行政書士

申請と届出の違い行政手続法2条・37条を行政書士試験向けに整理

更新 ・書いた人 合格ナビ 編集長(運営者)

この記事でわかること

行政書士試験の行政法で、行政手続法の「申請」(2条3号)と「届出」(2条7号)の定義の違い、申請に対する処分の手続(5条〜11条)、届出の到達と手続上の義務の履行(37条)、地方公共団体・国の機関の場合(3条3項・4条1項・46条)を、e-Govの条文どおりに表で比べます。

目次
  1. 申請と届出の定義を並べる(2条3号・7号)
  2. 申請に対する処分の手続(5条〜11条)
  3. 届出(37条):形式が整っていれば、到達したときに義務の履行
  4. 申請を拒否する処分と、届出が絡む処分(2条4号)
  5. 地方公共団体・国の機関と届出(3条3項・4条1項・46条)
  6. 試験での問われ方:内容の型
  7. 間違えやすいポイント
  8. まとめ
  9. 参照した一次ソース
結論:行政手続法では、申請は、法令に基づき許認可等を求める行為であって、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの(2条3号)、届出は、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む)です(2条7号)。申請は第2章(5条〜11条)の審査・応答の手続、届出は第5章の37条1か条だけで、形式上の要件に適合する届出は、提出先の事務所に到達したときに、手続上の義務が履行されたものとされます。

この記事は、e-Gov法令検索の行政手続法の条文だけをもとに、申請と届出の違いを行政書士試験の受験者向けに整理したものです。行政手続法の全体(4本柱・適用除外・審査基準・理由の提示・意見公募手続)は行政手続法をわかりやすく解説、却下・棄却・取消しなど結論を表す言葉は行政書士の却下・棄却・認容・取消し・撤回の違い、聴聞と弁明の機会の付与は行政書士の聴聞と弁明の機会の付与で扱うため、ここでは申請と届出の境目に絞ります。

申請と届出の定義を並べる(2条3号・7号)

2条は、この法律で使う言葉の意味を定めています。申請と届出の定義を、要素ごとに分けて並べます。

要素申請(2条3号)届出(2条7号)
何をする行為か法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」)を求める行為行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)
行政庁の応答当該行為に対して、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの定義に、諾否の応答という言葉はない
法令との関係「法令に基づき」求める行為法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む)
手続の置かれた場所第2章 申請に対する処分(5条〜11条)第5章 届出(37条)

2条7号は、かっこ書で「申請に該当するものを除く」としています。通知の形をとっていても、許認可等を求めて行政庁の諾否の応答を受ける行為は申請で、その場合は届出になりません。また、7号の後半のかっこ書は、法令上その通知を義務付けられているだけでなく、自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるために通知をすべきこととされているものも、届出に含めています。

「処分」の意味は2条2号が、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為と定めています。申請は、処分を求める行為です。

申請に対する処分の手続(5条〜11条)

申請がされたあとの行政庁の手続は、第2章にまとまっています。各条の動詞(義務の強さ)まで見ると、問われ方に対応できます。

条文内容条文の動詞
5条1項行政庁は、審査基準を定める「定めるものとする」
5条2項審査基準は、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとする「しなければならない」
5条3項行政上特別の支障があるときを除き、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておく「公にしておかなければならない」
6条申請が事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間(標準処理期間)を定める(法令により行政庁と異なる機関が申請の提出先とされている場合は、提出先の事務所に到達してから行政庁の事務所に到達するまでの標準的な期間も併せて)。定めたときは、提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておく定めるのは「努める」、公にするのは「しておかなければならない」
7条申請が事務所に到達したときは、遅滞なく審査を開始する。形式上の要件に適合しない申請は、速やかに、相当の期間を定めて補正を求め、又は許認可等を拒否する「開始しなければならず」「求め、又は拒否しなければならない」
8条1項申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、処分の理由を示す。ただし、法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合であって、申請がこれらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類その他の申請の内容から明らかであるときは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる「示さなければならない」
8条2項拒否の処分を書面でするときは、理由も書面により示す「示さなければならない」
9条1項申請者の求めに応じ、審査の進行状況及び処分の時期の見通しを示す「示すよう努めなければならない」
9条2項申請をしようとする者又は申請者の求めに応じ、申請に必要な情報の提供をする「提供に努めなければならない」
10条申請者以外の者の利害を考慮すべきことが法令において許認可等の要件とされているものを行う場合には、必要に応じ、公聴会の開催その他の適当な方法により申請者以外の者の意見を聴く機会を設ける「設けるよう努めなければならない」
11条1項他の行政庁において同一の申請者からされた関連する申請が審査中であることをもって、自らすべき許認可等をするかどうかについての審査又は判断を殊更に遅延させる「してはならない」
11条2項一の申請又は同一の申請者からされた相互に関連する複数の申請に対する処分について複数の行政庁が関与する場合は、必要に応じ、相互に連絡をとり、申請者からの説明の聴取を共同して行う等により審査の促進に努める「努めるものとする」

