません。
【符号の問題(選択肢(4))】
この種の問題では,図に描かれた電流や電圧の矢印の向きと,実際に流れる向きとの関係がよく問われます。充電のときと放電のときでは電流の向きが逆になるので,図の矢印を正とすると放電電流i,抵抗の電圧v_Rはいずれも負の値になります。式で v_R+v_C=0(2側の閉回路の電圧則)を立てれば,v_C>0 から v_R<0 がすぐに分かります。
【関連する出題パターン】
・充電の場合 v_C=E(1-e^(-t/CR)),t=τで約0.632E になること
・RL回路の時定数 τ=L/R と,切り換え直後にインダクタンスの電流が連続すること
・v_Cやiの時間変化のグラフを選ぶ問題
いずれも「切り換えの瞬間に連続する量(コンデンサの電圧,コイルの電流)」と「時定数」の二つで判断できます。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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