問題
図のように,無限に長い3本の直線状導体が真空中に10cmの間隔で正三角形の頂点の位置に置かれている。3本の導体にそれぞれ7Aの直流電流を同一方向に流したとき,各導体1m当たりに働く力の大きさF₀の値[N/m]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,無限に長い2本の直線状導体をr[m]離して平行に置き,2本の導体にそれぞれI[A]の直流電流を同一方向に流した場合,各導体1m当たりに働く力の大きさFの値[N/m]は,次式で与えられるものとする。 F=(2I²/r)×10⁻⁷ (図:1辺10cmの正三角形の各頂点に導体があり,3本とも電流は紙面の奥向き(⊗)。)
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
正三角形に並んだ3本の平行導体に同じ向きの電流を流したとき,1本の導体が受ける力を求める問題です(令和4年度下期 問4)。
まず2本の間の力は,与えられた式から
F=(2×7²/0.1)×10⁻⁷=9.80×10⁻⁵N/m
同じ向きの電流なので,互いに引き合う力です。1本の導体は残り2本からこの大きさの力を受け,二つの力の向きは60°開いています。合力は 2F cos30°=√3F=√3×9.80×10⁻⁵≒1.70×10⁻⁴N/m です。正答は(3)です。
【2本の導体間の力】
r=10cm=0.1m,I=7A を与えられた式に代入します。
F=(2×7²/0.1)×10⁻⁷=(98/0.1)×10⁻⁷=980×10⁻⁷=9.80×10⁻⁵N/m
電流が同じ向きなので,この力は吸引力です。
【1本の導体に働く合力】
例えば上の頂点の導体は,左下と右下の導体から,それぞれの導体の方へ引かれます。二つの力の大きさはどちらもFで,向きは正三角形の辺に沿っているので,なす角は60°です。
大きさが等しく60°をなす二つの力の合力は,それぞれの力が二等分線(三角形の重心の方向)となす角が30°なので
F₀=2F cos30°=√3F=1.732×9.80×10⁻⁵≒1.70×10⁻⁴N/m
向きは三角形の中心に向かう向きです。
【誤りの選択肢】
(2)は2本の間の力Fそのもので,もう1本の分が入っていません。(4)の1.96×10⁻⁴は 2F で,二つの力の向きを考えずに大きさを足したものです。(5)の2.94×10⁻⁴は 3F です。(1)の0は,3本が対称に並んでいるので力が打ち消し合うと考えた場合ですが,各導体の位置から見ると二つの力は同じ側(中心側)を向くので打ち消し合いません。
正答は(3)です。
【与えられた式の出どころ】
問題の式 F=(2I²/r)×10⁻⁷ は,平行導体間の力の一般式 F=μ₀I₁I₂/(2πr) に μ₀=4π×10⁻⁷H/m を代入したものです。
μ₀I²/(2πr)=(4π×10⁻⁷×I²)/(2πr)=(2I²/r)×10⁻⁷
試験では式が与えられることが多いですが,導出を知っていれば電流が異なる場合(I₁I₂)にも対応できます。
【力の向きの確認】
同じ向きの電流どうしは引き合い,逆向きの電流どうしは反発します。本問の3本は同じ向きなので,各導体は他の2本の方へ引かれ,合力は三角形の中心向きになります。3本すべてが中心に引かれるので,3本の合力のベクトル和は0ですが,それは系全体の話で,1本ずつに働く力は0ではありません。(1)はこの二つを混同させる選択肢です。
【ベクトルの合成を成分で確かめる】
上の頂点の導体を基準に,左下の導体へ向かう力は鉛直下向きから左へ30°,右下の導体へ向かう力は右へ30°傾いています。水平成分は F sin30° が左右で打ち消し合い,鉛直成分は F cos30° が二つ足されて 2F cos30°=√3F になります。
【一般化】
大きさFの二つの力のなす角をθとすると,合力は 2F cos(θ/2) です。θ=0°で2F,θ=60°で√3F,θ=90°で√2F,θ=120°でF,θ=180°で0 になります。導体の配置が正方形や直角三角形の問題でもこの関係が使えます。
例えば本問で上の導体の電流だけを逆向きにすると,上の導体は下の2本から反発されて二つの力のなす角は60°のままなので √3F(外向き)です。下の導体は,もう一方の下の導体からの吸引力と上の導体からの反発力を受け,なす角が120°になるので合力はFになります。
【関連する出題パターン】
・電流の向きが1本だけ逆の場合の力の大きさと向きを求める問題(反発力と吸引力の合成)
・正方形の頂点に置いた4本の導体の1本に働く力を求める問題
・平行導体の中間点の磁界の強さを求める問題
いずれも「2本間の力を求める→向きを決める→ベクトル合成する」の順で解けます。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。