条文の動詞で、義務(しなければならない・してはならない)、努力義務(努めなければならない・努めるものとする)、例外つきの義務(8条1項ただし書、5条3項の「行政上特別の支障があるときを除き」)を見分けます。審査基準・標準処理期間・理由の提示の違いは、行政手続法の解説記事の表で確認できます。

届出(37条):形式が整っていれば、到達したときに義務の履行

届出に関する行政手続法の手続は、第5章の37条だけです。

「届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。」(行政手続法37条)

この条文の要素を分けると、次のとおりです。

要素条文の言葉
条件届出書の記載事項に不備がない、必要な書類が添付されている、その他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している
いつ届出の提出先とされている機関の事務所に到達したとき
効果届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする

条文の言葉で、届出と申請の違いを並べます。

比べる点申請に対する処分(5条〜11条)届出(37条)
形式上の要件に適合しないとき速やかに、補正を求め、又は許認可等を拒否する(7条)(37条は、適合している場合の効果を定める条文)
事務所への到達到達したときは、遅滞なく審査を開始する(7条)。標準処理期間も、到達から数える(6条)提出先とされている機関の事務所に到達したときに、手続上の義務が履行されたものとする(37条)
行政庁の「諾否の応答」定義に含まれる(2条3号)定義に含まれない(2条7号)
拒否するときの理由の提示許認可等を拒否する処分には、理由を示す(8条)第5章に、同様の規定はない
「受理」の語条文に出てこない条文に出てこない

37条は、義務の履行時期を定める条文で、行政庁の審査や、承諾・拒否の判断を定めるものではありません。申請では、到達後に審査の開始(7条)が続きます。届出では、条件が整っていれば到達の時点で義務の履行が済みます。

申請を拒否する処分と、届出が絡む処分(2条4号)

2条4号は、不利益処分を、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分と定めています。ただし書で、次の4つを除いています。

号不利益処分から除かれるもの
イ事実上の行為及び事実上の行為をするに当たりその範囲、時期等を明らかにするために法令上必要とされている手続としての処分
ロ申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分
ハ名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分
ニ許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるもの

申請を拒否する処分(ロ)は、不利益処分に当たりません。拒否の処分には、申請に対する処分の手続(8条の理由の提示)が働き、不利益処分の手続(聴聞・弁明の機会の付与、14条の理由の提示)の対象にはなりません。ニは、届出があったことを理由に許認可等の効力を失わせる処分が、不利益処分から除かれることを定めています。不利益処分の手続は聴聞と弁明の機会の付与の記事で確認できます。

地方公共団体・国の機関と届出(3条3項・4条1項・46条)

届出には、適用除外の規定が2つあり、かかり先が違います。

条文適用されない届出かかり先の言葉
3条3項地方公共団体の機関に対する届出(2条7号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る)「次章から第六章までの規定は、適用しない」(届出の第五章を含む)
4条1項国の機関又は地方公共団体若しくはその機関がする届出(これらの機関又は団体がその固有の資格においてすべきこととされているものに限る)「この法律の規定は、適用しない」

3条3項は、地方公共団体の機関に対する届出で、4条1項は、国の機関や地方公共団体(その機関を含む)が、その固有の資格においてすべきこととされている届出をする場合です。3条3項のかっこ書は、通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限っています。根拠となる規定が法律に置かれている地方公共団体の機関に対する届出は、3条3項の適用除外に当たりません。

3条3項で行政手続法が適用されない処分・行政指導・届出・命令等を定める行為について、46条は、地方公共団体が、この法律の規定の趣旨にのっとり、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定めています。

