問題
Eさん(34 歳,女性,障害支援区分3 )は,特別支援学校の高等部を卒業後,週2回,生活介護を利用しながら自宅で生活している。Eさんはアテトーゼ型(athetosis)の脳性麻痺(cerebral palsy)で不随意運動があり,首を振る動作が見られる。 食事は首の動きに合わせて,自助具を使って食べている。食事中は不随意運動が強く,食事が終わると,「首が痛い,しびれる」と言ってベッドに横になるときがある。 また,お茶を飲むときは取っ手つきのコップで飲んでいるが,コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれるようになってきた。日頃から自分のことは自分でやりたいと考えていて,お茶が上手に飲めなくなってきたことを気にしている。 Eさんは,生活介護事業所で油絵を描くことを楽しみにしている。以前から隣町の油絵教室に通い技術を高めたいと話していた。そこでEさんは,「自宅から油絵教室に通うときの介助をお願いするにはどうしたらよいか」と介護福祉職に相談した。 Eさんがお茶を飲むときの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」問題121
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは2「ストローつきコップに変更する」です。
Eさんは首の不随意運動が強く、コップを口元まで運ぶ間にお茶がこぼれるようになってきました。ストローを使えば、コップの位置を安定した場所に置いたまま、口の方を近づけて飲むことができるので、こぼれにくくなります。
たとえるなら、コップを動かす代わりに、ストローという「橋」を使ってお茶を口元まで届けるイメージです。
👉 覚え方:コップを口元に運ぶ動作が難しい=ストローつきコップで対応。
ほかの選択肢:1吸い飲みへの変更は嚥下機能自体に障害がある場合に有効な用具で、Eさんの課題(上肢・頸部の不随意運動によるコップの運搬の困難)とは性質が異なる/3重いコップへの変更は、不随意運動が強いEさんにとってかえって持ち運びの負担・危険を増す可能性がある/4両手で持つように伝えることは、不随意運動があるEさんには実行が困難な指示/5全介助を行うことは「自分のことは自分でやりたい」というEさんの意向に反する。
なぜこれが正解か
正解は2。コップを口元に運ぶまでにお茶がこぼれてしまうというEさんの課題に対しては、ストローつきコップに変更することで、コップ自体を大きく動かさずに、ストローを通して飲むことができ、こぼれを防ぎながら「自分のことは自分でやりたい」というEさんの意向を尊重した自立支援が可能になる。
各選択肢の解説
- 1 吸い飲み(傾けて注ぎ込むための器具)は、主に嚥下機能に障害があり自力での摂取が困難な人向けの用具であり、Eさんの課題(コップを口元まで運ぶ動作の困難)とは異なる性質の支援用具である。
- 3 重いコップへの変更は、一定の安定性をもたらす可能性もあるが、不随意運動が強いEさんにとっては、かえって持ち上げ・移動時の負担や危険性を増す可能性がある。
- 4 コップを両手で持つように伝えることは、頸部だけでなく全身に不随意運動が及ぶEさんの身体状況を踏まえると、実行が困難な提案である。
- 5 全介助に切り替えることは、日頃から「自分のことは自分でやりたい」と考えているEさんの意向・自立への意欲に反する対応であり、自立支援の観点から適切でない。
覚え方・ひっかけ注意
自助具の選定を問う設問では、「本人の意向(自分でやりたい)」を尊重しつつ、課題(こぼれる)を解決する工夫(ストローの活用)を選ぶことが重要。全介助や、かえって負担を増す用具の変更は誤答になりやすい。
理論的背景
アテトーゼ型脳性麻痺による不随意運動は、意図した動作(コップを口元まで運ぶ等)の途中で予期しない動きが加わることで、動作の精度が低下するという特徴を持つ。この課題に対し、ストローつきコップは、コップ本体を大きく移動させる必要をなくし(コップを安定した場所に置いたまま、ストローの先端だけを口元に近づければよい)、不随意運動による影響を最小限に抑えながら、本人の力で飲水動作を完結できるようにする効果的な自助具の工夫である。これは、身体機能そのものを変えるのではなく、動作の方法・道具を工夫することで課題を解決する「代償的アプローチ」(第37回 問91のパーキンソン病の食事介護、38-100の自助具の活用とも共通する考え方)の実践例である。
試験での位置づけ
不随意運動のある利用者への自助具の選定は、生活支援技術領域・障害の理解領域・総合問題を横断する重要テーマ。第37回 問91(パーキンソン病の震えへの対応:縁の高い皿)と同様、「本人の残存機能を活かしつつ、課題を解決する道具の工夫」という視点を、様々な障害特性に応じて適用する力が求められる。
選択肢の発展補足
Eさんの事例では、食事の自助具(頸部の動きに合わせた工夫)と、飲水の自助具(ストローつきコップ)という、それぞれ異なる動作特性に応じた個別の工夫が組み合わされている点も、総合的なアセスメントに基づく支援の好例として理解できる。
上位資格・発展
作業療法学の専門領域では、不随意運動のある人への自助具の選定基準(動作分析に基づくフィッティング)や、頸部の負担を軽減する姿勢保持具(クッション、ヘッドレスト等)の活用がより専門的に扱われる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」の問題121です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

