問題
次の文は、イギリスの社会福祉の歴史に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。 A 1601年のエリザベス救貧法は、貧困者を、労働能力のある貧民、労働能力のない貧民、扶養する者のない児童に分けて扱った。 B 1834年の新救貧法では、救済を受ける者の生活水準は自活している最下層の労働者の生活水準を下回るものでなければならないとする劣等処遇の原則がとられた。 C 1869年にロンドンで設立された慈善組織協会(COS)は、慈善活動の重複や漏れを防ぐために慈善団体の連絡・調整を図り、友愛訪問員による家庭訪問を行った。 D 1942年のベヴァリッジ報告は、所得に比例して保険料と給付額が変わる仕組みを社会保険の中心に据え、公的扶助は社会保険を補うものとして位置づける考え方を否定した。 (組み合わせ) A〜Dの正誤の組み合わせとして正しいものを一つ選びなさい。
【この問題について】
本問は、保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「社会福祉」の出題範囲に基づき、goukaku-navi.jp が独自に作成したオリジナル問題です。全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。
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答え合わせ
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自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、一般社団法人 全国保育士養成協議会とは一切関係ありません。
正答は1です。A〜Cは正しい記述です。エリザベス救貧法(1601年)は貧困者を3つに分けて扱い、新救貧法(1834年)は劣等処遇の原則をとりました。慈善組織協会(COS)は1869年にロンドンで設立され、慈善の組織化と友愛訪問を行いました。Dは誤りです。ベヴァリッジ報告は、均一の保険料を払い均一の給付を受ける「均一拠出・均一給付」を社会保険の原則とし、公的扶助(国民扶助)は社会保険を補うものと位置づけました。
A 適切 エリザベス救貧法は、それまでの救貧の取り組みをまとめた法律です。貧困者を、労働能力のある貧民(働かせる)、労働能力のない貧民(救済する)、扶養する者のない児童(徒弟に出す)に分けて扱いました。教区を単位として救貧税を集めて運営した点も特徴です。
B 適切 1834年の新救貧法(改正救貧法)は、救済費の増大を背景に救済を厳しくした法律です。救済を受ける者の生活は、自活する最下層の労働者の生活よりも低くなければならないとする「劣等処遇の原則」をとり、労働能力のある者への救済は原則として労役場(ワークハウス)の中で行うこととしました。
C 適切 慈善組織協会(COS)は、ばらばらに行われていた慈善活動を組織化し、救済の重複や漏れを防ぐことを目指しました。友愛訪問員が貧困家庭を訪ねて個別に調査・援助したことは、のちのケースワークにつながり、団体の連絡・調整はコミュニティ・オーガニゼーションの源流とされています。
D 不適切 ベヴァリッジ報告「社会保険および関連サービス」は、「均一拠出・均一給付」を社会保険の原則としました。所得比例の仕組みを中心にしたのではありません。また、国民扶助(公的扶助)は、社会保険で対応しきれない場合を補うものとして位置づけられました。
救貧法の流れ イギリスの救貧制度は、エリザベス救貧法(1601年)で国の制度として整えられました。その後、労役場テスト法(1722年)で救済を労役場への収容と結びつける方向がとられ、ギルバート法(1782年)では労働能力のある貧民を労役場の外で救済すること(院外救済)が認められ、スピーナムランド制度(1795年)では賃金がパンの価格と家族の人数から定めた基準に満たない分を手当で補う方法がとられました。救済費が膨らんだことへの反動として、1834年の新救貧法が、劣等処遇の原則、救済を労役場の中で行う原則、全国で救済の基準をそろえる原則を打ち出しました。
民間の取り組み 19世紀後半には民間の活動が広がりました。慈善組織協会(COS、1869年)は友愛訪問と慈善の組織化を進め、トインビー・ホール(1884年)に代表されるセツルメント運動は、知識人が貧困地域に住み込んで住民と関わる活動を行いました。また、ブースのロンドン調査やラウントリーのヨーク調査は、貧困の原因が個人の怠惰ではなく、低賃金や病気、多子などの社会的な要因にあることを示しました。
ベヴァリッジ報告 1942年のベヴァリッジ報告は、社会の進歩を阻む「5つの巨人」として、窮乏(欠乏)・疾病・無知・不潔・怠惰を挙げ、このうち窮乏に対しては社会保険を中心とする所得保障で対応するとしました。社会保険の原則として均一拠出・均一給付をとり、ナショナル・ミニマム(国が保障する最低限の生活水準)の保障を目指しました。国民扶助は社会保険を補う役割、任意保険はさらに上乗せの役割とする3層の構成が示され、戦後のイギリスの福祉国家づくりの基礎になりました。
紛らわしい点 Dのように「所得比例」と「均一」を入れ替えた肢や、「劣等処遇」を「救済を受ける者の生活を労働者より手厚くする」と逆にした肢に注意します。また、COSの友愛訪問(個別援助の源流)とセツルメント(住み込み型の地域活動)は、目的と方法が違う別の活動として区別しておきましょう。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です。保育士試験(一般社団法人 全国保育士養成協議会 実施)の筆記試験科目「社会福祉」の出題範囲・保育所保育指針・関係法令に基づいて作っています。一般社団法人 全国保育士養成協議会が作成した試験問題を転載・改変したものではありません。根拠・出典:社会福祉の歴史(イギリスの救貧制度・慈善組織協会・ベヴァリッジ報告)に関する教科書上の定説条文の原文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で確認できます。法令・指針は令和8年4月1日時点の内容に基づきます。
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