問題
Eさん(70 歳,女性)は,脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で言語に障害がある。発語はできるが,話したいことをうまく言葉に言い表せない。聴覚機能に問題はなく,日常会話で使用する単語はだいたい理解できるが,単語がつながる文章になるとうまく理解できない。ある日,Eさんに介護福祉職が,「お風呂は,今日ではなくあしたですよ」と伝えると,Eさんはしばらく黙って考え,理解できない様子だった。 このとき,Eさんへの介護福祉職の対応として,最も適切なものを1 つ選びなさい。
【出典】公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」問題76
※問題文は同センター公表のものを改変せずに掲載しています。
※解説・補足は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※本問は出題当時の法令・制度に基づいています。
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答え合わせ
- 1
- 2
- 3
- 4
- 5
自信の3択
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解説
※この解説は goukaku-navi.jp が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。
※出題当時の法令・制度に基づく問題です。現在の制度と異なる場合があります。
答えは2「『お風呂,あした』と短い言葉で伝える」です。
Eさんは単語は理解できますが、単語がつながって文章になると理解が難しくなります。そのため、短い単語だけで伝えることで、Eさんにも理解しやすくなります。
たとえるなら、長い文章ではなく、キーワードだけをポンポンと伝えるイメージです。
👉 覚え方:文章理解が困難な失語症=短い単語で伝える。
ほかの選択肢:1「何がわからないのか教えてください」という質問文自体が複雑な文章で、Eさんには理解・表現が難しい/3「今日,お風呂に入りたいのですね」という確認はEさんが伝えたかった内容とズレている(推測が的外れ)/4「あしたがお風呂の日で,今日は違いますよ」と言い換えても結局長い文章のままで理解しにくい/5一音ずつ区切って伝える方法は聴覚に問題のある人向けの対応で、Eさんの症状(文章理解の困難)には合っていない。
なぜこれが正解か
正解は2。Eさんは、単語レベルの理解は保たれているが、複数の単語がつながった文章になると理解が困難になる失語症(特に文法・構文処理の障害を伴うタイプ)の特徴を示している。この特性に合わせ、「お風呂、あした」のように短い単語だけで伝えることが、Eさんの理解を助ける最も適切な対応となる。
各選択肢の解説
- 1 「何がわからないのか教えてください」という問いかけ自体が長い文章であり、文章理解に困難を抱えるEさんには理解しにくく、また自らの状態を言語化して説明することも困難であると推測される。
- 3 「今日、お風呂に入りたいのですね」という確認は、Eさんが実際に伝えたかった内容(お風呂は明日であることの理解)とはズレた推測であり、適切な対応とは言えない。
- 4 言い換えた文章(「あしたがお風呂の日で、今日は違いますよ」)も、依然として複数の単語がつながった長い文章であり、Eさんの理解を助ける工夫にはなっていない。
- 5 一音ずつ区切って伝える方法(「お・ふ・ろ・は・あ・し・た」)は、聴覚に問題がある人(難聴等)への対応として有効な場合はあるが、Eさんの障害は聴覚機能ではなく言語(文章)理解の障害であり、この方法は症状に合致しない。
覚え方・ひっかけ注意
失語症の特性(単語レベルの理解は保たれるが文章理解が困難)を正確に把握し、「短い単語での伝達」という具体的な対応方法に結びつける。聴覚障害向けの対応(一音ずつ区切る)と混同しないよう注意する。
理論的背景
失語症は、脳血管障害等により言語中枢(ブローカ野、ウェルニッケ野等)が損傷を受けることで生じる言語機能の障害で、話す・聞く・読む・書くの各側面に様々な程度の障害が現れる。Eさんの症状(発語は可能だが言いたいことをうまく言葉にできない、単語は理解できるが文章になると理解困難)は、文法・構文の処理に障害がある失語症のタイプ(失文法等)の特徴と考えられる。こうしたタイプの失語症の人とのコミュニケーションでは、複雑な文法構造を避け、内容語(名詞・動詞等の意味を持つ言葉)を中心とした短い単語の組み合わせで伝えることが、理解を助ける有効なコミュニケーション技法とされる。
試験での位置づけ
失語症のタイプに応じたコミュニケーションの工夫は、コミュニケーション技術領域・障害の理解領域を横断する頻出テーマ。第37回 問77(構音障害のあるBさんへの対応)とセットで、「失語症(言語理解・表出の障害)」と「構音障害(発音の障害、理解力自体は保たれる)」の違いを明確に区別して理解しておくことが重要。
選択肢の発展補足
失語症の人とのコミュニケーションでは、短い単語での伝達に加え、実際の物を見せる、ジェスチャーを交える、絵カードや写真を活用する等、視覚的な情報を組み合わせることでさらに理解を助けることができる。急かさず、本人のペースに合わせて時間をかける姿勢も重要である。
上位資格・発展
言語聴覚士の専門領域では、失語症のタイプ分類(ブローカ失語=運動性失語、ウェルニッケ失語=感覚性失語、全失語等)に応じた、より専門的なコミュニケーション訓練・代替手段(コミュニケーションノート、絵カード等)の指導が行われる。介護福祉士としては、日常のケアの中で、失語症のタイプに応じた伝え方の工夫を実践する視点が重要である。
出典と作り方
本問は公益財団法人 社会福祉振興・試験センターが公表した「第36回介護福祉士国家試験(令和5年度)」の問題76です。同センターの「過去問題利用にあたっての留意事項等」(https://www.sssc.or.jp/pastissues/index.html)に従い、問題文は文言を変えずに掲載しています(PDFの折り返しによる改行位置の違いのみ)。図は同センターのPDFから切り出したものです。 原本は同センターの「過去の試験問題」でご確認ください。
解説・補足は合格ナビ(goukaku-navi.jp)が独自に作成したもので、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターとは一切関係ありません。 本問は出題当時の法令・制度に基づいています。介護保険制度・障害者総合支援法などは改正されるため、現在の制度と異なる場合があります。最新の内容は厚生労働省などの公的な情報でご確認ください。
執筆・運営:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報)・編集方針。