試験での問われ方:内容の型

実際の問題文は掲載しませんが、この分野の問い方には次のような型があります。

  • 定義の入れ替え:申請の定義に「届出」の言葉を、届出の定義に「諾否の応答」を入れる
  • かっこ書の書き落とし:2条7号の「申請に該当するものを除く」や、「自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む」を落とす
  • 義務の強さの入れ替え:6条の標準処理期間(定めるのは努力義務)や、9条・10条の努力義務を、「しなければならない」と言い換える
  • 効力の発生時期の入れ替え:37条の「到達したとき」を、「受理したとき」「承諾されたとき」と言い換える
  • 条件の書き落とし:37条の「形式上の要件に適合している場合」を落とす、8条1項ただし書を落とす
  • 処分の種類の入れ替え:申請を拒否する処分を「不利益処分」として、聴聞や弁明の機会の付与の対象にする
  • 適用範囲の入れ替え:3条3項の「地方公共団体の機関に対する届出」と4条1項の「国の機関等がする届出」のかかり先を入れ替える

間違えやすいポイント

誤りやすい記述条文に照らすと
届出も、行政庁が諾否の応答をすべき行為である諾否の応答をすべきこととされているのは申請(2条3号)。届出の定義には出てこない(2条7号)
届出は、行政庁が受理したときに効力が生じる形式上の要件に適合する届出は、提出先の事務所に到達したときに、手続上の義務が履行されたものとされる(37条)。「受理」の語は条文にない
形式上の要件に適合しない申請は、直ちに拒否しなければならない速やかに、相当の期間を定めて補正を求め、又は拒否する(7条)
標準処理期間は、必ず定めなければならない定めるよう努める。定めたときは公にしておかなければならない(6条)
申請を拒否する処分には、聴聞か弁明の機会の付与が必要である申請により求められた許認可等を拒否する処分は不利益処分から除かれる(2条4号ロ)。理由の提示は8条
審査基準は、行政上特別の支障があっても公にしなければならない行政上特別の支障があるときを除き、公にしておく(5条3項)
行政手続法の届出の規定は、条例に基づく届出にも適用される地方公共団体の機関に対する届出で、根拠が条例又は規則にあるものは適用されない(3条3項)

まとめ

  • 申請は、許認可等を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの(2条3号)。届出は、行政庁に対する一定の事項の通知で、法令により直接に義務付けられているもの。申請に該当するものを除く(2条7号)
  • 申請に対する処分は、審査基準(5条)・標準処理期間(6条)・審査開始と補正又は拒否(7条)・理由の提示(8条)・情報の提供(9条)・公聴会(10条)・複数の行政庁が関与する処分(11条)。動詞で、義務と努力義務を見分ける
  • 届出は、37条の1か条。形式上の要件に適合していれば、提出先の事務所に到達したときに、手続上の義務が履行されたものとされる
  • 申請を拒否する処分と、届出があったことを理由に許認可等の効力を失わせる処分は、不利益処分から除かれる(2条4号ロ・ニ)
  • 地方公共団体の機関に対する届出(根拠が条例・規則)は3条3項、国の機関等がその固有の資格においてする届出は4条1項で、適用されない。46条は地方公共団体の努力義務

学習全体の計画は行政書士の学習スケジュールで、科目ごとの配点と優先順位は行政書士の点数配分で整理しています。

参照した一次ソース

よくある質問

Q行政手続法では、申請と届出は何で区別されますか?

区別の中心は、行政庁が「諾否の応答」をすべきかどうかです。2条3号は、申請を、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(許認可等)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものと定義しています。2条7号は、届出を、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものと定義しており、定義の中に諾否の応答という言葉は出てきません。

Q届出は、行政庁が受け取って初めて効力が生じるのですか?

行政手続法37条は、届出が届出書の記載事項に不備がないこと、必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、届出が法令により届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、届出をすべき手続上の義務が履行されたものとすると定めています。行政手続法の条文には「受理」という言葉は出てきません。行政手続法に規定する事項について他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによります(1条2項)。

Q申請書に不備があったとき、行政庁はどうしなければなりませんか?

行政手続法7条は、申請の形式上の要件(申請書の記載事項に不備がないこと、必要な書類が添付されていること、申請をすることができる期間内にされたものであることなど)に適合しない申請について、行政庁は、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて申請の補正を求め、又は申請により求められた許認可等を拒否しなければならないと定めています。補正を求めるか拒否するかの、どちらかを選ぶ形です。

Q標準処理期間は、行政庁が必ず定めなければなりませんか?

必ず定めなければならない、とはされていません。行政手続法6条は、申請がその事務所に到達してから処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならないと定めています。定めるのは努力義務、定めたときに公にするのは義務、という組み合わせです。

この資格の問題を解く行政書士 科目別問題集
解いてみる

法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月8日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

合格ナビ 編集長・運営者

行政書士の出題範囲・法令・公式の統計を参照して書いています。プロフィール・編集方針