問題
図の回路のスイッチ S を t = 0 s で閉じる。電流 i_S [A] の波形として最も適切に表すものを次のうちから一つ選べ。 ただし,スイッチ S を閉じる直前に,回路は定常状態にあったとする。
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答え合わせ
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- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
回路は,1 V の電池から 1 Ω の抵抗と 1 H のコイルを通った点に,スイッチ S と「1 F のコンデンサ+1 Ω の抵抗」が並列につながっています。
閉じる前は直流の定常状態なので,コンデンサは電流を通さず,回路の電流は 0 A,コンデンサは 1 V に充電されています。
S を閉じると,①電池側にはコイルの電流 1 − e⁻ᵗ が流れ始め,②コンデンサは 1 Ω を通して放電し,e⁻ᵗ の電流が S を同じ向きに流れます。
二つの和は (1 − e⁻ᵗ) + e⁻ᵗ = 1 A で,t = 0 の直後からずっと 1 A のままです。正答は(5)です。
【閉じる直前(t = 0⁻)】
直流定常状態ではコンデンサに電流は流れないので,回路の電流は 0 A です。抵抗にもコイルにも電圧降下がなく,コンデンサの電圧は電源と同じ 1 V です。コイルの電流 i_L(0⁻) = 0 A。
【閉じた後(t ≥ 0)】
S を閉じると,S の上端の点が下側の線と同じ電位になり,回路は二つの独立なループに分かれます。
・電源側ループ(1 V − 1 Ω − 1 H − S):時定数 τ_L = L/R = 1/1 = 1 s
i_L(t) = (1/1)(1 − e^{−t/1}) = 1 − e⁻ᵗ [A](コイルの電流は急に変われないので 0 から増える)
・コンデンサ側ループ(1 F − 1 Ω − S):時定数 τ_C = CR = 1 × 1 = 1 s
放電電流 i_C(t) = (1 V/1 Ω) e⁻ᵗ = e⁻ᵗ [A](S を i_S と同じ下向きに流れる)
【S の電流】
i_S = i_L + i_C = (1 − e⁻ᵗ) + e⁻ᵗ = 1 A(一定)
t = 0 で 0 A から 1 A に跳び上がり,そのまま一定です。正答は(5)です。
【誤りの選択肢】
(2) はコイル側の電流 i_L だけを描いたもので,コンデンサの放電電流を忘れています。
(4) のような行き過ぎは LC の振動を考えた形ですが,S を閉じると L 側と C 側は別々のループになり,LC の共振は起きません。
【時定数が等しいことがこの問題の核心】
一般に,電源側の抵抗を R₁,コンデンサ側の抵抗を R₂ とし,閉じる直前のコンデンサ電圧を E とすると
i_S(t) = (E/R₁)(1 − e^{−t/τ_L}) + (E/R₂)e^{−t/τ_C},τ_L = L/R₁,τ_C = CR₂
本問では E/R₁ = E/R₂ = 1 A で,さらに τ_L = τ_C = 1 s なので,増える分と減る分が各時刻でちょうど打ち消し合い,i_S は一定になります。
【他の波形になる条件(各選択肢の意味)】
i_S − 1 = e^{−t/τ_C} − e^{−t/τ_L}(初期値が同じ 1 A の場合)
・τ_C < τ_L(コンデンサの放電の方が速い):t > 0 で i_S − 1 < 0 → いったん 1 A を下回る (1) の形
・τ_C > τ_L(コイル電流の立ち上がりの方が速い):i_S − 1 > 0 → いったん 1 A を上回る (3) の形
・コンデンサが充電されていない,または放電電流を考えない:i_S = i_L で 0 から単調増加する (2) の形
(4) は 0 から始まって行き過ぎる形で,RLC 直列回路の不足減衰のような応答ですが,本問の回路は S によって L と C が切り離されるので,この形にはなりません。
【初期値・最終値だけで絞り込む方法】
・t = 0⁺:コイルの電流は 0 のまま,コンデンサの電圧は 1 V のまま(ともに急変しない)なので,i_S(0⁺) = 0 + 1/1 = 1 A → 0 A から始まる (2)(4) は除外
・t → ∞:コイルは短絡,コンデンサは放電し終わり電流 0 → i_S(∞) = 1/1 = 1 A
残る (1)(3)(5) の区別は時定数の比較で決まり,τ_L = τ_C なので (5) です。
【電流の向きの確認】
閉じる前,コンデンサの左側の極板は電源側の点と同じ +1 V,右側の極板は 1 Ω を通して下の線(0 V)とつながっています。S を閉じて電源側の点が 0 V になると,左側の極板の正電荷は S を通って下へ流れ,1 Ω を通って右側の極板へ戻ります。したがって放電電流は S をコイル電流と同じ下向きに流れ,二つの電流は足し合わされます。
【学習の要点】
過渡現象では「コイルの電流」と「コンデンサの電圧」が急変しないことを使って t = 0⁺ の値を決め,定常値と時定数で波形をつなぎます。スイッチが回路を二つのループに分けるときは,ループごとに別々に解いてから重ね合わせると見通しよく解けます。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


