問題
次の文章は,電気計測に関する記述である。 電気に関する物理量の測定に用いる方法には各種あるが,指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて,その指示から測定量を知る方法を (ア) 法という。これに比較して精密な測定を行う場合に用いられている (イ) 法は,測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し,既知量を測定量に平衡させて,そのときの既知量の大きさから測定量を知る方法である。 (イ) 法を用いた測定器の例としては, (ウ) がある。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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答え合わせ
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- 5
自信の3択
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解説
電気計測の方法の名前と,その方法を使う測定器を問う問題です(令和4年度上期 問14)。
指示計器のように,測定量を指針の振れ(偏位)に変えて読み取る方法を偏位法といいます((ア))。
これに対し,大きさを調整できる既知量を測定量と釣り合わせ,検出器の振れが0になったときの既知量から測定量を知る方法を零位法といいます((イ))。
零位法の代表例はホイートストンブリッジで,検流計の振れが0になるように既知の抵抗を調整して未知抵抗を求めます((ウ))。正答は(1)です。
【(ア) 偏位法】
電圧計・電流計などの指示計器は,測定量に応じた駆動トルクで指針を振らせ,その振れの大きさ(偏位)から値を読み取ります。これを偏位法といいます。操作が簡単で速く測定できますが,精度は計器の目盛や特性に左右されます。
【(イ) 零位法】
測定量と同じ種類の既知量を用意し,その大きさを調整して測定量と釣り合わせます。釣り合ったかどうかは検出器の指示が0になることで判断し,そのときの既知量の値から測定量を求めます。検出器は0を確かめるだけなので,検出器の目盛の誤差が結果に入りにくく,精密な測定に向いています。
【(ウ) ホイートストンブリッジ】
4つの抵抗をブリッジに組み,対角に検流計を入れます。既知の抵抗を調整して検流計の振れを0にすると,向かい合う辺の積が等しくなる平衡条件から未知抵抗が求まります。零位法の代表例です。
【誤りの選択肢】
「間接」測定法は,測定したい量を別の量の測定から計算で求める方法(例:電圧と電流から抵抗を求める)で,指針の振れで読む方法の名前ではありません。「差動」法は,測定量と既知量の差を計器で読み取る方法で,本文の「既知量を測定量に平衡させる」方法とは異なります。誘導形電力量計は,回転円板の回転数で電力量を積算する計器で,平衡をとる零位法の測定器ではありません。
正答は(1)です。
【偏位法・零位法・差動法の比較】
測定方法は,測定量を何と比べるかで次のように分類されます。
・偏位法:測定量を計器の指示(振れ)に変えて読む。速いが,精度は計器の性能で決まる。
・零位法:既知量を調整して測定量と完全に釣り合わせ,検出器の指示が0になったときの既知量を読む。検出器は感度だけが問題で,目盛の正確さは不要。
・差動法:測定量と,それに近い既知量との差だけを計器で測る。差が小さいので,計器の誤差の影響を小さくできる。
零位法の精度は主に既知量(標準抵抗など)の正確さで決まるので,精密測定に使われます。
【ホイートストンブリッジの平衡】
辺の抵抗をP,Q,R,未知抵抗Xとし,検流計の両端が同電位になるようにRを調整すると,PR=QX(向かい合う辺の積が等しい)が成り立ち,X=PR/Q で求まります。平衡時は検流計に電流が流れないので,電源電圧の変動や検流計の内部抵抗が結果に影響しません。この「電流が0の状態で読む」ことが零位法の利点です。電位差計(ポテンショメータ)も,未知の電圧と既知の電圧を釣り合わせて検流計の振れを0にする零位法の測定器です。
【誘導形電力量計が選択肢にある理由】
誘導形電力量計は,電圧コイルと電流コイルの磁束で円板に渦電流を生じさせ,電力に比例したトルクで円板を回転させます。制動磁石によるブレーキトルクと釣り合って一定速度で回る仕組みですが,これは回転速度を電力に比例させるための釣合いであり,既知量を調整して測定量と釣り合わせる零位法ではありません。円板の回転数を積算して電力量を表示する積算計器です。
【関連する出題パターン】
・ホイートストンブリッジの平衡条件から未知抵抗を求める計算問題
・指示計器の動作原理(可動コイル形,可動鉄片形,電流力計形,整流形など)と測定できる量を問う問題
・直接測定法と間接測定法の区別を問う問題
測定方法の名前は,「何を読むか(振れか,0か,差か)」で区別すると覚えやすくなります。
出典と作り方
本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。

