問題
Mさん(80 歳,女性,要介護1 )は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であり,3 日前に認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。主治医から向精神薬が処方されている。居室では穏やかに過ごしていた。夕食後,表情が険しくなり,「こんなところにはいられません。私は家に帰ります」と大声を上げ,ほかの利用者にも,「あなたも一緒に帰りましょう」と声をかけて皆が落ち着かなくなることがあった。 Mさんの介護を検討するときに優先することとして,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」問題47
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは1「Mさんが訴えている内容」です。
Mさんは「こんなところにはいられません、家に帰ります」と強く訴えています。まずは、この訴えの中身(なぜそう思っているのか、何が不安なのか)を理解しようとすることが最優先です。
たとえるなら、周りが困っているかどうかより先に、「本人が何を感じ、何を伝えたいのか」に耳を傾けることが出発点になります。
👉 覚え方:本人の訴えを最優先に理解しようとする姿勢が介護の出発点。
ほかの選択肢:2日中の過ごし方の把握は有用な情報だが今この場面での最優先事項ではない/3ほかの利用者が落ち着かなくなったことは周囲への影響で、本人の気持ちより優先されるべきではない/4対応に困ったことは介護者側の都合/5薬が効かなかったことは医療的な評価の話で、まず本人の訴えを理解することが先。
なぜこれが正解か
正解は1。入居3日目のMさんが不安や不満を強く訴えている場面では、その訴えの内容(何を感じ、何を求めているのか)を丁寧に理解しようとすることが、介護を検討する際に最優先すべき視点となる。
各選択肢の解説
- 2 Mさんの日中の過ごし方の把握は、アセスメントとして有用な情報ではあるが、今まさに表出されている強い訴えへの理解より優先されるものではない。
- 3 ほかの利用者が落ち着かなくなったことは周囲への影響という観点であり、まずMさん本人の訴えを理解することが優先される。
- 4 「対応に困ったこと」は介護職側の視点・都合であり、本人主体の視点からは優先事項として適切でない。
- 5 「薬が効かなかったこと」は薬物療法の評価に関する視点であり、まず本人の訴えの背景(環境変化への不安等)を理解することが先に検討されるべき事項。
覚え方・ひっかけ注意
BPSDへの対応を検討する事例問題では、「周囲の困りごと」や「介護者の都合」を優先する選択肢は誤答になりやすい。常に「本人が何を感じ、何を訴えているか」という本人主体の視点を最優先に選ぶのが原則。
理論的背景
BPSD(行動・心理症状)は、記憶障害・見当識障害といった中核症状に加え、身体的な不快感、環境の変化、心理的な不安等の要因が複合的に作用して生じるとされる(パーソン・センタード・ケアの考え方)。入居して間もない時期は、新しい環境への不安や慣れない生活リズムから、帰宅願望・興奮といったBPSDが出現しやすい。対応の第一歩は、行動そのものを問題視して抑制しようとするのではなく、その行動の背景にある本人の気持ち・ニーズを理解しようとする姿勢(その人らしさを尊重するパーソン・センタード・ケアの視点)である。
試験での位置づけ
BPSDへの対応の基本原則(行動を抑えようとするのではなく、その背景にある本人の思い・ニーズを理解する)は、認知症の理解領域・介護の基本領域を横断する最重要テーマ。第37回 問40(ぬいぐるみを探すAさんへの声かけ)とあわせて、「まず本人の訴え・気持ちを受け止める」という一貫した対応原則を身につけることが得点力に直結する。
選択肢の発展補足
入居直後のBPSDへの対応としては、環境への適応を促す働きかけ(なじみのある物の持ち込み、生活リズムを本人のペースに合わせる等)や、家族との連携(自宅での生活習慣の情報収集)も有効である。薬物療法(向精神薬)は、非薬物的なケアを十分に検討した上での補助的な選択肢として位置づけられ、安易な薬物依存は避けるべきとされる。
上位資格・発展
パーソン・センタード・ケア(トム・キットウッドが提唱、認知症の人の心理的ニーズ:くつろぎ、愛着、たずさわること、自分らしさ、共にあることを重視するケア理念)は、認知症ケアの国際的な標準理念として、社会福祉士・介護支援専門員の研修でもより体系的に学ばれる。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」の問題47です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

