問題
Dさん(70 歳,男性)は,自宅で妻と二人暮らしで,年金収入で生活している。ある日,車を運転中に事故に遭い救急搬送された。医師からは,第4 胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(spinal cord injury)と説明を受けた。Dさんは,入院中に要介護3 の認定を受けた。 Dさんは,退院後は自宅で生活することを望んでいた。妻は一緒に暮らしたいと思うが,Dさんの身体状況を考えると不安を感じていた。介護支援専門員(ケアマネジャー)は,「退院後は,在宅復帰を目的に,一定の期間,リハビリテーション専門職がいる施設で生活してはどうか」とDさんに提案した。Dさんは妻と退院後の生活について話し合った結果,一定期間施設に入所して,その間に,自宅の住宅改修を行うことにして,介護支援専門員(ケアマネジャー)に居宅介護住宅改修費について相談した。 Dさんが施設入所してから3 か月後,住宅改修を終えた自宅に戻ることになった。Dさんは自宅での生活を楽しみにしている。その一方で,不安も抱えていたため,担当の介護福祉士は,理学療法士と作業療法士に相談して,生活上の留意点を記載した冊子を作成して,Dさんに手渡した。 次の記述のうち,冊子の内容として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」問題119
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは5「外出するときには,事前に多機能トイレの場所を確認する」です。
Dさんは胸髄(第4胸髄節)に損傷があり車いすでの生活になりますが、腕(上肢)の機能は比較的保たれています。むしろ大切なのは、外出先で困らないように、車いすでも使いやすい多機能トイレの場所をあらかじめ調べておくといった、外出時の備えです。
たとえるなら、出かける前に「困ったときに頼れる場所」を先に確認しておくイメージです。
👉 覚え方:脊髄損傷(胸髄レベル)で上肢機能が保たれる人には、外出先のバリアフリー情報の確認が重要。
ほかの選択肢:1食事のスプーンを自助具で手に固定することは、手指の機能に制限がある場合に有効な工夫だが、上肢機能が比較的保たれているDさんには優先度が低い/2リクライニング式車いすは体幹保持が著しく困難な人向けで、一定の体幹機能が残存しているDさんには過剰な選択となりうる/3エアーマットは褥瘡予防に有効だが、今回の冊子の趣旨(外出・生活上の留意点)の中心的な内容としては5の方がより直接的/4ボタンエイドは手指の巧緻性に制限がある場合に有効な自助具だが、Dさんの状態(下肢中心の麻痺)には優先度が低い。
なぜこれが正解か
正解は5。第4胸髄節まで機能が残存している脊髄損傷(対麻痺、下肢の麻痺が中心で上肢の機能は保たれる)のあるDさんが、自宅に戻り車いすで外出する生活を送るにあたり、外出先で困らないよう、あらかじめ多機能トイレ(車いすでも利用しやすい広めのバリアフリートイレ)の場所を確認しておくことは、実践的で重要な生活上の留意点である。
各選択肢の解説
- 1 スプーンを自助具で手に固定する工夫は、手指の機能に制限がある人(頸髄損傷等)に有効だが、胸髄損傷で上肢機能が保たれているDさんには、優先度の高い留意点とは言えない。
- 2 リクライニング式車いすは、体幹の保持が著しく困難な人(より高位の頸髄損傷等)に適した福祉用具であり、一定の体幹機能が残存しているDさんの状態には合致しない。
- 3 エアーマット(体圧分散マットレス)は褥瘡予防に有効な用具だが、今回の「外出を楽しみにしているが不安もある」というDさんの状況を踏まえた冊子の内容としては、外出先での具体的な備え(多機能トイレの確認)の方がより直接的に関連する。
- 4 ボタンエイドは、手指の巧緻性に制限がある人向けの自助具であり、下肢中心の麻痺があるDさんには、優先度の高い留意点とは言えない。
覚え方・ひっかけ注意
脊髄損傷の損傷部位(胸髄・頸髄)によって残存する身体機能が異なる点(第38回 問50の頸髄損傷C5との対比)を踏まえ、Dさんのような胸髄損傷(上肢機能は保たれる)の場合には、下肢・体幹の障害に応じた生活上の工夫(外出時のトイレ確保等)がより重要になるという対応関係を理解する。
理論的背景
脊髄損傷は、損傷部位(頸髄・胸髄・腰髄)によって障害される身体機能の範囲が大きく異なる。第4胸髄節(T4)レベルでの損傷では、上肢の機能は保たれる一方、体幹の一部と両下肢が麻痺する対麻痺の状態となる。このため、Dさんは車いすを自ら操作し、上肢を使った日常生活動作(食事、更衣等)は比較的自立して行えると考えられ、生活上の主な課題は、車いすでの移動・外出に関わるバリアフリー環境の確保(段差、トイレ、通路の幅等)に集約される。外出先での多機能トイレ(車いす対応の広い個室トイレ、オストメイト対応設備等を備えることが多い)の確認は、排泄という生理的なニーズに直結する重要な情報であり、外出への不安を軽減し、社会参加(ICFの「参加」レベル、第37回 問49)を積極的に後押しする実践的な支援内容である。
試験での位置づけ
脊髄損傷の損傷レベルに応じた生活支援の工夫は、障害の理解領域・生活支援技術領域・総合問題を横断する重要テーマ。第38回 問50(頸髄損傷C5の入浴用リフト)と対比しながら、損傷部位によって必要となる支援内容が異なる点を体系的に理解しておくことが、総合問題での事例読解力を高める。
選択肢の発展補足
多機能トイレの設置場所は、各自治体・施設が公開するバリアフリーマップやアプリ等で事前に調べることができ、こうした情報収集の方法自体も、外出支援の一環として利用者・家族に案内される。
上位資格・発展
リハビリテーション医学の分野では、脊髄損傷の損傷レベルごとのADL自立度の予測(フランケル分類、ASIA機能障害尺度)や、社会復帰支援(自動車運転再開の可否評価、就労支援)がより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」の問題119です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

