電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度下期 理論 問13|電子回路(トランジスタ・増幅)

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

図1は,正弦波を出力しているある発振回路の構造を示している。この発振回路の帰還回路の出力端子と増幅回路の入力端子との接続を切り離し,図2のように適当な周波数の正弦波V_iを増幅回路に入力すると,次の二つの条件が同時に満たされている。 1.増幅回路の入力電圧V_iと帰還回路の出力電圧V_fが (ア) である。 2.増幅回路の増幅度|V_o/V_i|をA,帰還回路の帰還率|V_f/V_o|をβと表すとき, (イ) である。 図1で示される発振回路は,条件1より (ウ) 回路である。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (図1:増幅回路(増幅度A)の出力V_oが帰還回路(帰還率β)の入力につながり,帰還回路の出力が増幅回路の入力に戻るループ。図2:その帰還回路の出力と増幅回路の入力の接続を切り離し,増幅回路の入力に正弦波電源V_iを接続し,帰還回路の出力端子の電圧をV_fとしたもの。)

問題の図(出典: 令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問13/電気技術者試験センター)

図の出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論 問13

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解説

発振回路が発振を続けるための条件を問う問題です(令和4年度下期 問13)。

増幅回路の出力の一部を入力に戻すとき,戻ってきた電圧V_fがもとの入力V_iと同じ位相(同相)なら,入力を強め合う正帰還になります((ア)同相,(ウ)正帰還)。

さらに,一周して戻ってくる電圧の大きさがもとの入力以上,つまり増幅度Aと帰還率βの積が Aβ≧1 であれば,振動は弱まらずに続きます((イ))。この二つが発振の条件です。正答は(1)です。

【ループを一周した電圧】

図2で増幅回路に V_i を入れると,出力は V_o=A·V_i(大きさ),帰還回路の出力は V_f=β·V_o=Aβ·V_i です。図1のように V_f を入力に戻したとき,外から信号を加えなくても振動が続くためには,戻ってきた V_f が V_i の代わりを務められなければなりません。

【(ア) 位相の条件:同相】

V_f と V_i が同相なら,戻った信号は入力をそのまま強める向きに加わります。逆相なら入力を打ち消してしまい,振動は続きません。

【(イ) 振幅の条件:Aβ≧1】

V_f/V_i=Aβ です。Aβ<1 だと一周するたびに振幅が小さくなり,振動は減衰して止まります。Aβ≧1 なら振幅が保たれるか成長します。実際の発振回路では,起動時に Aβ>1 で振幅が成長し,増幅回路の非線形性などで増幅度が下がって Aβ=1 に落ち着き,一定振幅の正弦波になります。

【(ウ) 正帰還】

入力と同相の信号を戻すのは正帰還です。負帰還は逆相で戻して増幅度を下げ,回路を安定させる使い方で,発振とは逆の働きです。

組合せは 同相・Aβ≧1・正帰還 で,正答は(1)です。

【バルクハウゼンの発振条件】

帰還ループの一巡伝達関数を複素数で Aβ と書くと,発振が持続する条件は

Aβ=1(大きさ |Aβ|=1,位相 ∠Aβ=0°)

です。これをバルクハウゼンの条件といいます。本問の(ア)が位相条件,(イ)が振幅条件に当たります。発振を始めるためには |Aβ| を1よりやや大きくしておき,回路の雑音などの小さな成分を成長させます。本問の(イ)が「Aβ≧1」となっているのは,この起動を含めた表現です。

【周波数を決めるもの】

位相条件 ∠Aβ=0° はすべての周波数で成り立つわけではなく,帰還回路にLCやCRを使って特定の一つの周波数でだけ成り立つように作ります。そのため出力は一つの周波数の正弦波になります。LC発振回路(コルピッツ形・ハートレー形)は共振回路で,CR発振回路(移相形・ウィーンブリッジ形)はCRの位相回路で周波数を決めます。例えば反転増幅器(入出力が逆相,位相差180°)を使う移相形発振回路では,CR回路でさらに180°ずらして,一周で360°(=0°)になるようにしています。

【誤りの選択肢の作られ方】

(2)(3)の負帰還は,出力を逆相で戻して増幅度を下げる方式で,ひずみの低減や安定化のために使われ,発振を起こさせる方式ではありません。(4)は(ア)を逆相としながら(ウ)を正帰還としていて,位相と帰還の種類が食い違っています。(5)は位相条件と正帰還は正しいのに Aβ<1 としており,これでは振幅が一周ごとに減って発振が止まってしまいます。

【負帰還増幅回路との関係】

負帰還増幅回路の増幅度は A_f=A/(1+Aβ) です。ある周波数で増幅回路や帰還回路の位相が180°回り,帰還が正帰還に変わって |Aβ|≧1 になると,分母が0に近づき,意図しない発振が起こります。増幅回路の設計で位相余裕を確保するのは,この発振を防ぐためです。

【関連する出題パターン】

・コルピッツ・ハートレー発振回路の発振周波数 f=1/(2π√(LC)) を求める問題

・負帰還増幅回路の増幅度 A/(1+Aβ) を求める問題

・正帰還と負帰還の性質を比べる正誤問題

いずれも「一巡して戻る信号の大きさと位相」で判断します。

この問題の根拠出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。